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581 罠の小部屋!?

皆さんお察しでしょうが、これはエレベーターです。今回はエレベーターといった概念、文化を知らない故に生まれるコメディ話と思ってください。

 ボク達は祠の奥に続く道を歩いた。

 すると、そこにあったのは殺風景で小さな部屋一つだけだった。


「え? 行き止まり??」

「何か壁に文字か書かれているみたいだけど……どうやら古代文字の数字みたいだねェ。1・3……25くらいまでは分かるかねェ」


 大魔女エントラ様は古代の文字が読めるらしい。

 しかしこの小さな部屋にあるその数字が何を意味するのだろうか?


「ユカさん、どうやらここにもサラサの指輪をはめる穴があるみたいです」

「本当だ、さっきと同じ凹みがある」


 フロアさんに頼まれたサラサさんは、物怖じもせず指輪をくぼみにピッタリ合わせてくれた。

 するとやはり、祠の壁全体に光の筋が走り、部屋が小刻みに動き出した。


 ゴゴゴゴゴゴゴォ!


「な、何だ? これは罠!?」


 この部屋は罠なのだろうか?

 そんなことを考えているうちにボク達が入ってきた入り口が天井から降りてきた大きな壁で塞がれてしまった!


「しまった! ここは罠だったんだ!!」


 ボク達は全員が部屋に閉じ込められてしまった。

 小さな部屋とはいえ、シートとシーツの二匹が入れる大きさなので身動きが全く取れないわけではない。

 だがこのままではボク達はここに閉じ込められたままだ。


「くッ! しまったねェ。ここはマジックキャンセラーがあるから魔法で壁を吹き飛ばすこともできないねェ!」

「むう、無念じゃ。ワシともあろうものが」

「ユカ……」


 仕方ない、最悪ボクのスキル、マップチェンジでここに移動床を作って抜け出すのが正解かもしれない。

 そう思った時、ソウイチロウさんがボクを止めた。


『待て、ユカ。早まるな。ここを出てしまうと下手すればもう戻ってこれなくなるぞ』

『ソウイチロウさん、そんなこと言っても……』

『今は焦らない方がいい。ユカ、私の勘が正しければ、この部屋は罠ではない。コレは……エレベーターだろう』

『れれべーた? 何ですかそれ?』


 ボクはソウイチロウさんのアドバイスで、全員に落ち着くように言った。


「みんな、どうやらこれは罠ではないみたいだ。だから焦らないでくれ。どうしてもここから出られないとなったらボクが移動床を作ってここから出よう!」


 みんなボクの方を注目している。

 そして焦っていた全員が一旦落ち着き、様子を見ることになった。


『ソウイチロウさん、みんなを落ち着かせることは出来ましたけど、この後どうするんですか?』

『そうだなぁ。多分だが、エントラ様の見ていたパネル、あれがエレベーターの操作パネルだと思うんだ。これが電気か魔力か、何が動力で動いているかがわかればエレベーターは動く』


 ボク達がそうこう言っている間に光のラインが消え、閉じ込められた部屋は真っ暗になってしまった。


「困ったねェ、魔法がかき消されてしまうと光すらつけられないねェ」

「うむ、ワシの雷もここでは使えぬわい」


 指輪を持つサラサさんは何度か凹みに指輪をはめ直したが、全く何も起きなかった。


『うーん、私の言うとおりにエントラ様に伝えてみてくれ』

『わかりました』

『マジックキャンセラーが発動した魔力をかき消す効果だとすれば、発動させない魔力を直接パネルに流し込めば動くかもしれないんだ』

『なるほど、わかりました。そう伝えてみます』


 ボクは暗い中で大魔女エントラ様にソウイチロウさんのアイデアを伝えた。


「エントラ様、魔法を使わず、魔力を伝えることって可能ですか?」

「まあそれくらいなら余裕だねェ。でも、何をするつもりかねェ」

「そのパネルに直接触れて魔力を流してみてもらえますか?」

「へェ、なるほどねェ。確かにそれなら可能かもねェ」


 大魔女エントラ様はボク(ソウイチロウさん)のアイデアに納得してくれたらしく、操作パネルと呼ばれる薄い板に魔力を流し込んだ。


 ガゴンッ! ギュイイイーン!


 成功だ!

 真っ暗だった部屋はエントラ様の魔力で動き出し、部屋の中に照明が灯った。


「やった、成功だ!」


 そう思ったボク達だったが、その後……部屋は勢いよくそのまま下の方に落下していった。


「やはり罠だったんじゃないかぁぁああーっ!!」

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