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72 盗賊の住処

「ここです……ここが俺達の住処です」


 盗賊の生き残りが道案内をした先は険しい山脈の中腹にある邪神の神殿跡の洞窟だった。


「うわー……ジメジメして嫌な所ですわ」

「ルーム、まあゴキブリや害虫がジメジメした暗いところを好むのも当然だろ」


 ホームは何気にこういう時かなり毒舌である。犯罪者は人間扱いしていないようだ。


「へへへぇ……旦那ァ。ここまで案内したんだから命ばかりは助けてくださいよォ」


 心が折れているとはいえ根性の腐った盗賊だ、素直に言う事を聞くと思ったら足をすくわれる。


「随分広い入口だな」

「へぇ。古代の神殿だった場所を使ってるんで入口が広いんでさァ」


 盗賊の態度が何かおかしい、私のゲームクリエイターの経験上これは確実に何かあるだろう。敵に案内させた場合は大抵が罠というのがセオリーである。


「そうか、ではお前が先に行け!」

「えっ!? オレですか? 旦那ァ、こういう時は偉い人が先に行くものですよォ」


 適当な理由をつけてまで入口に入りたがらない。これは確実に罠にはめようとしているだろう。


「良いだろう。ではボクが先に行ってやる」

「流石は旦那でさァ、ささっ、グーっと奥まで行って下せえ」


 魂胆バレバレだっての、では少しビックリさせてやろう。


「行くぞ。みんなは少し待っていてくれ」

「ユカ……」

「大丈夫だ、問題ない」


 そして私は廃神殿の入り口に踏み込んだ。

「……ボクの足元だけ何もない床にチェンジ。歩き終えたら元の床に戻せ」


 盗賊に聞こえないように小さな声で私は小さな足元の範囲だけをマップチェンジさせた。


「!!!??? 何でだよォ!? ブザマに罠で死ぬはずだろ???」


 コイツはやはり私を罠で殺す気だったようだ。


「ルーム! エアリアルバーストの魔法使えたよな!」

「お任せあれですわ!」

「そいつをエアリアルバーストで吹き飛ばしてくれ!」

「かしこまりっ! エアリアル・バースト!」


 盗賊は罠床を通り過ぎた私の後ろにエアリアルバーストの魔法で吹き飛ばされた。この魔法は本来攻撃用ではなくむしろ移動や運搬用魔法である。


「ウワァア!」


 先程私の居た位置まで吹き飛ばされた盗賊は……床のスイッチを踏んでしまった。


「しまったぁ!!!」


 盗賊の体めがけて槍衾から大量の毒矢が噴き出してきた。さらに串刺しになった盗賊の頭上からは油が注がれ、床からは古代魔法の自動発動装置が発火した。


「ウギャァアアアア!!!」


 古代の神殿の罠は『クーリエの神殿』で経験済みだが、これはそれよりも製作者の邪悪さを感じる物だった。盗賊だった物は串刺しになった挙句炭化した白骨になっていた。


「やはりな……バカは死んでも治らない」

「ユカ様!」

「大丈夫だよ、今全部の罠を無効化する! マップチェンジ!!」


 私のマップチェンジスキルで罠まみれだった床はタダの石畳に変化した。


「みんな、もう歩いてこれるよ」

「了解です!」

「わかりました!」

「わーったよ」

「承知致しましたわ」


 そして安全になった床を通り、私達は廃神殿の奥の盗賊の住処に踏み込んだ。


「誰だテメェら!?」

「命が惜しくないのか??」

「死にたきゃ殺してやるよ。女はたっぷり楽しませてもらう」


 盗賊の住処には50名以上の連中がたむろしていた。中には女を暴行している奴もいた。


「酷い!」

「ハッハハ……お前らもあの仲間入りするんだよ。男はぶっ殺すけどな!!」

「! 獣人族もいる!?」

「ㇵッ! 獣ふぜいでも女は女だからな。これはこれで楽しめるんだよォ!」

「お前ら……皆殺しだ!! モッサールの誇りにかけて……殺す!」


 困った事になった……これは人質がいる状態で戦うようなものだ。攫われた女子供に被害を出さないように戦う方法を考えないと!


 こういうシチュエーションの場合、私の作ったゲームでは……どうやって無傷でクリアしていたか、考えるんだ!

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