575 天空の遺跡の鍵?
そしてその日、ボク達はフワフワ族の集落で歓迎の宴に招かれた。
肉や魚、それに沢山の野菜や果物が用意され、ボク達はお腹いっぱいになるまで食事させてもらった。
「救い主様、おかげで邪神竜消えた。邪神竜消え、この土地、怪物去った」
「ユカさん、どうやらウルツヤ様はユカさんが邪神竜を倒したおかげでこの土地にいたモンスター達が姿を消したと言っているようです」
なるほど、それでこの土地が豊かになったと言いたいのか、だからここにあるたくさんの食事を用意することができた、と言いたいのだろう。
「サラサ、お前旅どうだった?」
「ウルツヤ様、我、フロアと共に怪物戦った。その数たくさんのたくさん。地の果てまで埋めるほどの怪物、ここにいるみんなと戦った」
サラサさんの報告を聞いた集落の人達全員が驚いている。
「おお、流石救い主様」
「災厄の魔女、味方だととても心強い」
「フロア、やはり勇敢なる者ボンバヘの子孫、ワシら認める」
他の集落の人達も全員、ボク達が大量の魔族やモンスターを倒したと聞いて感謝してくれていた。
「救い主、ウルツヤ様聞いた。明日村の者全員探し物手伝う」
どうやらウルツヤ様は族長としてボク達の探し物に協力しろと集落の人達全員に伝えてくれたらしい。
その日の夜遅くまで宴は続き、ボク達が起きたのは次の日のお昼近くだった。
◇
「うーむ、ワシももう吞めんのじゃー、頭が痛いわい……」
アンさんが二日酔いで顔色悪く起きてきた。
このだらしない女の子が伝説のドラゴンの神だとはこの姿を見たらとても思えない。
「何やってんだかねェ。あの程度の酒で酔いつぶれるなんて、今回は妾の勝ちかねェ」
大魔女エントラ様はケロリとしている。
二人共飲んだ量は相当だったはずだ。
「えんとら、おぬしインチキしておったじゃろう。実は途中から飲んだフリして別のとこに流していたとか」
アンさんが指摘すると大魔女エントラ様の目が泳いでいた。
「さ、さてねェ。そんんわけないからねェ……何を言ってるかねェ、このお子様は……」
「あー、やはりキサマ、インチキしておったな! 賭けは無効じゃー、すぐにワシの宝石を返すのじゃー」
この二人のしょーもないやり取りをエリアさんやホームさん達、フロアさん達が見ていた。
「お師匠様、大人げないですわ……」
「そ、そんな目で見ないでもねェ、わーったわよ。返しますよ、返せばいいんでしょ。返せば」
「そうそう、素直に認めれば良いんじゃ。どう考えてもワシよりおぬしが酒に強いわけがないんじゃからな」
確かに昨日この二人は大きな酒樽三つずつを空っぽにするほど飲んでいた。
周りで見ていた全員が驚いたくらいだ。
「イオリ様、お身体は大丈夫ですか?」
「おお、エリア嬢、すまぬのう。世話をかけさせた」
エリアさんが浄化スキルをアンさんに使い、アンさんは普段通りに戻った。
「さて、それではこの村にあるその言い伝えとやらについて探そうかのう」
「そうですね、ではボクはウルツヤ様の家に行ってみます」
ボク達は手分けして村落の中にある言い伝えに関するものや事柄を探すことにした。
サラサさんも一緒に探し物をしてくれたが、その中で彼女があるものを見つけたようだ。
「ユカ様、コレ何か?」
「これって……伝説に関する何かかな?」
サラサさんが手渡してくれたものは、村に代々伝わるという不思議な物だった。
『ユカ、これは下手すると起動キーかもしれないぞ』
『ソウイチロウさん、起動キーって何ですか?』
『簡単に言うと空の遺跡に行くための鍵かな。もしこれが起動キーだとすると、何かの番号かパスワードがどこかにあるはずだ。この近くに何かが一緒にあるかもしれない。』
どうやら彼女が持って来てくれた物は、天空の遺跡に関する重要な何かかもしれない。




