655 決戦の準備
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空帝戦艦アルビオンがソルブラスターの一撃を喰らい、中破して不時着するのを見たボク達はエルドラドに向かう準備を進めた。
「アレだけのダメージを受けていればそうすぐには飛び立てまい。ユカ様達がバロールを倒して戻る頃までの時間稼ぎは十分に出来たと思われます」
「ジバ様、ありがとうございます」
「はい、皆様がエルドラドに向かっている間、何かお役に立てる事があればご協力致します」
「そうねェ、それじゃああのアルビオンやウルティマ・ザインのことを調べておいてくれるかねェ」
大魔女エントラ様がジバ総司令に頼んだのは空帝戦艦アルビオン、そしてウルティマ・ザインといったゴルガ文明の破壊兵器の情報だった。
「承知致しました。我等で調べられる事でしたら、ご協力致します」
「助かるわぁ。それじゃあお願いねェ」
「はい、お任せ下さい」
ボク達は今後アルビオンやウルティマ・ザインといった怪物と戦わなくてはいけない。
そのためには少しでも多くの情報が欲しいところだ。
それをわかっている大魔女エントラ様はボク達を代表してジバ総司令に調べものを頼んでくれた。
今ボク達の持っている情報はあまりにも少ない。
この状態で最強最悪のゴルガの破壊兵器と戦うのは無謀だ。
「皆様、今このアルカディアにあるデータはこの指令室で大半を見ることが可能です。今我等の把握している破械神バロールのデータはこちらになります」
「こ、これは……想像以上だねェ!」
ボク達が見たバロールの情報は、とてつもないものだった。
その巨体は小さな山にも匹敵し、巨大な眼から放たれる光線は一つの国すら一瞬で滅ぼすほどの威力。
巨大なカギ爪は城壁や鉄塊すら一瞬で切り裂き、全身はオリハルコンで作られている上、魔法で更に強化されている。
「バロールは黄金巨神ダルダロスとほぼ互角の強さだと見て間違いないでしょう。倒す方法は……我等には到底思いつきません。ですが、黄金巨神ダルダロスと互角に戦った皆様が我等の持つ最高の武器防具をもってすれば、必ず倒せると信じております」
確かに今のボク達のレベルならあの黄金巨神ダルダロスとも戦うことができた。
それにこの浮遊要塞アルカディアにある伝説級のSSSアイテムがあれば確かに勝てるかもしれない。
ボク達はそれぞれが自身にピッタリの武器防具を使わせてもらうことにした。
ボクは伝説の剣、エクスキサーチを持っているので防具だけオリハルコンの鎧を受け取った。
どうやらアルカディアの技師に聞くと、ターナさんの作ったレジストベルトや魔法の腕輪は今では失われた古代の技術を使ったもので、ここでもそれを作ることはもう出来ないらしい。
ボク達は貴重なオリハルコンの塊を分けてもらい、大魔女エントラ様の空間に収納した。
これがあればレジストベルト等もさらに強化することができるそうだ。
ホームさんはオリハルコンの剣を受け取り、ルームさんは魔力増幅の腕輪を、大魔女エントラ様はペンダントを受け取ったようだ。
ペンダントは古ぼけたもので、あまり価値の無いものだとアルカディアの人は言っていたが大魔女エントラ様はあえてそれを選んだらしい。
ボク達が一体なぜそれを選んだのかを聞いたが、はぐらかして答えは教えてもらえなかった。
アンさんは何か薄い衣が気に入ったようだ。
他に彼女はオリハルコンで出来た薄くて軽い靴を選んだ。
どうやらこれなら人間の姿の時に戦いやすいらしい。
フロアさんはオリハルコンで出来た鞭を、サラサさんはオリハルコンで出来たブーメランと弓を選んだようだ。
オリハルコンの矢もあったみたいだが、矢は消耗品なので普段は普通の矢で問題が無いらしい。
ここにいないカイリさんやマイルさんにも何か武器を渡したいが、それといった彼らにあったモノがわからないので、加工前のオリハルコンの板を大魔女エントラ様の空間に収納させてもらうことにした。
ターナさんなら何か作ってくれるだろう。
さあ、これで準備は整った。
行こう、エルドラドへ!




