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661 地下鉄跡を移動する

 バロールから逃れ、地下迷宮に入ったボク達はエルドラドの地下部分を調べることにした。

 エルドラドの地下は何か2本の鉄の棒が敷かれた道がどこまでも続いていて、ところどころ壁が崩れているがこの道を通ればどこにでも移動できそうだ。


『ふむ、これは地下鉄の跡だろうな』

『ソウイチロウさん、地下鉄って何ですか?』

『そうだな、電車……といってもわからないだろうから、もっとわかりやすく言うなら……馬の引かない長い形の馬車がいくつも繋がっていて地下を動いていた物、といえばいいかな』


 やはりワケがわからない、というか想像がつかない。

 地下だけを走る馬の無い馬車なんて言われても、そんなただの箱に車輪がついたようなものが何で動けるのかが想像できない。

 ひょっとして何かの魔法で動いていたのか?


『ソウイチロウさん、もういいです。全然わからないですから』

『そうか、それは悪かったな。まあとにかくこのエルドラドのあちこちに移動するならこの地下鉄跡を使えばバロールに見つからずに移動できるってことだ』


 まあとにかく一種の洞窟やトンネルだと思えばいいんだな。

 それ以上考えても頭が痛くなるだけだ。


『しかし、ボスが地上で暴れまわっていて主人公たちが地下を移動するって、昔私が作っていたゲームでも同じようなモノがあったな。タワーオブ・サガの都市世界に出てきたホウオウから逃げ回るってシナリオだったな』

『ソウイチロウさん、ワケのわからないこと人の頭の中で勝手につぶやかないで下さい!』

『あ、ああ。悪かったな』


 この人と話していると本当に頭が痛くなることがある。

 まあそんなことより今はこのエルドラドであのバロールを倒す方法を探す方が重要だ。


 ボク達が少し歩き続けると、広い地下空間に出てきた。

 そこは平らになっていて何か看板らしきものがあった。


「へェ。これ古代文字じゃない。どれどれ、どうやらこれは案内図みたいだねェ」


 大魔女エントラ様が見たのは壁にかかった何かの案内図だった。

 それは蜘蛛の巣のようにびっしりと張り巡らされていて、一か所に赤い丸がついている。

 どうやらこの赤い丸がある場所がボク達の今いる場所のようだ。


「この案内図を見ると、どうやらこれは古代に使われた移動通路みたいだねェ。この道を移動すればあのバロールに見つからずに移動できそうだねェ」

「そうですね、まずはどこに行けばいいんでしょう」

「そうねェ。それこそ図書館かアーカイブセンターとやらを探せば良いんじゃないかねェ」


 なるほど、確かにそれが一番確実かもしれない。


「わかりました。それでその図書館らしい場所はどこにありますか」

「ちょっと待ってねェ。えっと……ここからそう遠くはなさそうだねェ。地下を少し歩いた三つ先みたいだねェ」

「わかりました。ではみんなでそこに向かいましょう!」


 ボク達は再び地下の道を通り、三つ先の広い場所に出た。


「エルドラド・セントラルデータセンター前。ここで良さそうかねェ」


 多分ここで良いのだろうとは思うが、この地下からどうやって地上に行けるのだろうか。

 ボク達は段差のある広い場所に上がり、そこから上に向かう階段を探した。

 

 長い階段があり、それはどこまでも上に続いている。


「長い、古代の人達はこんな長い階段を歩いていたのか……」


 その時ソウイチロウさんが何か言ってきた。


『いや、そんなわけないだろう。どう考えてもこれは電源の切れたエスカレーターだと思うぞ』

『だからボクに分からない謎の言葉ばかり使わないで下さいっ!!』

『あ、ああ。悪かったな。つまりエスカレーターとは、一歩歩けば勝手に上に自動的に送ってくれる階段のことだ』


 エレベーターという地面が上下する床といい、エスカレーターという勝手に上り下りする階段といい、この人や古代の人は一体どんな場所に住んでいたのだろうか?


 ボクには全く想像がつかなかった。

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