653 最高峰の武器防具
ボクはこの浮遊都市アルカディアが地上に干渉しないと言っていた理由を目の前で見せつけられた。
アレだけボク達を苦しませた空帝戦艦アルビオンが浮遊要塞アルカディアから放たれたソルブラスターの一撃で大打撃を受けたのだ。
ソルブラスターは魔法障壁をも貫く高温の太陽の光を一か所に集め、一条の光として解き放つ古代の武器だ。
さしものアルビオンもその一撃には敵わなかったらしい。
ボク達の見ている水晶には高度を下げてどんどん地上に不時着しようとしている空帝戦艦アルビオンの姿が映っていた。
「す……凄い! これが古代文明の力」
「そうです、この力はあまりにも強大すぎるので地上のパワーバランスを簡単に変えてしまい、なおさらに地形すらも変えてしまう程のものです。我等戦いを好まないエイータ様の信徒はその力を外に振るうことなく、この土地に住み、長い間エイータ様のご帰還を願い続けたのです」
ジバ総司令はそうボク達に話してくれた。
確かにこの力は地上の全ての国の総力よりもよほど上だ。
この浮遊要塞アルカディアの人達が全力をもっても勝てないほどの敵だったのがゴルガ軍国だと考えると、その悪しき文明の力を復活させて世界を支配しようとしている公爵派の連中は絶対に許せない。
「これであの空帝戦艦アルビオンが破壊できたとは思えませんが、修復にはかなりの時間を要するでしょう。皆様がエルドラドに行って戻ってくるくらいにはまだ飛び立つことは出来ないかと思われます」
「ジバ様、ありがとうございます」
「いえ、礼にはおよびません。むしろ我等こそバロールとの戦いに力を貸すことができず申し訳ない。せめてこのアルカディアにある最高の武器防具をお持ち下さいませ」
ジバ総司令がそう言ったことで、ボク達はアルカディアにある最高の武器防具というものを用意してもらえることになった。
「おや、ユカ様のお持ちのその剣、それはひょっとしてエクスキサーチでは無いのですか? 少し形が違いますが」
「はい、これはエクスキサーチです。それをターナさんが改良してくれたので、少し形が変わっていますが」
「信じられん、まさかオリハルコンを加工出来る魔技師が地上にいたなんて! まさかその者はダルダロスの縁の者なのか?」
「はい、彼女はスミソニアンと名乗っていました。どうやら魔技師ダルダロスの弟子だった人の子孫だそうです」
ボクがターナさんのことを伝えると、ジバ総司令は驚いた顔をしていた。
「なるほど、その剣なら確かにバロールを倒せるかもしれない。それはオリハルコンに古代の技術の全てを集めて作られた究極の剣だ。だがそれをさらに加工して強化できるとは、流石はダルダロスの弟子というべきか」
ジバ総司令ですら驚くレベルの技術。
ターナさんはやはり凄い魔技師だったというわけだ。
「残念ながら剣はこれ以上の物を用意することができません。ですが防具でしたらご協力出来るかもしれません。また他の皆様の物もお好きなものをお持ちくださいませ」
ジバ総司令が浮遊要塞アルカディアの人達に伝えた命令はあっという間に島中に伝わった。
エルドラドに向かうボク達のために様々なものが用意され、ボク達は手厚い歓迎を受けた。
今日はあわただしい一日だったが、今ボク達は用意してもらった部屋でゆっくり休んでいる。
明日にはここを出てエルドラドに向かう予定だ。
次の日、ボク達の前にはたくさんの武器防具が用意された。
それは大半がオリハルコンで作られていて、魔力強化されているSSやSSSレベルのものばかりだ。
羽よりも軽いような重量軽減のかかった鎧。
一切の魔法を跳ね返すリング。
身に着けるだけでHPの回復する腕輪。
鉄鋼の先から火や雷、氷を放つ武器にもなる物。
どれもが地上では伝説の武器やアイテムと呼ばれるようなレベルのものばかりだ。
「皆様、どれでも好きなものをお持ちくださいませ」
ボク達はここにある最強の武器防具で装備を整えることにした。




