61 猿達との攻防戦!
「食らいなさい! 私の渾身の大魔法……、ファイヤーーー・ウォーーール!!!」
よりによって鬱蒼とした森の中で大魔法ファイヤーウォールを使うなんて! バカなの? 死ぬの!??
こんなもん使ったら確実に森の枯れ木に引火して山火事になって大惨事確定だ!
しかし止める前にルームはこの大魔法を森の中で使ってしまった。マジオワタ……。
しかし、これで諦めるか逃げるのが常人だとするならば、私にはこの状況を一気に変えるだけのスキルがある! これで一気にファイヤーウォールを無効化すればまだ大惨事になる前に間に合う。
「目の前の森の土を水辺にチェンジ!」
燃え盛る炎の壁の魔法の下に一列になるように幅広の水辺が広がっていく! これでファイヤーウォールは下に出た水によってその姿を一瞬で消滅させた。
キィキィ……キキ
このあまりの大ハプニングにはいたずら者の猿達も流石に驚いたようだった。
しかし、遠くから聞こえた笛のような音を聞いた猿達は再び私達に牙をむいてきた!
ウキーーーィ! ギギッキキキキキ!!
「痛い痛い! 何をするのですの! 乙女の柔肌に傷がつきますわ!」
「ちょっと!! ちょっと勘弁してよっ! あーしこういうの苦手なのよ……ひゃんっ! そこ触らないでぇーーー!!」
「やめて……。やめてください……お願い……」
猿は何匹もが群れになって無防備な女の子三人に襲い掛かった。コイツらには理性とかはないのか?
所詮ケダモノなのか! まあルームが魔法で猿達を本気で怒らせたので自業自得と言えば仕方がないのだが。
「クソッ! 数が多すぎだろ!!」
マップスキルで毒沼形成を使えばこの程度の猿の群れは一瞬で全滅は可能だ、しかし今ネックになっているのは無防備な女の子三人である。
下手にここで毒沼形成をすると彼女達も巻き込みかねない上、この辺りが汚染されて商隊にも悪影響が出る。
ゴブリンやオークリーダーと戦った時は私一人だったのでどうとでも戦えたが、味方に被害を出さずに戦うのは意外に難しい物である。
考えろ、こういう場合どうすれば良いか……彼女たちを守りつつ猿だけを追い払うには……そうだ!
「マイルさん、貴女植物使いでしたよね!?」
「そうだけど、どうするのぉ?」
「コンニャク、サトイモ、唐辛子、ハーブ……何かそういったものを作る事は出来ますか?」
私の前世の母方の実家は農家だったので、以前祖父から聞いて猿の被害を避ける為にイモ類や唐辛子やアロエ、ハーブ等を使っていた事を知っていたのだ。
「そうね、唐辛子ならあるわよぉ」
「それを使いましょう! 一気に唐辛子を生やしてください」
「わーったよ。唐辛子をこの場に育成!」
「私も手伝います……レザレクション!!」
猿に引っかかれたり噛みつかれた三人はルームの魔法で猿を追い払いながら唐辛子を一面に生やし、成長させることに成功した!
キキキッ……キキッ
思った通りだ! 猿は辛い物が苦手なので三人を唐辛子のバリアで包んだら奴らは攻撃できなくなっていた。
「目の前の地面をトゲトゲの罠床にチェンジ!!」
キーーーー!!
猿達は突然の地面に出来たトゲトゲに怯えて逃げ出した。
そして大量の猿に襲われ傷だらけになった三人の女の子だったがエリアのレザレクションのスキルで傷は元通りになっていた。
「逃しませんわよ! 覚悟あそばせ!!」
「ルーム! 火の魔法は禁止だからね!!」
「承知いたしましたわ!」
この猿の動きはどう考えてもおかしい、マンティコアを操っていた魔獣使いが猿も使ってきたと考えた方が良いだろう。
「みんな、魔獣使いを探すんだ!」
ドシャァア!! その時、逃げ出そうとしていた魔獣使いらしき男が私の作った水辺で転倒していた。
「マイルさん! 植物の蔓でアイツを捕まえれますか?」
「あーしに任せなさいぃ! もー、あーしもてっぺん来てるんだからぁ!!」
マイルさんも今回は激おこである、猫しっぽと耳を物凄く逆立てているのが傍から見てもわかるくらいだ。
「植物の蔓よ、目の前のサルをふん縛って!!」
マイルさんの渾身の植物使いのスキルは、猿を操っていたであろう魔獣使いを捕らえ、逆さ吊りにする事に成功したのだった。