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684 見えた勝機

 バロールには翼は無い。

 しかしあの怪物は巨体にもかかわらず、空中に浮いているのだ。


 どうやらバロールは下半身で何かの力を使って空中に浮きあがっているようだ。

 

 本来、バロールの破壊光線は自身の目の動きのある場所までしか攻撃できない。

 つまりは本来ならバロールの眼の下の部分は破壊光線の届かない死角になっていたと言える。


 だがそれはアイツが地面にいること前提の話だ。

 アイツが地面にいる限りは眼の下の角度までは破壊光線や衝撃波は放つことが出来ない。


 しかし今あの怪物は空中に浮きあがり、身体を自在に回転させながらボク達の方に向かって破壊光線を放とうとしているのだ。


 バロールは全身にかなり大ダメージを受けている。

 その装甲の内側はかなりズタズタになっているようだ。


 破壊光線を放とうとするバロールの中身がところどころ見える。

 もう少し機械に詳しい人ならあの動きを見ただけでどこがどう動いているのかが分かるのかもしれない。


 機械の素人のボクが見た感じでわかるのは、バロールのスカート部分の内側には巨大な球体があることだ。

 素人考えかもしれないが、バロールはあの球体を使い空中に浮き上がっているのではないのだろうか?

 ここは何故かそういうわけのわからない機械に強いソウイチロウさんに聞いた方が良さそうだ。


『ソウイチロウさん、バロールのあの下半身の球体って、やはりアレで空中に浮いているのでしょうか?』

『そうだな、十中八九そうだろう。アイツは翼が無い。それなのに空中に浮けるとしたら魔法か何かの機械で動いていると考えても間違いないな』


 やはりそうだった。

 異世界の機械に強いソウイチロウさんがそうだと言ってくれているんだから、バロールの球体は間違いなく空中に浮くためのものなんだ。


「エントラ様、あの球体目掛けて魔法を撃てますか?」

「それは簡単だけど、あの球体に何があるのかねェ」

「どうやらバロールはあの球体を使って空中に浮いているみたいなんです」

「成程ねぇ、それなら魔法でちゃっちゃと片付けようかねェ」

「どれ、面白そうじゃからワシも力を貸してやろう」


 大魔女エントラ様とドラゴンの神様であるアンさんの二人が力を貸してくれるなら百人力だ。


 二人は魔力を集め、バロールの下半身の球体目掛けて魔法を放った。


「アトミックレイ!」

「紫電よ、ここにあれ!」


 雷と炎の帯が螺旋となってバロールの球体に直撃した。

 すると、眼から破壊光線を放とうと力を蓄えていたバロールの向きが少しずれ、溜めていた破壊光線はボク達の反対側の水晶の壁目掛けて放たれた。


 凄まじい破壊光線は水晶の壁をぶち破り、高い闇の真っ暗な空が姿を現した。


「危ない所だった……」


 二人の魔法を下半身に受けたバロールは、おかしな挙動を見せ、少しずつ地面に落ちてきた。

 どうやらバロールは空中に浮くための機械が破損してしまったらしい。

 バロールはどうにか動く左腕をジタバタさせ、全身を動かしながらゆっくりと地面に落下してきた。


 その姿は古代文明の悪しき破壊神とは思えないほど滑稽で無様な姿だった。

 だが笑うわけにはいかない。

 この怪物は数千年以上に渡り、世界に恐怖と破壊をもたらした最強最悪の存在だ。


 今この場でこの悪しき負の遺産に終止符を打たなければ!


 バロールはボロボロと崩れていく外装を落としながらそれでもボク達に向かい攻撃をしてきた。


『気をつけろ、ロケットパンチが来るぞ!』

『え!?』


 バロールは残った左腕を取り外してボク達の方に飛ばしてきた。

 これは遺跡の魔神が使った攻撃と同じものだ。


 ボク達目掛け、巨大な腕が襲い掛かる。

 だがビットも失い、眼からの破壊光線も使えないバロールに残っているのはこの腕だけだ。


 この腕さえ潰せばバロールの武器は全て使えなくなる。

 ボク達の勝利はもう間近だ。

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