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67 モッサール族とフワフワ族

 動物達との宴は朝になり解散になった。

 フロアの呼んだ動物達はそれぞれがお腹をいっぱいにして森の奥に帰っていった。


「うーん、よく寝た」


 私はあの夜、その後すぐに寝る事が出来た。


「お早う御座います。ユカ様」

「ご機嫌ようですわ。ユカ様」

「おはよう。ホーム、ルーム」


 二人は商隊の皆さんのいる場所に戻る準備を済ませていた。


「ユカ様。おはようございます!」


 フロアが私に深々と頭を下げた、しかし何か違和感を感じる。

 まだレジデンス兄妹は(ユカ)よりも年下なので敬語や様付けもわかるが、フロアさんはどう考えても私よりも年上である。


「あのー……フロアさん」

「どうしましたか、ユカ様」

「その……ボクのことをユカ様と呼ぶのはやめてくれないかな」

「ユカ様、それはなぜ?」


 フロアさんは私を森の仲間の恩人と認識していて、恩義の為に忠誠を誓おうとしているのだ。

 それはよくわかっている。


「ボクはフロアさんよりも年下です、なので……様をつけるのはちょっと勘弁してほしい」

「それでは我が一族の誇りが!」

「それなら……せめてユカさん、でお願いできませんか? 僕もフロアさんと呼びます」

「わかりました……ユカ……さん」


 これでフロアさんの私への呼び方を変える事が出来た、少し安心だ。


「それで、ユカさん。この後どうするのですか?」

「一度商隊の皆さんの所に戻ろうと考えてる、いっしょに行ける?」


 フロアさんは仲間になったとはいえ、人間嫌いで森の奥で盗賊まがいの事をしていた。

 そんな彼が人に会うのを嫌がるならそれも仕方がない。


「わかりました、ユカさん。俺も行きます!」


 フロアさんの私に従う意思は人間嫌いの気持ちよりも優先させる事らしい。

 少しは彼の居やすい場所を用意するのが今の私のする事だろう。


「みんな、行こう!」



「フロアー!! 無事だったか……無事だったんだな!!」

「オンス……さん、ただいま」


 フロアさんは商隊が旅劇団だったとは知らなかったわけだ。

 旅劇団の元の仲間はフロアさんとの再会を喜んでいた。


「ユカさん……俺、人間にこんなに優しくしてもらっていいのか?」

「そこはフロアさんの元々の居場所だったんだろ。家族みたいなもんだよ」

「家族……俺は一人ぼっちじゃなかったのか」


 それを傍で見ていたホームとルームは二人で話をしていた。


「確かに盗みをしていたのは事実だけど、フロアさんは人殺しはしていない。それに今後は繰り返す事もないだろうね。情状酌量の執行猶予でいいと思うんだ」

「お兄様! 甘いですわ! 乙女の裸を覗いた罪はキツークおしおきするべきですわっ!」


 そのルームのキツイ言い方にフロアさんが冷めた目で呟いた。


「はぁ? 誰がお前みたいなチンチクリンを覗くか」

「っ! キーーー! 何ですってぇーーー!?」

「はいはい、二人ともバカやってないでさぁ」


 大人げない二人の口喧嘩を止めたのはマイルさんだった。


「フロアちゃん、ほーら。ママでちゅよぉー」

「!!!! ななな、なにを言うんだアナタは!?」


 昨日の夜の事は私の胸の中だけにしまっておくつもりだったが、よりによってマイルさんは全員に分かるように話してしまった!!


「マママ……マイルさん! やめてください!!」


 フロアさんは手で目を隠そうとしているもののマイルさんの胸や猫耳をチラチラ見てしまっていた。


「まあマイルさんがフッサーリさんに似てるからだろうなぁ」

「オンスさん? フッサーリって誰ですか?」

「私達にフロアを預けた彼の母親だよ。フワフワ族の族長の娘だったらしい」

「フワフワ族?」


 モッサール族だのフワフワ族だの、この世界には毛が多い現地人が多いのか?


「フワフワ族は山の民、その族長の娘が森の民モッサール族の族長の息子と恋に落ちて生まれたのがフロアなんだよ」

「その、フワフワ族ってのはどんな人達なのですか?」

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