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705 天落刑に処す

◆◆◆


 テリトリー公爵の演説に公爵派貴族達は大歓声を上げていた。

 この空帝戦艦アルビオンがあればいかに最強のグランド帝国の軍勢と言えども敵ではない。


 その上彼等の側には最強の軍人であるパレス大将軍がいるのだ。

 彼がどういう意図で公爵派貴族の側にいるのかはわからないが、それが公爵派貴族達には最も安心感につながっているようだ。


 そのパレス大将軍はパーティーの雰囲気の中、一人だけ特に飲食もせずじっと立ち続けている。

 それはこの連中と同じ席で食事をするのが嫌なのか、それとも部下が何も食べ物をまともに食べられていない状況なのに自分一人だけが食事をすることが許されないと考えっているのかはわからない。


 だがこのパーティー会場の中で彼がただ一人楽しまずにその場に立ち続けているのは間違いない。

 この船の上でパーティーを楽しめているのはこの会場となっているホールにいる貴族連中だけだ。

 それ以外の乗船者からは一人も笑顔が見られない。

 そのパーティー会場の中で笑わずその場にいるのはパレス大将軍以外だとターナだけだろう。


 そして船は錨を上げ、ついに地上を離れて高く天空に舞い上がった。

 パーティー会場にいた貴族連中も、この初めての体験には驚き、子供のように興奮している。


「何という速さだ」

「高い、高いわ!」

「キャー、怖い……何なのよこれ!?」


 クルー達はもう慣れたものだが、貴族諸侯はこの飛行する大型戦艦に初めて乗った者ばかりだったので誰もが初体験だったと言えよう。


 空帝戦艦アルビオンが離陸して少しすると、振動も収まり、パーティー会場は地上にいた時と何ら変わらない状態になった。


「乗客の皆様お騒がせして申し訳ございません。ですがもう大丈夫です。船は安定の航路に入りました」

「ワシらをびっくりさせるとは、どういうつもりだ! 許さんぞ」

「そうよそうよ、アンタ達なんてわたくしたちの下僕でしょうが、それが何、貴族様に迷惑かけてるのよ、船から降りたら死刑よ、死刑!」


 公爵派貴族にはモラルなんてあるわけがない。

 自分達が少しでも不快な気分を味わったというだけで全員が罵声を上げている状態だ。


 それを鎮めたのはテリトリー公爵だった。


「コホン、静粛に……貴族諸侯の諸君には不快な思いをさせてしまったようだ。その口直しに余興を楽しんでいただきたい……」


 彼がそう言うと、兵士達がこの場にそぐわないみすぼらしい恰好をした者達を船外の甲板に連れて行った。

 その中には先程テリトリー公爵の前にいただけの貴族も含まれている。

 これから行われるのはおぞましい処刑なのだ。


 貴族連中はその様子を艦内ホールの巨大水晶に映ったものを見ている。

 流石にこの高度で外に出るのは命の危険があるからだ。


「静粛に、ここにいる者達は全て我々貴族に逆らった愚かな連中だ。これよりこの者達を処刑する!」


 腰に命綱をつけた執行官らしき軍人が大声で叫んだ。


「助けてくれ! オレは無実だ」

「税金は納めたはずなのに、何故わたしが殺されるんですか」

「悪魔め、お前達こそ地獄に堕ちろ!」


 猿ぐつわを外した途端騒ぎ出した男達を軍人が殴りつけた。

 倒れた男が風にあおられ、甲板をスライドする。


 流石にそのままでは処刑執行前に転落してしまうことになるので、兵士が彼を捕まえに走った。

 捕らえた男を突き返した兵士だったが、今度は彼が風にあおられてしまい……そのまま船外に弾き出されてしまった。


「うわぁあああっ‼‼」


 それが兵士の最後の言葉だった。

 彼はそのまま雲海の中に消えてしまった。

 この空から落ちて生きているわけがない。


 これが公爵派貴族の処刑方法なのだ。


 本来は高い塔の上から叩き落とすのが主流なのだが、今回は趣向を凝らしてこの空帝戦艦アルビオンから叩き落とすことを決めた。


 当然これを言い出したのはテリトリー公爵である。

 そして、悪魔による処刑が次々と執行されることになった。


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