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585 黄金巨神と破械神

 ボク達が巨大な平たい水晶を見ると、そこに映っていたのは黄金の巨大な神と一つ眼で巨大なカギ爪を持った足の無い巨大な怪物だった。


 二つのバケモノは、お互いが目や身体から光や炎、稲妻を放ち、その一つ一つが山や巨大な建物を砕いていた。


「凄い迫力だねェ。音が無いのが残念だけど、この威力……(わらわ)のメテオフォールに匹敵するかもねェ」


 メテオフォール、それは大魔女エントラ様の最強魔法の名前だ。


 その破壊力が、数万の魔族の大軍を一瞬で壊滅させたのはボク達が実際に見たものだ。

 なんと大魔女エントラ様はその威力と同じ攻撃を出しているのが、水晶に映っている黄金の巨大な神とあの一つ眼の巨大な機械だというのだ。


 ひょっとしたら、古代の文明が滅びたのって、あの二つの巨大なバケモノが戦ったからなのだろうか……?


「ダル……ダロ……ス……」


 エリアさんが何か怯えたような顔で何かを言っている。


 ダルダロス? 一体それは何なんだろうか……?


 ボク達が今見ているのは、ずっと昔に滅んだ世界に存在した二体のバケモノだ。

 エリアさんは黄金の巨大な神のことを見てダルダロスと言っていた。


 つまり、ダルダロスとはあの黄金の巨神のことなのだろう。


『何だよコレ、まるで怪獣大戦争かロボットアニメの最終決戦だな……』

『ソウイチロウさん、何ですかそれ??』


 ソウイチロウさんが、またワケわからないことを言っている。

 でもこの言い方では、彼はこれに似た何かを見た事があるのだろう。


『ソウイチロウさんはひょっとして実際にコレを見たことがあるのですか?』

『コレではないけど、似たものなら何度も見たことがあるぞ。いや、作る側もやったことがあるかな……』


 一体この人の世界はどうなっていたのだろうか……。


「……●Φ÷Δ§§……ΔΣ……π¥」


 二体のバケモノの戦いを見ていたボク達だったが、ところどころで途切れ途切れの音声が聞こえる。

 しかし何と言っているのか、古代語を少し勉強したボクでも全く意味不明だ。


「バ……ロルゥ……」


 ウルツヤ様が何かを言っている。

 バロル?


「ウルツヤ様、それは一体何なんですか?」

「儂ら、伝わる悪魔の名前……機械の神、触れるでない。其の物、全てを滅ぼす悪魔、決して起こすでない。彼の者の名、バロルゥ……」

「聞いたことあるねェ。機械で出来た破壊の神……つまり破械神……バロール」

「エントラ様、あれが何か知っているんですか!?」


 大魔女エントラ様が一つ眼の巨大な機械の怪物を指さして説明してくれた。


「アレは我がアポカリプス一族が太古の昔に異界に追いやったモノ。この世界を一度壊したと言われる大昔の機械で出来たバケモノだねェ。その名前はバロール、まさかあんな姿だとは知らなかったねェ」


 彼女が言うに、アレはバロールというらしい。

 もしアレが古代の人達の作った機械のバケモノだというなら、もう一つの黄金の巨大な神は一体何なのだろうか?


「まあ、(わらわ)が見た感じ、バロールを作った一族がいたとして、それに対抗するために作られたもう一つの巨大な機械の神ってのが、エリアちゃんの言っているダルダロスってことかねェ」


 古代の人達は、一体何というとんでもないモノを作ったのだろうか……。

 ここにある空飛ぶ船の残骸、そしてあの公爵派が手に入れた巨大飛行戦艦、そして黄金の巨神ダルダロスと破械神バロール。


 どれもが今の人達には決して作れないモノばかりだ。

 古代人はそれらの怪物を作ったが制御できず、滅んでしまったのだろう……。


 そういえば、ボクが今着ている鎧も古代の魔神の金属で作られたモノだった。

 普通の人には加工もできないはずの金属を加工したターナさんなら何かを知っているかも知れない。


 一度ここを出れたなら話を聞きに行くのも一つの手かも。


 そして……ボク達の見ていた二体のバケモノの戦いは、お互いの最強の技を出し合い、二つともが消し飛んだところで終わった。


 あの光景は一体何だったのだろうか?

 ボクは、今の時代にあんな怪物が存在しなくて良かったと、心の底から安心していた。

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