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695 襲われたターナ

ユカ達が破械神バロールと戦っている頃の地上の様子です。

◆◆◆


 空帝戦艦アルビオンは謎の巨大な光の攻撃を上空から喰らい、飛行不能になって湖の上で修理作業が続けられていた、


「急げ! 早く修復しないとお前達の首だけではなく家族の首も全部飛ぶぞ!」

「了解です! しかし今だ修復の目途は立っておりません!」

「困ったものだな……パレス大将軍がどのような判断をされるか、それを待たないと……」


 彼等は軍人として上からの命令に絶対服従だ。

 それ故にいくら彼等が何かを考えていたとしても、最高司令官であるパレス大将軍の判断無しには動けない。


 だからと何もしないと叱責される。

 でも修復の目途がつかない限りは何をすればいいのかわからないので結局作業しているフリだけでうろうろしているのが現状だ。


 一方パレス大将軍は上空から降り注いだ光のことを考えていた。


「アレは一体何だったのだ? まさかこの世界に空帝戦艦アルビオンを傷つけられる存在があるなどとは信じられん……」


 パレス大将軍は椅子に座り、酒をあおった。

 そしてその後、立ち上がり自らがアルビオン内部の状況を見ることにした。


「お前達、ここはどうなっている?」

「はっ! パレス大将軍。現在この場所は上空からの攻撃を受けたことにより修復作業中です。ですが肝心の飛行箇所の修理を出来るものがおらず作業は難航しております!」

「そうか、技師はおらぬのか?」

「それが、技師にもこのような古代の兵器を修復できる者はおらず、何をどう修理すればいいのかが全く見当ついておりません!」


 パレス大将軍はこの報告を聞き、自らの記憶を思い出していた。

 確か……この船を発掘して飛ばせるようにしたのは魔技師ダルダロスの弟子の子孫である『クロゼット・スミソニアン』だった。

 そのクロゼットには後継者の娘がいたはず……その娘ならこの船を修復できるかもしれない。


「お前達、第二格納庫には小型の飛行艇があったはずだが、それは整備できているか?」

「はっ! そちらでしたらすぐにでも飛行可能です!」

「この近くの町にスミソニアンの娘がいるはずだ、至急彼女を連れてこい!」

「了解であります! パレス大将軍!」


 パレス大将軍の命令で十数名の兵隊達が小型飛行艇に乗り込んだ。


「目標は近隣の町、スミソニアンの娘ターナを探し出すんだ。少し手荒なことをしても構わん!」

「しかし大将軍が住民には手荒なことをするなと命令していたはずだ」

「へっ、どうせアルビオンが飛ぶようになったら全員皆殺しなんだから遅かれ早かれだろ」

「例えそうだったとしても我々は大将軍の命令を守らねばならぬ。出来るだけ住民には手を出さずターナという娘を無傷で連れ帰るように!」


 上官の命令で小型飛行艇に乗った兵隊達は、冒険者ギルドの町に向かった。


◆◆◆


 冒険者ギルドの町の近くに降り立った兵隊達は町に入り、住民に剣を突き付けた。


「大人しくしろ! 抵抗しなければ手出しはしない」


 ユカ達も冒険野郎Aチームも不在の冒険者ギルドは、今各地に冒険者達が復興作業中で出かけていて手薄だったので最低限の人数だけだ。

 そんな状況にいきなりフル武装の兵隊がやってきたので誰一人として抵抗できる者はいなかった。


 住民にターナの居場所を聞き出した兵隊達は町外れの扉の閉まった鍛冶屋の前にやってきた。


「誰だよ、今は作業中だってのに。閉店してるってわからないのかな」


 ドンッ!


 鍛冶屋の扉を蹴破った兵隊達は建物の中に入ってきた。


「誰もいないぞ!」

「見ろ、地下扉だ。この下に違いない」


 地下の扉をこじ開けた兵隊達がターナの地下工房に押しかけてきた。


「ターナ・スミソニアンだな! 大人しくしろ。そうすれば手荒なマネはしない!」

「ふざけんじゃないよ! 勝手にアタシの家に押しかけておいてアンタ達何様だい!」

「黙れ、黙らないと痛い目にあうぞ」

「出来るもんならやってみな!」」


 ターナはそう言うと手に持った細い管を兵隊に向けて引き金を引いた。


 バチバチバチッッ!


 棒の先からは激しい電気の魔法が放たれ、直撃を受けた兵隊の一人がその場に倒れてしまった。

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