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620 一度フワフワ族の集落へ

 ボクはターナさんから新しくなった新生エクスキサーチを受け取った。

 この剣はオリハルコンで出来ていたらしいが、ターナさんがさらに改良することでオリハルコンの力で一気にスキルを増大化させる能力までついたらしい。


 ターナさんはホームさんの剣、魂の救済者(ソウルセイバー)やシートとシーツの二匹の狼の双子用に作った爪もオリハルコンで強化すると言っている。


「ユカ、もしもだけど……魔神や破壊神のパーツでも手に入れることが出来たら持って来てくれないかな? 新しいオリハルコンがあればそれだけアンタ達の武器だけでなく防具にもしてあげれるからさ」

「わかりました、手に入れたら持ってきます」

「期待して待ってるからね。ユカ達が帰ってくるまでにこの武器、きちんと強化しておくから」


 ターナさんに預けたのは結局、ホームさんの魂の救済者(ソウルセイバー)、双子の狼のゾルマニウムクロー、あのオリハルコンの量ではここまでといったところみたいだ。


 だからとボクが下手にオリハルコンの床板を作りまくっても、こちらの体力も持たないし、公爵派貴族に狙われたらターナさんが危険だ。

 今はこれだけでもやってもらえるだけありがたいと考えよう。


 ボク達は旅の準備を整え、次の日の朝に一度フワフワ族の集落に戻ることにした。

 ウルツヤ様を村に戻さないと、そろそろ住民達が心配してしまう。


「救い主、ここ食事うまい。儂、少し太った」


 え? 少しと言っていいのだろうか??

 ウルツヤ様はこの数日で一回りくらい横幅が大きくなっていた。


 ボク達が盗賊の住処の古代遺跡跡に行ったりしていた間、この人は一体何をしていたのだろうか?


「ユカさん。この方色々と私達に教えてくれたんです。冒険者の食べ物の取り方とか、何もない場所で寝る方法とか。流石はユカ様のお知り合いですね」


 そうなのか、ボク達がいなかった間、ウルツヤ様は冒険者の人達に野外での生活方法を教えていたんだ。


「そうだったんですね。役に立ったみたいでよかったです」

「ウルツヤ様、また来てくださいね。美味しい料理用意して待ってます」

「儂、また来る。メシ食いにくる」


 ウルツヤ様はここの料理が気に入ったらしく、かなり上機嫌だった。


「ウルツヤ様、そろそろ村に帰りますよ」

「うむ、そうじゃった。儂、帰る」


 サラサさんがウルツヤ様を連れ、冒険者ギルドを出るのに少し時間がかかってしまった。


「ふむ。皆の者、準備は出来たようじゃのう……って、うるつや、何じゃその体型は!?」


 数日見なかった間に太ったウルツヤ様を見たアンさんが驚いている。


「ま、まあええわい。ワシの背中に乗せるのにそれほど重さは変わらんからのう」

「ドラゴンの神様、すまない」


 何だか少しウルツヤ様がしょげていたが、気にするほどのことじゃないかな。


「では皆の者、ワシの背中に乗るがよい。今から一気にふわふわ族の集落に向かうぞ!」


 紫のドラゴンの姿に変化したアンさんはボク達を背中に乗せ、一気に高く舞い上がった。


「では出発じゃ。皆の者、速度を上げるから振り落とされんように気を付けるんじゃぞ!」


 アンさんは一度大きく咆えると、その身体を一気にぐっと伸ばして凄い速さで空を飛び始めた。


「皆の者、だいたい明日の夕方くらいには着くと思うが、ワシも休みたくなったら休ませてもらうからの。それくらいは頼むぞ」


 ボク達はアンさんの背中に乗せてもらっている立場だ。

 彼女が疲れたなら無理をさせるわけにもいかない。

 下手にアンさんが疲れたまま飛んで墜落する方が、よほど被害が大きいからだ。


「わかりました。その時は美味しい食事を用意しますよ」

「うむ、期待しておるぞ。それでは……行くぞっ!」


 アンさんは最高速と言える速さで空を飛び続けた。

 この速さだと本当に明日には目的地に着けるかもしれない。

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