662 この中に入るには?
ボク達は長い階段を上り、大きな透明の扉の前にいた。
透明な扉の向こうは何かの機械や本棚が所狭しと並んでいる。
どうやらここがセントラルデータセンターという場所らしい。
「まあ見るからに図書館って感じの場所だねェ。でも入り口が閉まったままだねェ」
ボク達はどうにか中に入る方法が無いか辺りを探してみたが、鍵も何も見つからなかった。
ジバ総司令に貰ったマスターキーも水晶の板の上で使ってみたが、そもそも機械自体が何一つとして反応しない。
「さて、困ったもんだねェ。また微量の雷の魔法で機械を動かせばいいのかねェ」
その時ソウイチロウさんがボクの頭の中で叫んだ。
『頼む、すぐエントラ様を止めさせてくれ! もし失敗したらとんでもないことになってしまう!』
ボクはソウイチロウさんに伝えられたままのことを大魔女エントラ様に話した。
「エントラ様、やめてください! 下手したら機械がトンデモないことになってしまいます!」
「あ、あら。そうかねェ。じゃあやめとくかねェ」
彼女はすんなりとボクの言うことを聞いてくれた。
その後ソウイチロウさんがボクにさっきの理由を教えてくれた。
『ふう、危機一髪だったな。なんで私が彼女を止めさせたかというとな、こういう機械は電流で動いていることが大半だ。だがその電流は強すぎても弱すぎてもダメなんだ。決まった強さの物を一定の量で流さないとせっかくのデータ、つまりは資料が消えてしまう可能性もあるんだ』
なるほど、そんな理由だったんだ。
雷で動くとか、雷で資料が消えるというのがイマイチよくわからないが、彼の言うことは間違って無いのだろう。
『それに、もし仮にエネルギーが復旧してここの熱源がバロールに見つかったらどうする?』
確かにそう言われるとそうだ。
あのバロールはどうやってボク達を見つけるかわからないが、熱や音波等を調べてボク達を見つけ出す可能性がある。
『そういう意味でここでは下手に熱や光の出るようなものを使わない方が良いんだ』
バロールに見つからないように古代の資料を探すのはかなり大変そうだ。
「とりあえずこの中に入れないとどうもならないねェ」
「ボクが一度試してみます。ここの地面を土にチェンジ!」
ボクの足元の金属で出来た地面が土くれに変わった。
「ここから中に入れないかな?」
「なるほど、地下から入るのか」
ボク達は地下から入り、階段のある場所を探してどうにか扉を開けて入口まで戻ってきた。
だが内側から外に出る扉はどうやっても開けることが出来なかった
「よし、ここからなら。ここの床をワープ床にチェンジ!」
ボクは入り口前にワープ床の入り口を作り、外までまた地下を通って元の場所に戻ってきた。
『ソウイチロウさん、この場所でもワープ床を作ることってできるんですよね?』
『ああ、とりあえずは座標点の調整で出来ると思う、私が代ろうか?』
『いえ、ボクが試してみます』
ボクはソウイチロウさんに聞いたやり方でワープ床を目の前に作った。
この出口を扉の向こう側に合わせればここから中に入ることが出来るかもしれない。
ボクは試しにさっき作ったワープ床に踏み込んでみた。
するとボクの身体はさっきの建物の内側に作ったワープ床の所に移動出来た。
成功だっ!
ボクは一度中からみんなのいる外側に戻り、全員を内側に移動させた。
これでようやくこの中で調べものが出来そうだ。
ボク達はまず本を探すことにした。
本に書かれている文字は古代文字だったので、ボクも少しは読むことが出来た。
どうしても読めないものは大魔女エントラ様が読んでくれるので彼女に渡せば問題なさそうだ。
ボク達はこの図書館で読める本を片っ端から読んでみることにした。
問題はどれだけの時間がかかるかということか。
それでもボク達は色々と調べないといけない。




