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60 ほぼ全裸の激闘!

「「「キャアアアーーー!!!」」」


 女湯の側から聞こえた絹を裂くような叫び声は、エリア、マイルさん、ルームの三人のものだった。


「ユカさん!」

「ホームはここで着替えて待機しておいて!」

「了解ですっ!」


 私は温泉から出ると体も拭かずにバスタオル代わりの布だけをまとい、遺跡の剣(エクスキサーチ)を構え、女湯側に向かった。これは女湯を覗こうとかいうものではなく、あくまでも緊急事態を助ける為だ。


「大丈夫ですか! 今ボクが行きますっ!」


 私は土壁の横を回り込み、反対側の女湯にしている温泉に向かった。


「なななな……なんで猿がいるんですの!?」

「まあ森の中とはいえ、ちょっと油断しすぎたなぁ、襲ってくるみたいじゃないけど」

「皆さん、それより荷物が……」


 猿は三人の着替えと一緒に置いていた荷物を何匹かで抱えると馬鹿にしたような顔で自分のお尻をたたいて挑発してきた。


「キキッキキキキ……キキッキキキ」


「あー、(わたくし)のお気に入りのローブが! あの汚らわしい猿、絶対に許せませんわ!」

「困ったねぇ、アレがなきゃ泉から出られないじゃないの。誰か商隊の人に着替えを持ってきてもらわないと」

「……酷い……返して下さい」


 猿は三人の服と荷物を何匹かで奪うと森の奥の方を目指して逃げ出した。


「あー! 猿共が行ってしまいますわ!!」

「仕方ないね、何かせめて体を隠すものが無いと」

「こんな所……誰かに見られたら」


 私は荷物を取られた三人の後姿を見てしまった。三人とも何も身に着けておらず、このままでは目の毒である。


「皆さーん! 大丈夫ですか? 何かありましたかー??」

「ユカ様の声ですわ!」

「そうだ、ユカくんに着替え持ってきてもらおうかっ」

「そんな時間ないです! ……早く服、返して……」

「猿に服と荷物を取られましたわ! 助けてくださいませ!」


 このまま彼女達の前に出てしまっては、私は顰蹙者(ひんしゅくもの)確定である、彼女達と旅を続ける上でそれは非常ーにマズイ! しかしこの状況をどうにかしなくては何も事態は好転しない。


「ボクは一旦あの猿達を追います」

「ユカ様、どうぞお願いしますわ!」

「さて、あーし達もどうにかしないとね」

「どうにかするって、どうするのでしょうか……?」

「まあ、あーしに任せなさい!」


 そう言うとマイルさんは私に頼み事をしてきた。


「ユカくん、大きな葉っぱ数枚こちらに投げてくれるかしら?」

「大きな葉っぱですか? 分かりました」


 どうやらその場しのぎで葉っぱビキニを作るようだ、私は木の中から大きな葉っぱを遺跡の剣でなぎ払い、数枚を蔓で縛って丸めてから三人の所に投げた。


「ありがとっ! これでどうにかできるよ」

「ううっ (わたくし)みっともないですわ……」

「無いよりマシでしょ! ちょっと待ってなさい!」


 そう言うとマイルさんは数枚の葉っぱを二人に渡し、自身にも葉っぱを体に付けた。


「植物の葉と蔓よ、体を守る衣装になれ!」


 マイルさんの植物使い(プラントマスター)スキルで、植物の蔓と葉っぱは三人の女の子達の身を守るビキニ型のリーフアーマーに変化した。


「マイルさん、感謝いたしますわ! ところでもう一つお願い聞いていただけますでしょうか?」

「ルームちゃん? お願いって?」

「その辺の木の棒をロッドにする事って出来ますかしら?」

「うーん、出来るよ」

「すぐお願いしますわ! 私あの猿共をギタギタにしないと気が済まないのですわ!!」

「ハハハ……わーったよ」


 そして魔法のロッド化した木の棒を装備したルームは怒り心頭で猿達に向かい魔法を放った!


「食らいなさい! (わたくし)の渾身の大魔法……、ファイヤーーー・ウォーーール!!!」

「!!!」


 バカバカバカバカ! 森の中でそんな火の大魔法を使うと後で大惨事確定だ!!

 しかし、ルームのファイヤーウォールは発動、猿のいる群れに向かい移動する炎の壁が押し寄せるのだった。

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