68 いざ盗賊退治へ!
「フワフワ族とは山に生きる民です。優れた弓の使い手であり、モッサール族と同じ動物と話したり仲間にする事の出来るスキルの持ち主達です」
「でも、そのフワフワ族が何故マイルさんに似ているのでしょうか?」
「うーん、あーしの母さまが獣人族だったからじゃないかな?」
どうやらマイルさんは人間族と獣人族のハーフかクォーターのようだ。
「母さまがフワフワ族だったかどうかはよく知らないけど、獣人だったので一部で差別されてたのは知ってた。あーしがポディションの娘をいじめたのもそれを馬鹿にされたのがきっかけだったかなぁ」
イジメ、いくない。しかし、きっかけが人種差別からのやり返しだったのは先に手を出した方が悪いとも言えない。異世界でも人種差別の闇は存在したのだ。
「マイルさんのお母さんって?」
「父さまと一緒に馬車の事故で亡くなったよ……綺麗で立派なフワフワの髪と尻尾が自慢の母さまだったなー……」
マイルさんが過去を思い出すように遠い目をしていた。
「マイル様、お母様の事で他に何か覚えている事はございますか?」
「うーん、あーしと同じ猫耳で銀色のフワフワな髪をよく小さい頃触らせてもらったなー」
「それは、銀色の髪に金色の瞳ですか?」
「多分そうじゃなかったかなー。母さま自分の事話した事ほとんどなかったから」
私はマイルさんがフワフワ族のクォーターだと確信した。オンスさんの言っていたフロアの母親の特徴と似ている。そしてその一族はまだ生き残っているのだ。
「オンスさん、フワフワ族の居るのってどこですか?」
「ユカ様! まさかフワフワ族に会おうというのですか? やめておいた方が良いですよ!」
「そんなにヤバいんですか?」
「ヤバいって意味は分かりませんが、よそ者を嫌い、村に近づけば殺します!」
マジヤバな戦闘種族じゃないか! アマゾネスみたいなもんなのだろうか。
「あ、あーしはフワフワ族の事とか……興味ないからね」
「俺も今はそういう事をしている場合ではないと思う」
とりあえずフワフワ族と会う話は先延ばしにしておこう、今は盗賊の住処を探す事が重要だ。
「みんな、森の中には盗賊はいなそうだ、街道から別のルートを移動しよう」
「ユカさん、俺に任せてもらえますか」
フロアが私に何か提案があるようだ。
「いいけど、どうするの?」
「来いっ! ピィイイイーーーーー」
フロアは指笛を大きく鳴らした。その音を聞いて上空から数頭の大型のダイブイーグルが旋回しながら姿を現した。
クェエエエエ! ククェェエエッェエーーー!
「お前達、この辺りで何か見えないか調べてくれ!」
フロアは上空から辺りの目ぼしいところを探そうというのだ。言うならば衛星写真やドローンで上空から検索をするようなものだろう。
「ユカさん、少々お待ちください。」
そして一時間くらい経った頃、上空に再び数頭のダイブイーグルが姿を現した!
「お前達! 見つけたか!」
クェェェェェ!!!
フロアの手の上に降りてきたダイブイーグルは彼に何かを伝えようとし、再度空高く舞い上がっていった。
「ユカさん! 盗賊団の居場所が分かりました!」
「フロアさん、ありがとう! これで盗賊を倒せるぞ」
「ユカ様! 行きましょう!」
「盗賊団なんて私の魔法でイチコロですわ!」
「商隊のみんな、オトリ作戦実行するよ!」
「マイル様! かしこまりました!!」
「……行きます……!」
私達はついに盗賊団の住処を特定した! 後は退治するだけだ!
だが私の経験上、RPGゲームのこういったシナリオでは盗賊を倒すだけでは問題解決にはならない。
盗賊を倒した上で、その生き残りにヘクタールとのつながりを自ら吐かせないとこの先の話が続かなくなるのだ。結構難しいミッションかクエストになりそうだと言える。
まあ、今は盗賊を退治してから今後の事を考えよう!