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646 総司令との対談

 ボク達と戦っていた兵士達は全員が武器を収め、金属のゴーレムも動きを止めた。


「お前達、すぐに戦いをやめろ。これは上官命令だ!」

「しかし、相手はゴルガのスパイでは……」

「このお方達は違う。俺の首を賭けてもいい!」


 兵士達の隊長と部下の何かのやり取りがあり、その後全員がエリアさんにひざまずいて礼をした。


 だが彼らの古代語が何を言っているのかはイマイチよく聞き取れない。


「どうもアンタ達の言葉は聞き取りにくいねェ。(わらわ)が魔法で何とかしようかねェ」


 大魔女エントラ様が何かの魔法を使うと、今まで何を言っているのかがわからなかった彼らの言葉が理解できるようになった。


「これは脳に直接相手の意識を伝える魔法の流用だからねェ。これでお互い話ができるようになったかねェ」

「エントラ様、ありがとうございます! これで話ができそうです」


 ボク達は兵士達の隊長と話をし、自分達がゴルガではないことを伝えた。

 今度はエリアさんの話を聞いた後だったので、彼らも素直に話を聞いてくれたようだ。


「エイータ様。貴女様のお戻りになられるのを我々は永い間待ち続けていました。さあ、こちらにお越し下さい」


 ボク達は兵士達について行く形で金属の島の中を案内された。

 この中はとても進んだ文明で作られていて、ボク達がぶち破ってしまった透明の水晶に空いた穴もすぐに修理されたようだ。


「さあこちらへ。総司令がお待ちです」


 軍隊の偉そうな人がボク達を部屋の中に案内してくれた。

 そこにいたのは厳格そうな男性の姿だった。


「おお、貴女がエイータ様ですか。ようこそお越しくださいました。私は浮遊要塞アルカディアの総司令『ジバ・アシバ』と申します」


 この島の中でも一番偉そうな人物がエリアさんに最敬礼をしている。


「はじめまして、ジバ様。私はクーリエ・エイータ。今は彼らにエリアと呼ばれています」

「彼ら、とは……貴女様の後ろにいる短命種の召使い達のことでしょうか?」

「ユカ達は私の大切な仲間です! そのような言い方はよしてください」

「エイータ様、それは失礼致しました」


 どうやら彼らは本当に古代人の末裔で、ボク達を召使いだと思っていたようだ。


「しかし何故、エイータ様はこちらに?」

「私達はイオリ様に乗せてもらい、地上から空を登って高い闇の中を抜け、ここに辿り着きました」

「何ですと!? あの宇宙空間を生身で! 信じられん……これが神の力なのか」


 エリアさんの話を聞いたジバ総司令は深々と頭を下げた。


「貴女様は間違いなく創世神エイータ様です。普通の人間がこの浮遊要塞アルカディアに辿り着けるわけがありません」

「浮遊要塞アルカディア?」

「はい、ここは浮遊要塞アルカディア。ゴルガとの世界大戦の後、地上を離れた古代人達の移り住んだ、人の作り上げた人工島です」


 どうやらボク達がゴルガだと思い込んでいた人達は、浮遊要塞アルカディアの人達だったようだ。


「しかし皆様は何故地上にいながらゴルガのことを知っていたのですか?」

「それは(わらわ)が説明しようかねェ」

「失礼ですが貴女は?」

(わらわ)はエントラ。巷では大魔女だの流星の魔女だの災厄の魔女だのって言われてるねェ」


 大魔女エントラ様の自己紹介に一部の兵士達が身構えた。


「よせ、お前達。お前達の敵う相手ではないのは先程の戦闘で思い知ったはずだ」

「そうねェ、まあそれが賢明だわねェ」

「それで、エントラ様。貴女方がエイータ様と一緒にいる経緯などをお聞きできますかな」

「それは(わらわ)よりもそこにいるユカに聞いた方がいいだろうけどねェ。それで、質問に質問で返すのはイマイチ良くない流れだねェ。まあいいかねェ、そうそう、妾達がゴルガのことを知ったのは古代の遺跡にあった円盤の中身を見たからかねェ」


 それを聞いたジバ総司令が驚いていた。


「バカな! まだあの記録ディスクが現存していたというのか! あの飛行戦艦ドックは廃棄されたはずなのに」


 どうやら話がようやく色々と繋がってきたみたいだ。

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