682 魂刃縦横無尽斬(オーラインフィニット)
瓦礫を駆け上ったホームさんはオーラで作った剣を構え、バロール向かってジャンプした。
「いくぞぉ! これが僕の最強の究極技だぁああ!」
オーラの剣を高く掲げたホームさんはバロールの巨大な目を目掛け、飛び下りながら剣を振り下ろした。
バロールはそれを迎え撃とうと破壊光線をホームさんに放つ!
「きゃああっ! お兄様!」
「大丈夫だ、問題ないっ‼」
なんとホームさんはバロールの破壊光線をオーラの剣で真っ二つに切り裂いた。
そしてそのまま勢いをつけてバロールの眼前で彼は剣を振るった。
「究極奥義、魂刃縦横無尽斬!」
ホームさんのオーラの刃がオリハルコンで作られたバロールの全身を切り刻む!
バロールの最強硬度の装甲はホームさんの魂の刃であちこちがずたずたに切り裂かれ、内部の機構がところどころむき出しになっていた。
「グゴォオオオオオオ‼」
機械の怪物が怒りで叫んでいるようだ。
だがバロールには口が無いので、全身のきしむ音がそのように聞こえているのかもしれない。
「これでとどめだぁあああっ!」
ホームさんのオーラの剣は折れたり消える事も無く、最後の力を出し切るまで青白い光を放ち続けた。
バロールの全身を上下左右前後に切り裂いたホームさんの刃は、ヤツの右腕に刺さったままのオリハルコンの刃も弾き飛ばし、その衝撃はバロールの右腕を粉々に打ち砕いた。
カギ爪のついた腕が空中に吹き飛ばされ、そのまま腕は地面に刺さった。
これでバロールの武器は一つ使えなくなった。
そう思っていた時、バロールは何か一瞬動きを止め、その場で沈黙した。
まさかこれでバロールが倒せたわけではないだろうが、何があるのだろうか?
沈黙の後、バロールは巨大な目から何かの見えない波動を放ってきた。
これがヤツの攻撃だというのか。
だが、この波動には何のダメージも感じない。
なんだ、不発だったのか……。
そう思った時、バロールの身体の下半身のスカートのような部分に付いていた、いくつものフジツボのような形が剥がれ、空中に舞い上がった。
『ユカ、気をつけろ! あれは無線ビット攻撃だ!』
『ムセンビット? 何ですかそれ』
『詳しく説明している時間は無い! 簡単に言えば使い魔を飛ばしてきているようなもんだ!』
その説明ならボクでも理解できる。
つまりバロールはあのフジツボのような体の一部を飛ばし、使い魔として攻撃させる事ができるのだ。
バロールの身体の一部は、ボク達の周りを飛びまわり、そしてその中心部分から細い光線を何本も放ってきた。
「ぐわぁああっ!」
先程力を使い果たしてしまったホームさんはもう剣を振るう気力も無い。
オーラの刃の消えた折れた剣を持ったホームさんはバロールの使い魔ビットによる集中攻撃を受けていた。
「こいつっ! さっさと離れろ!」
ボクは新生エクスキサーチを振るい、ビットを一匹切り裂いた。
この新生エクスキサーチはバロールと同じオリハルコン製だ。
通常の武器では攻撃の利かないビットもボクの剣なら一撃で倒せる。
しかし最初の一匹は倒せたが、ビットは素早い動きでボクの攻撃を避けながら何度も光線を放ってきた。
「このままではみんなが」
ビットに翻弄されるボク達を助けてくれたのは、シートとシーツの二匹だった。
だがオリハルコン製ではない彼らの武器は攻撃するたびにどんどん砕け、最後はボロボロになってしまった。
疲労状態のホームさんはエリアさんがどうにか治癒魔法で癒してくれたので、今はウ国ことくらいはできるようだが、戦力にはならなそうだ。
バロールだけでも大変なのに、ヤツの使い魔ビットまで増えたとなると、戦いは更に困難になる
その上ホームさんは全力を出し切ったのでもうこれ以上は戦えない。
ここからはボクがやるしかない!
ボクはホームさんの守りをルームさんとフロアさん達に任せ、バロールに立ち向かった。




