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569 空飛ぶ巨大船

巨大船のイメージはFF2の大戦艦かFF3のインビンシブル、あるいはラピュタのゴリアテかコナンのギガントみたいなものです。

 雲海の中の巨大なモノは姿を消した。


「何だったんだアレ」

「とにかく先を急ごう」

「うむ、そうじゃのう。あのようなモノ……もうお目にかかりたくは無いわい」


 アンさんが空を飛びながらそうボヤいている。

 もうあんなモノには出くわすことも無いだろう、みんなそう思っていたが……!


「何か来るぞ! ダメじゃっ、間に合わんっ!!」


 アンさんは突如大きく体をひねった。

 すると、アンさんが身体をひねる前の場所に鋭い閃光が走った。


 ズバシュッ!


 間一髪だった。

 もしあそこでアンさんが閃光に気が付いてなければ、ボク達は全員あの直撃を受けていただろう。


「キャアアァァっ!」

「サラサァァッ!」


 なんということだ。

 アンさんが大きく攻撃を避けようと体をひねった時、サラサさんはバランスを崩し、アンさんの背中から滑り落ちてしまった。


「サラサァアァッ! 今助けるぞっ!」


 フロアさんは鞭を長く伸ばし、転落する寸前だったサラサさんの手を鞭で結んだ。

 危機一髪、サラサさんは宙ぶらりんの状態で片手だけで釣られた状態になっている。


「しまったぁあっ! ワシとしたことが!」


 アンさんが大きな声を出した。

 巨大なドラゴンが出した声は、空気に響き……辺りの山々すらも振動させた。


「バ、バカッ! そんな大きな声を出したらマズいことになるってねェ!」

「な、何じゃとえんとら。馬鹿とはなんじゃ!?」

「そんなこと言っている場合じゃないねェ! 下を見てみるんだねェ」

「何? 下じゃと?」


 ボク達が下を見ると……そこにあったのは、先程の巨大なモノだった。

 よく見ると……船? アレは空を飛ぶ超巨大な船だ!


『やはり空中戦艦だったか!!』

『ソウイチロウさん、アレは一体』

『話をしている場合ではないぞ、早く逃げないと全員オダブツだ!』

『その前にサラサさんを助けないと!』


 ボクはフロアさんの鞭を一緒に引っ張った。


「サラサ、今引き上げるからな!」

「フロア……」


 どうにか鞭を引っ張り、サラサさんを助けようとするボク達だったが、下の巨大な船がボク達に大砲を向けてきた。


「な、何だあれは!」


 シュバッ!


 細い光がボク達とサラサさんを繋いでいた金属製の鞭を焼き切った。


「サラサァッ!」

「フロアァァアッー!」


 サラサさんが空中に投げ出される。

 このままでは間違いなく命はない。


「くッ! サラサッ! 今助けるぞっ」


 フロアさんはそう言うとサラサさんの傍に躊躇なく飛び下りた。


「フロアさんっ!!!」


 フロアさんは空中に舞い降りながら指笛を鳴らした。


 ピィィィーーッ!


「クェエエエエッ!」


 すると、指笛を聞いた大型のダイブイーグルが駆けつけ、フロアさんとサラサさんを鋭い足の爪でガシッととらえることができた。


「助かったぜ。ありがとうなっ」

「クェエエエエッ!」


 ダイブイーグルはフロアさんとサラサさんを捕まえたまま、アンさんの背中に連れて来てくれた。


「ふう、マジで一時はどうなるかと思ったぜ」

「フロア……我、生きている。感謝……する」

「すまぬ、ワシとしたことが面目ない……。しかし今はそんな事を言っておる場合ではなさそうじゃな。皆の者、今度こそしっかり掴まれ、ワシの全速力でここを切り抜けるぞ」

「さて、それじゃあ(わらわ)はあの追っ手を蹴散らしてあげようかねェ」


 どうやらあの巨大船から機械仕掛けの鳥のようなモンスターが大量に放たれたようだ。

 あの巨大船はボク達の敵に違いない。


「さて、一網打尽にしてあげようかねェ! ライトニングボルトッ!」


 大魔女エントラ様の魔力は中級魔法のライトニングボルトですら天変地異に匹敵する威力に出来るようだ。

 巨大船から放たれた機械仕掛けの鳥が次々と落下していく。


「すまぬのう、えんとら。それでは一気にこの場を切り抜けるぞ」


 アンさんはそう言うと雷をまといながら凄まじいスピードで雲海を切り裂いた。


 そして、雲海が途切れた時、そこには先程の巨大船は影も形も無かった。

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