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711 一気に突入するっ‼

 ボク達の乗っている飛行艇グランナスカを空帝戦艦アルビオン目掛けて突っ込むことにした。

 少し無茶な作戦だとは思うが、これが最良の方法だろう。

 ボクは一度全員に船に戻ってもらうことにした。

 

「みんな、一度船に戻ってくれないか!」

「ユカ、わかったよ。何か考えがあるんだねェ」

「了解じゃ、(わらし)もこのままにするわけにはいかんからのう」

「了解ですわ」


 大魔女エントラ様、アンさん、ルームさんの三人は助けた親子を連れて一度船に戻って来てくれた。


 助けられた親子連れは焦燥しきっているが命に別状は無さそうだ。

 彼等を助けようとした神父らしき男性も、無事一緒に助けることが出来た。


「貴方達は神様の使いです……本当に有難うございました!」


 神父らしき人物がボク達に深々と何度もお礼をした。


『ユカ、少し気になることがあるんだがいいか?』

『ソウイチロウさん? 一体何ですか?』


 ボクは身体の主導権を返してもらって動いているが、ソウイチロウさんが何か気になることがあると聞いたので話を聞いてみることにした。


『この船で救出作戦は私も賛成だ。だが、アレだけ格納庫一杯一杯でどうやって助けた人をこの中に載せるんだ?』

『あっ! ……そこまで考えてなかった』


 確かにそういえばそうだ、一度このグランナスカの倉庫を空っぽにしないと人質がどれだけいるかわからないが全員載せるのは難しい。


「みんな、聞いてくれ。どうやら人質の人を載せるには、一度この倉庫を空っぽにしないといけないみたいなんだ。だから一度この船からバロールの残骸を落とすよ」


 ボクはそう言ってボタンを押して格納庫のドアを開けた。

 このまま向きを上に向ければ一気に全部下に落ちるだろう。

 まあオリハルコンや古代金属で出来ているならここから落ちても後で拾えばいい。


 ――そう思っていたのだが、大魔女エントラ様がボクを止めた。


「おっと、勿体ないことはやめるんだねェ」

「エントラ様、でもそれでは助けた人をここに載せられないです」

「そんな程度なら(わらわ)に任せればいいじゃないのかねェ」


 大魔女エントラ様はそう言うと杖を掲げて異空間の扉を開き、その中にバロールの残骸を全て詰め込んだ。


「ほら、これでスッキリ綺麗になったからねェ。これなら安心して人質を載せることが出来るからねェ」

「エントラ様……ありがとうございますっ!」

「お礼を言うのは後だねェ、今はまだ大丈夫だけど……ボヤボヤしてたらアイツらまたアルビオンで処刑を再開してしまうかもねェ」


 そうだ、早くそれを止めないと次の犠牲者が出てしまう。

 ボクは開けた格納庫の扉を閉め、グランナスカを空帝戦艦アルビオン目掛けて突っ込ませた。


「行くぞ! 救出作戦開始だ!」


 グランナスカの巨体が空挺戦艦アルビオンに迫る!

 アルビオンからは全身のハリネズミのような砲台から大小いくつもの実弾魔法弾がグランナスカ目掛けて放たれた。


「「バリアフィールド!」」


 大魔女エントラ様とルームさんの魔法障壁はアルビオンからの砲撃を全て無効化し、勢いを増したグランナスカはアルビオンの側面目掛けて突っ込んだ。


「馬鹿め! このアルビオンは世界最高の金属オリハルコンで出来ているんだ! 突っ込んできた方がバラバラになるだけだ!」

「ハハハハ、ぶち当たって砕けてしまえ!」


 アルビオンにいる兵士達はオリハルコンで建造されている船体に絶対の自信を持っていた。

 その中にいる誰もが無様に砕け散る敵船を想定していたのだろう。


 だが、ボク達の乗っている飛行艇グランナスカも古代文明の粋を集めて建造されたオリハルコン製の船だ。

 同じ強度かつ、速度が速い船がぶつかればどうなるか……結果は見えている。


 ドグシャァアアアアアンン‼


 空帝戦艦アルビオンの側面に大型の鳥の形をした飛行艇グランナスカの頭部が大きくめり込んだ。

 その衝撃は相当のものだったらしい。

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