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572 古代兵器アルビオン

◆◆◆


 コミエンゾ村から自身の城に帰還途中だったゴーティ伯爵の元に伝書鳩が届いた。


「おや、どうやらこれはモンターナ領からの知らせですね」


 その内容を見た彼の表情が変わった。


「何……だと、まさか……アレを!」


 血相の変わったゴーティ伯爵は部下の一人に命じ、巨大な地図を出させた。


「緊急事態です。総員その場に待機!」


 地図を見た彼はある地点とある地点とを線でつないで確認している。

 どうやらそのある地点とは、密偵が送ってきた情報に照らし合わせた場所のようだ。


「この村から……この村、そしてこの町、陸路ではどう考えてもこの速さでこの動きはあり得ないようですね、それに……焼き払われた村はどう見てもドラゴンの仕業等ではありえない焼け方をしているようです」


 ゴーティ伯爵は恐ろしい考えに行きついた。


「これはまさか……アルビオンッ!!」


 彼の呟いたアルビオンとは一体何なのだろうか?

 

 伯爵は過去の記憶を思い出していた。



「ゴーティ、お前本当に騎士団長を辞めるのか?」

「そうだ、ここにはもう私の求めるものはない!」


 ゴーティ伯爵、いや、ゴーティ騎士団長は親友であったパレス大将軍に辞任届を叩きつけた。


「何故なのだ? 帝国騎士団はお前無しには成り立たないはずだ。それを見限るというのか……」

「そうだ。騎士団、いや……軍が私の忠告を無視してある物を作っているのは知っているぞ」

「それは……」

「私が何も知らないとでも思っているのか? 私はアレを危険だから再び封印するべきだと言ったはずだ」

「……アルビオン……か」


 アルビオンの名前を聞いたゴーティ伯爵の目に怒りが燃え上がる。


「アレは悪魔の兵器だ! 決して表に出すものではなかった。私は何度もそれを提案した、そして表向きは古代兵器アルビオンの発掘、研究は凍結……頓挫したはずだった!」


 パレス大将軍はその話を黙って聞いている。


「だが私が独自に調べた筋では、あのアルビオン……密かに研究が進められ、実戦に投入されるというではないか! アレがもたらすのは勝利ではない、ただの大虐殺だ!」

「ゴーティ、黙っていたことは謝罪する。だが、アレは魔族の大軍を倒すためには必要な力だ。お前もそこを酌んで欲しい。そうでなければ最前線に送られたウォール兵士長を助けることもできないのだ……」


 ゴーティ騎士団長はグッと強く拳を握りしめた。


「大事の前の……小事と言いたいのか、だが……アレを狙っているのはテリトリー公爵。計画凍結後の水面下での研究チームも全部奴の身内ばかりだ! もし……アレがテリトリー公爵一派の手に渡ってしまえば、この国は地獄になってしまう」


 パレス大将軍はどうにかゴーティ騎士団長を説得しようとした。


「ゴーティ、気持ちは分かるが、帝国には我がいる。我の目の黒いうちはテリトリーの好きにはさせぬ。だから信じてくれ。我は必ずあのアルビオンで前線に送られてしまったウォール兵士長達を助けてやる、だから……信じてくれ!」

「パレス、貴公のいうことは信じたい。だが、私はもう決めたのだ。私は騎士団長を辞任し、領地に戻る。長い間世話になった」


 そうしてゴーティ伯爵は騎士団長を辞任し、親友であったパレス大将軍と袂を分かったのだった。



「この航路から考えると……私の領地の村も殲滅対象に入りますね。こうしてはおられません! 誰か、すぐにでも伝書鳩を飛ばし住民に村を離れるように伝えなさい。そして衣食住は全て私、ゴーティ伯爵が負担すると必ず伝えるのです!」

「承知致しました! すぐに伝書鳩を飛ばします!」

「今動けばどうにか、アルビオン到着が三日後だとして住民全員を避難させることは出来そうですね……」


 安堵したゴーティ伯爵だったが、その後怒りがこみ上げて来るのを抑えきれなかった。


「パレス……許しません。約束を違えるとは……」


 彼の怒りは親友との決別への悲しみとも言えるようなものだった。

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