636 伝説の黄金巨神の力
ボク達は岩の塊を利用して移動中だった。
そんなボク達を襲ったのは巨大な光の矢に大量の機械で出来たゴーレムの軍団。
敵は間違いなく古代文明によって作られた最悪の集団だ!
ゴルガ軍国、かつて世界に存在した悪魔の帝国だ。
そのゴルガは恐るべき科学力で世界を蹂躙し、多くの人々を苦しめた。
そのゴルガがボク達を敵と見なし、襲ってきたのだ!
ゴルガのゴーレム軍団はボクの持つエクスキサーチの前には敵ではなかった。
どうやらアンさんや大魔女エントラ様の魔法であっという間に砕かれたので、オリハルコンで出来ていたわけではなさそうだ。
ボク達は高い闇を移動し、ついに機械で出来た巨大島を遠くに見ることが出来た。
あれはあの食料調達をした巨大な機械島とは別のものだ。
つまり、ボク達の眼前に迫っているのはゴルガの巨大城とも言えるだろう。
下手すれば空帝戦艦アルビオンと戦うようなものだ。
まあ流石に島が動くわけはないだろうから、動かないだけアルビオンよりはマシだろう。
そう思っていたボクだったが、それは大きな間違いだった!
「な、何だあれは!?」
「どうやら、魔力エネルギーを使って移動しているようだねェ。まさか、アレだけの巨大な島が動き出すとはねェ……流石は古代文明ってところかねェ」
「うーむ、アレだけ巨大な島を動かすとは、古代の力というのも馬鹿に出来んのう……」
いきなり島が動き出したことにビックリしたボクと違い、大魔女エントラ様やアンさんは少し感心したくらいでそれ程驚いてはいないようだ。
それはソウイチロウさんにも言える。
『ソウイチロウさん! あなたはこの異常な光景に驚かないんですか!? 巨大な島がいきなり動き出ししたんですよっ!』
『ユカ、すまないが私は別にそれ程おかしい物だとも思わないんだ。これ以上の巨大物体が巨大なゴーレムになったりするような作品を作ったこともあるし、観客として見たこともあるからな。あの程度の巨大要塞が動くくらいならそこそこ見慣れたものだな』
もうこのおかしな人達イヤだ。
それともこの光景がおかしく見えるボクの方が変わっているのだろうか……。
とにかく島が動き出したのは間違いが無い事実だ。
そして、動き出した島から光の柱が空高く突き抜けた。
その光の柱は、海と大地を貫き……その中にいたのは、黄金に光り輝く巨体だった。
「ま……まさかアレは!?」
「アレは見間違えるわけがないねェ。間違いなくアレは伝説の黄金巨神……ダルダロス。しかし何故ゴルガの島から出てきたかねェ……?」
「そんな悠長なことを言っておる場合ではないようじゃぞ、あれはワシらを敵と見ておるようじゃ!」
なんと、ゴルガの巨大な機械島から姿を現したのは、銀色の円盤で見た伝説の黄金巨神ダルダロスだった!
まさか、黄金巨神ダルダロスはゴルガの手に落ち、破壊兵器にされてしまったのか!?
バロールと互角に戦った最強の黄金巨神、あれがボク達の敵だとすると……とてつもない強敵だといえる。
どう考えてもこの高い闇に逃げ場はない。
そうなるとボク達はあの黄金巨神と戦うしか無いようだ。
しかし高い闇は音も聞こえず空気が無い魔の空間だ。
どうやったらあの怪物と戦うことが出来るのだろうか……。
ボクは大魔女エントラ様に相談した。
「エントラ様、どう考えても空気の無い場所であんなのと戦えるわけがないです! 何か良い知恵は無いでしょうか?」
「そうねェ……それじゃあ危険かもしれないけど、妾の賭けに乗ってみる勇気は有るかねェ」
「危険かもしれない? 一体何をしようというのですか?」
「‼ 今は話をしている場合じゃなくなったみたいだねェ! バリアフィールド強化!」
大魔女エントラ様が防護魔法をかけ直した。
その直後、ボク達を襲ったのは黄金巨神から放たれた幾千もの光の矢だった。
幸い、光の矢は全て大魔女エントラ様のバリアフィールドで防ぐことが出来た。
しかしボク達と黄金巨神との戦いは始まったばかりだ。




