666 マスターキーと管理者権限
「私の名前ですか? エリア、でお願いします」
「エリア、サマ。ニュウリョクカンリョウイタシマシタ。ヨロシクオネガイシマス」
「はい、ビブロスさん、よろしくお願いします」
エリアさんの名前を入力すると、ビブロスはエリアさんに話しかけてきた。
「エリアサマ、オキキニナリタイコトハ、ドノヨウナコトデショウカ?」
「ビブロスさん、私達はここに来たばかりで何もわかりません。ここは一体どのような場所なのでしょうか?」
「ワカリマシタ、エリアサマ。ソレデハコノエルドラドについてゴセツメイイタシマス」
そういうとビブロスの身体の一部の水晶の板に何かの絵が浮かんだ。
それは絵ではなく、何かを切り取ったくらいに緻密な物だった。
「ココハ、エルドラド。ダイイチトシアルカディアノアトニツクラレタジンコウノシマデス。ソノシュウヨウニンズウハオヨソスウジュウマンニントモイワレテイマス」
ビブロスの話し方を聞いていた大魔女エントラ様が何かイライラしたような様子だ。
「あァまだるっこしいねェ! もっとはきはき喋れないのかねェ!」
「オヤ、アナタハダレデスカ? アラタナゲストサマ?」
あまりのたどたどしい言葉にイライラした大魔女エントラ様はビブロスに向けて魔法を放った。
「エントラ様! せっかく古代のことを聞ける相手がいたのに、何をするんですか!?」
「大丈夫だってねェ。あまりにも使い勝手が悪いから少し細工をしただけだからねェ」
少しの沈黙の後、ビブロスが再度動き出した。
「あ、アア。只今音声テスト中。言語システム、辺境の未開の地の部族と認識。言語システムを調整します」
なんとビブロスがボク達の言葉を話し出したのだ。
しかしそれの言葉が辺境の地の未開の部族というのが少し気に障るが仕方ないか。
「エリア様、お聞きになりたいことはどのような物でしょうか?」
「先程の……エルドラドのことについてもう一度聞かせてもらえますか?」
「了解です。エルドラド……エルドラドに関するデータを検索中、検索中」
ビブロスが再び何かを調べ出した。
「エルドラドに関する項目、五百万件以上見つかりました。その一番上位にある情報をお伝えします。エルドラドは軍事用に特化した第一都市アルカディアと違い、居住に最適な現代技術の粋を集めて造られた第二都市。宗教は創世神クーリエ・エイータを主神とし、主な産業は農業、水産業、牧畜、魔法技術、商業等多種に渉る」
ビブロスの説明が先程のたどたどしい説明とは大違いだ。
これも大魔女エントラ様の魔力のおかげなのか、それとも本来それくらいの能力だったものが再起動した際に使い物になっていなかったのかはわからない。
だがこのビブロスの情報はボク達がゴルガ文明の負の遺産であるバロールや空帝戦艦アルビオン、ウルティマ・ザイン、オルビス・ザインといった最悪レベルの強敵と戦うために必須だ。
今はとにかくバロールのことを調べないと。
「エリアさん、バロールについて聞いてみてもらえますか?」
「はい、バロール……ですね。ビブロスさん、バロールについて何か知っている事があったら教えてもらえますか?」
「……バロール……検索、検索!!!!! バロールは、超極秘事項に当てはまります。管理者権限を持たない一般人にはその情報をお伝えすることは出来ません!」
何ということだ。
管理者権限が無いとバロールのことを調べることが出来ないらしい。
管理者権限、そういえばジバ総司令からマスターキーというアイテムを預かっていたけどコレで使えるのかな?
「これを見せればいいのかな?」
「確認中、マスターキー確認。セキュリティーロック解除。データベースアクセス可能」
どうやらこれで色々とバロールやゴルガのことを調べることが出来そうだ。




