59 獣使いのひとりごと
◆◆◆
商隊の女達が水浴びを済ませてしまいガックリしていた俺の覗いている泉で、新たに三人の美少女が水浴びしに来ていた!
よく見れば三人ともかなりの美少女である。もやか煙が邪魔をして肝心なところが見えないのが残念だ。だがそんなのであきらめる俺ではない!
俺は目を皿のようにして三人の美少女を目に焼き付けた。
一人は獣人系だろうか、猫耳にふわふわの猫しっぽを生やし……胸にはそれはそれは立派に実ったたわわな物が二つプルンプルンと揺れている!
もう一人はエルフみたいに見えた。よく見ると耳は尖ってはいないが銀髪のロングヘアーに透き通るような白い肌が美しい、そして小ぶりながらも形の良い胸、これは既に芸術品と言えるレベルだ!
最後の一人は……お子様だ。煌めく金髪のサラサラヘアは将来的に美女になる素質はあるが、いかんせん体が残念だ。
あまりにもチンチクリンで幼児体系、胸は男と見間違える程度のペッタンコ、数年後に期待しよう……。
いかんいかん! 今回の目的は覗きではないのだ。
奴らの持っている目ぼしいお宝を手に入れる事、その為には森の動物達に仕事をしてもらわないと。
「お前達、あそこに行って女共を驚かせて来い。その間に別のやつがあそこにある荷物を取って俺様の所に持ってくるんだ!」
キキッ! ウキキッ
獣使いのスキルを持つ俺は動物と話す事が出来る。
そして彼らの欲しい物を与えてやる代わりに俺の仕事を手伝ってもらっているのだ。
悪い事をしている? そんなのわかっているが、人間、特に他人なんていう俺が信用できない奴らがどうなろうと知った事ではない!
「さて、奴らはどんなお宝を持っているのかね」
俺は水浴びしている連中から目ぼしい物を奪った後は商隊の荷物を夜奪う予定だ。
コイツらは多分商隊の用心棒、それなら武器や魔法道具を奪っておけば後で商隊を襲ったとしても手出しは出来まい。華麗な盗みには下準備が必要なのだ!
どう見てもコイツらは素手で戦える格闘家スキルのものではない、商人のリーダーらしい獣人の女にヒーラー、魔法使いといったところだろう。武器や道具さえ奪えばこっちの勝ちだ!
俺の命令通り猿達は女達の水浴びしている泉に入り込んだ。
煙や霧が辺りに立ち込めているのでそれに紛れて入り込んだので猿達は女達に気づかれる事なく泉の中に入れた。
これでいい感じに脅かせば女達は怯えすくんでその場で動けなくなるだろう、その間に別の猿達が荷物を持って俺の所に戻ってくる算段だ。
いきなり目の前に猿がいたらそりゃあ普通の女共ならビックリするだろうな。
「「「キャアアアーーー!!!」」」
よし! 作戦通りだ、女共は突如目の前に現れた猿に驚いて動けない、そして想定通りに別の猿が奴らの荷物を奪いこちらに走ってきた。
「よし、お前らよくやった! 後でご褒美の物をやるからな」
これで奴らの武器や道具は奪った。命を奪うのは俺の主義に反するのであくまでも獲物やお宝を奪うだけだ。
これで奴らは商隊の護衛が出来なくなる、今晩商隊に猿の軍勢で一気に獲物を奪うだけだ。
猿達には森の奥の俺のねぐらに荷物を持っていくように伝えてある。俺もここに長居する必要はないのでさっさとトンズラさせてもらうか!
「よう、ねーちゃんたち! アンタらの大事な物はもらったぜ!」
この森は俺の家みたいなもんだ、目をつむってもねぐらに戻れる、これだけ鬱蒼とした森の中で俺を捕まえれる奴なんているわけがない!
「……森の土を水辺にチェンジ!」
「!!!???」
なんだこれは!!?? 俺の見覚えのない場所に水辺があった、こんなとこで走ったら確実に転倒だ!!
ドグシャァ!!
イテテテ……なんでこんな所に大きな水たまりがあるんだ??
「植物の蔓よ、目の前のサルをふん縛って!!」
なんだぁぁぁぁあ! 俺がこの森で捕まるなんて、信じられるかぁぁぁあ!!!
そして俺は植物の蔓に逆さ吊りにされてしまった……。