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748 黒い七色の光と隕石

過去の時代のユカ、レジデンス兄妹の先祖と大魔女エントラVS黒竜王ヘックスの対決です。

◆◆◆


 この三人組、人間にしてはかなりの強さだと言えるだろう。

 今まで俺様と対峙してこれだけの時間生きていた者はそうはいない。


 例外を言うならあの神々と一緒になって俺様と戦った軍王ゴルガという男くらいだろう。


 コイツらは俺様に怯える事も無く、一緒にいる奴を庇いあって戦っている。

 以前の俺様なら群れて戦うなぞ脆弱な連中のやる事だと思っていた。


 だが、あの獣人の少女と出会い、俺様は大切なモノを守る為に戦うという事は、本来以上の力を発揮するという事に気が付いた。


 コイツら、舐めてかかったらこちらが痛い思いをしかねん!

 俺様はまだ寝起きの頭を切り替える為、自らの頭部を一度強く手で叩いた。


 コイツらは俺様が何故自らを攻撃したのか理由すらわかるまい。


「気をつけろ、みんな。コイツはまだ本気を出していないようだ」

「そうみたい、今のうちに皆さんにバフをかけておきますわ」

「そうねェ。それじゃぁアタシも最強魔法を準備しておくかねェ!」


 ほう、コイツら……素人では無いな。

 俺様がまだ本気を出していなかった事に気が付いたのか。


「面白い、それでは本気で行かせてもらうぞっ!」


 俺様は翼をはばたかせ、風で戦士や魔法使いの女二人を吹き飛ばそうとした。

 もちろんこれが大打撃になるなどとは思ってはいない、コイツらの体勢を崩してから一気にたたみかける為だ。


「エアリアルバースト!」

「何だと!?」


 もう一人の金髪の魔法使いの女が風の魔法で俺様の翼の羽ばたきを相殺してきた。


「でやぁああっ!」


 いや、この攻撃は戦士の男に突発的な急進力をつける為の物だったのか!


「くっ、やるではないか!」

「黒竜王ヘックス、勝負はこれからだ!」


 この戦士の目、真っすぐで嫌いではない、俺様はこういう相手と戦うのが好きだ。

 そういう相手を打ちのめした時ほど、俺様は充実感を感じるからだ。


「プロミネンス・ノヴァッ!」

「ぬぐぁおおおあぁぁあッ!」


 この魔法使い、見た目の華奢さに反して相当の魔力だ。

 だが、属性系魔法は俺様には通用しない、残念だったな。

 少し爆風に怯んだくらいだ。


「無駄だ、俺様には魔法は通用しないっ!」

「それなら、これでっ! ノー・アトリヴュートスフィアッ!」

「ぐぉおおおおっ!」


 この魔法使い、まさか俺様と同じ能力を持つと言うのか!?

 俺様の黒い鱗がいくつか剥がれ、翼の一部に穴が開いてしまった。

 これでは空を飛ぶのに支障が出るレベルだ。


 俺様が空中に舞い上がると、先程のもう一人の魔法使いが何か上空に向け、魔力を上空に放っていた。


「アタシの最強魔法、見せてあげるからねェ!」

「くっ! どうやら貴様らを甘く見ていたようだ。俺様の究極攻撃で一気にケリをつけてやるっ!」


 俺様は以前邪神ダハーカを消し去った七色の黒い光を口に溜め、一気に吐き出した。


「これはっ! 異界門の扉よ、アタシ達をすぐに全員転移させてっ!」


「喰らえッ!」


 俺様の放った黒い七色の光のブレスは、周辺の全てを吹き飛ばし、海を割り、いくつもの山すら消滅させた。

 邪神すら消し去った力だ。

 あの人間達もコレを喰らえばひとたまりもあるまい……。


 そして俺様以外誰もいなくなり、辺りは大きな穴が開いた荒野が広がるだけだった。


「フン、消え去ったか……では再び眠るとしよう……」


 俺様が獣人の少女を包み込み、傷を癒す為に再び眠ろうとした時、想像を超える事が起こった!


「ふう、まさかこれほどの攻撃をされるなんてねェ! アタシのとっさの判断が無きゃ全滅だったねェ」

「貴様らっ! あの攻撃を受けて生きていたというのか!?」

「さあ、今度はこっちの番だからねェ! いくよ、アタシの絶対究極魔法、メテオフォール!」


 なんと、魔法使いの女はあの攻撃を避け、天空高くから大量の隕石を俺様目掛けて落としてきたのだ!

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