71 汚物は消滅だぁ!
はねられた盗賊の首が宙を舞ってからコロコロと転がった……。
「ヒィィィィー!!」
「助けてくれー」
盗賊は涙を流しながら鼻水と小便をだらしなく漏らし、仲間の首から噴き出た血とそれがブレンドして何とも嫌な臭いが辺りに漂っていた。
「お前達は今までどれだけの人間を殺してきた?」
「お……俺達は男爵にほとんどを持って行かれて仕方なく盗賊になっただけだ! 人殺しはしていない! 信じてくれ」
どう考えても嘘である、しかもその場しのぎで言い逃れしてるのは間違いない。
「エリア……ちょっと嫌な事を頼むけど良いね?」
「ユカ……うん、わかってる」
レジデンス兄妹はこの後何が起こるのかはもう想定しているようだ。冒険者ギルドでやった拷問を再度繰り返すわけなので。
「もう一度聞く、お前達は本当に人殺しをしていないんだな!?」
「人殺しはしていない!」
盗賊の一人が怪しい態度だったのをフロアさんが感じ取った。そして、フロアさんは盗賊が身に着けている装飾品を鋭く睨みつけた!!
「オイ! 貴様!! その飾りをどこで手に入れた!?」
「へ? 狩りだよ、昔……この辺りで獣を狩りした時に手に入れたものだ! 人殺しはしていない!!」
この態度にフロアさんが完全にキレた!
「それはモッサール族の……飾り。一族の者が生まれた時親に貰い死ぬまで身に着ける飾りだ!!」
「ヒィィィィ!!!」
私が手を出す前にフロアさんが男に馬乗りになり、何十発も顔の形が変わるまで殴り続けた!!
「人は殺していないだと! 獣を狩っただけだとォ!! ふざけるな!!」
ゴスッ! ガスッ! ボゴボゴボコ! ドガッ! ゲシツ!!
「フロアさん……」
「ユカさん! 止めないでくれ! コイツは我ら一族の誇りを汚した!!」
何十発も本気で殴られた盗賊はレザレクションで回復する事も出来ないくらい絶命していた。それでもなお、フロアさんは自分の手の皮が剝けるくらいまで血まみれの手で盗賊だったものを何十発と殴り続けた。
「うわぁアア!! 助けてぇ! もう悪い事はしません!!」
最後に残った盗賊は完全に恐怖に怯えていた。しかし、それでもこういう奴は嘘や言い逃れで助かろうとするものだ、こういう性格のやつは一生治らない。
「さて、ではお前の番だ。大丈夫、怪我は残らないよ」
「ヒィイ! 悪魔ァ!!」
私は生き残りの盗賊を何十発と殴っては瀕死の盗賊をエリアのレザレクションで回復してもらい、完全に心が折れるまで拷問をつづけた。
「もう……勘弁してください。俺達の住処に案内しますからぁ」
もう噓もつけないくらい完全に折れた盗賊が一人だけ生き残った。後は燦燦たる有様で死屍累々があちこちに散乱していた。
「商隊の皆さん、イヤな事をお願いしますが全部の死体を集めてもらえますか?」
「ユカ様。承知いたしました!」
商隊の人達は嫌な顔一つせず盗賊団だったバラバラの死体やパーツを一か所に集めた。
「ユカ様……どうなさるのですか?」
「ゴミはそのままにすると伝染病の原因になるんだよ。だから全部沈める!!」
本来は荼毘に付すのが武士の情けであり、病原菌の温床にしない方法なのだが、コイツらにそんな情けをかける必要は無い!
「目の前の土地を底無しの泥沼にチェンジ!」
死体の山はその重みで底なし沼にどんどん沈んでいき、最後には一体もその場に残らなかった。
「よし! 仕上げだ!! 目の前の土地を綺麗な泉にチェンジ!!」
私は底なし沼の奈落の底に死体が全て消えた後、その沼を綺麗な泉にマップチェンジした。これでもう病原菌の温床になる事は無いだろう。
「さて、生き残ったお前には盗賊団の住処に案内してもらおうか」
「はい……オレが案内します……」
完全に心を折られ、死んだ魚の目をした盗賊は力なく道案内をするのだった。