723 魔法陣を消す方法
「何だって!? この下に大量の骸骨と血で出来た魔法陣があるだってー!」
オレがハーマンから聞いたのは、この海の底にはそこそこの広さがあり、そこに真っ赤な血で作られた魔法陣が存在することだった。
どうやらその魔法陣がこの海域の巨大モンスター大量出現の原因に違いない。
オレは並み居る巨大モンスターのメガロドンやキラーオクトパス、スティングレイといった連中を豪槍ポチョムキンでなぎ払い続けた。
「カイリ殿、海洋の怪物なら我等海上武士団も手慣れたもの、是非お任せ頂ければ幸いですぞ」
「ああ、リョウカイ、助かるぜー」
オレは雑魚の巨大海獣どもをリョウカイの武士団に任せ、曰くありげな魔法陣について調べることにした。
「唸れ豪槍! トルネードストーム!」
オレの槍は辺りの海水全てを巻き上げ、海を海底から真っ二つに割った。
するとむき出しになった海底には大量の骸骨と血で作られたような真っ赤な巨大魔法陣が姿を現した。
その魔法陣が光ると、そこから巨大な海洋モンスターが姿を現した。
「どうやらこれが海の異変の原因というわけだなー、それじゃあ!」
オレは魔法陣の描かれた海底の岩を砕こうとしたが、よほど強固な呪いなのか、岩はオレの槍を全くものともせず、反対に魔法陣に攻撃したオレが反撃された。
「ぐはっ! これは下手に手を出せないなー」
術者が何者かはわからないが、この魔法陣は普通の正攻法では壊せなそうだ。
そんなことをしている間にもどんどん巨大モンスターが海に呼び出され続けている。
この程度のモンスターなら倒すのは全然問題無いが、それではいつまで立っても根本解決にならない。
この手の魔法陣は術者を倒すか魔法陣そのものを消す以外に方法が無い。
術者が何者かわからない以上は魔法陣を消す以外の方法は無さそうだが、削り取るのは無理みたいだ。
「困ったもんだなー……」
「おに……カイリ、一体どうしたの?」
「ああ、マイルかー。どうやったらあの魔法陣を消せるかなと思ってな、少し考えていたんだー」
オレはマイルに魔法陣を消す方法を一緒に考えてもらった。
「ならあーしにまかせてよぉ、方法は何でもいいのよねぇ?」
「お前、アレを消せるのかー?」
「多分……ね。ワカメでいいかなぁ」
「へっ??」
何を言っているかわからないが、マイルはスキルを海に向かって使った。
マイルのスキルは植物を自在にする力だ。
この海底で植物? ――まさか!?
マイルはニッコリ笑いながら海底に向けて手をかざしていた。
「この繁殖力、陸ならミント、海ならワカメってくらいに一瞬で増えるのよねぇ」
一体何を言っているんだ?
だが彼女の言っている意味はその後すぐにわかった。
マイルがスキルを使うと、今までひっきりなしに出現していた海洋モンスターの頻度が極度に落ちた。
海が赤く光る度に生み出されていた海洋モンスターだったが、海が赤く光る回数が明らかに激減しているのだ。
「マイル、お前一体何をしたんだーっ!?」
「簡単な事よぉ。魔法陣をワカメで埋め潰しただけよぉ」
誰が普通そんな方法思いつくってんだよ。
だがマイルの能力なら納得の方法だ。
流石のオレの能力でも海底を真っ二つに割り続けるのは大変だ。
マイルはその海底で血塗られた魔法陣をワカメで埋め尽くして魔法陣の形を壊してしまったのだ。
「よし、巨大モンスターが姿を消した、それじゃあ島に向かうぜー」
オレ達は巨大モンスターに阻まれた島への上陸を試み、小型船で海岸を目指した。
そんなオレ達よりも先にハーマンは一匹で海岸の方へ泳いでいったようだ。
「キミ……だれ?」
「ピイピイッ」
どうやらハーマンは島にいる子供達と話をしているようだ、ここは少し離れたところから様子を見た方が良さそうだな。
しかし、こんな所に島? オレが知る限りこんな場所の島に人なんて住んでいる話は聞いたことが無いが、ここは一体何なのだ?
悪役令嬢の新作始めました。こちらもどうぞよろしくお願いします。
わたしのワガママは人の為! 所詮わたしはニセ聖女でした。改心した悪役令嬢は今度こそ処刑されないように生きてみます
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