580 スキルの本当の正体
ついにこの話でユカのスキルの本当の正体がわかります!
ソウイチロウさんが言うには、ボクのスキルだとこの行き止まりの先に行ける方法があるようだ。
『ソウイチロウさん、スキルって何をすればいいんですか?』
『そうだな、とりあえずは目の前の地面を穴に変えて崩れた壁を落としてしまおう』
『わかりました!』
ボクはマップチェンジスキルで目の前の崩れた壁の下を穴に変化させた。
「目の前の地面を穴にチェンジ!」
ズゴゴゴガァン!
凄い音を立てながら側面の崩れた壁はボクのスキルで作った穴の中に落ち、目の前の通路は普通に通れるような道になった。
『やった! やりました。ソウイチロウさん!』
『ほらな、やはりこのスキルだから出来たんだよ』
ボク一人だけだとこの方法は考えつかなかったので、やはりソウイチロウさんは凄いと思う。
ボク達は壁の崩れた先の道をどんどん歩いて行った。
「……わかった! さっきのユカのスキルを見て確信したからねェ! ユカ、アンタの本当のスキルって、凄いものだったんだねェ!」
「エントラ様? ボクの本当のスキルって何ですか?」
大魔女エントラ様がボクのさっき使っていたスキルで本当のスキルがわかったと言っている。
ボクの能力って、行ったことのある場所をマップチェンジできる床貼りじゃないのか?
「ユカ、その説明の前に……世界の四元素ってわかるかねェ?」
「四元素、火、水、土、風……ですか?」
「そう、ユカの能力は魔力を使わず、元素を変換して作り変える能力ってことだねェ」
「魔力を使わない? でもMPは減ってるんですけど」
「そうねェ、それはMPが魔力ではなく精神力と考えればどうかねェ」
なるほど、つまりボクは精神力を使うことで足元や目の前の四元素を作り替えていたということになるのか……。
『ユカ、エントラ様の説明に私も少し補足してみよう』
『ソウイチロウさん、どういうことですか?』
『私の知っている常識がこの世界でも通用するなら、ユカの能力は……原子変換が可能ということだ』
『ゲンシヘンカン? 何ですかそれ』
ソウイチロウさんの言っている意味が、普段に輪をかけて全く分からない。
『原子ってのは、世界の全てを構成する物凄く小さな物質のことだ。エントラ様の言っている四元素もコレで出来ていると言える』
『世界を作っている物凄く小さな物質???』
ダメだ、ボクには全く理解できない。
『そこまで難しく考える必要はない。単にユカのスキルは一度踏んだような場所なら原子レベルで地面を変えてしまうことができるってわけだ』
『よくわからないですけど……ボクのスキルだと地面をどんな物にでも変えることができるってわけですか?』
『そうだな、道の無い場所に道を作れるのも、何もない場所を水に変えたのも全て原子変換なら可能ということだ』
……なんだか、そう聞くとボクの能力はどんな地面でも作ることができるという意味に聞こえる。
確かに実際、ボクが最強レベルの敵を倒したり、困っている人を助けた時に使ったマップチェンジスキルは、天変地異に匹敵するようなモノを平気で作り出していた。
何もない場所に物を作り出すのと同じようなスキル、これは創世神の力の一部だと言ってもおかしくない。
多分ボクの最初に持っていたスキルは本当に床を張るくらいのスキルだったのだろう、それがエリアさんの神の力を飲んだことで、創世神に匹敵するスキルに進化したのだと思う。
創世神の力の一部。
確かにその力を使っているとすれば、ボクが色々な人に救世主と呼ばれるのも納得できる。
この力、正しく使えば多くの人を助けることができる。
しかし一度攻撃の力に使えばどんな強敵にでも対抗できるだけの力になる。
ボクは改めて自身のスキルの凄さに慄いてしまった。
『ユカ、大丈夫だ。困った時にはさっきみたいに私がアドバイスしてやる』
『ソウイチロウさん、ありがとうございます!』
そう、今ボクは一人で悩むことは無いんだ。
ソウイチロウさんがボクの中に一緒にいてくれるから、迷わずに済む。
ボクは改めてボクの中のソウイチロウさんに深く感謝した。




