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557 あたしは凄いの

◆◆◆


 簡単に終わるはずのことだった。

 この国の兵士がいくら強いと言っても、魔獣使いになったあたしの敵ではない。


 あたしは最強。

 そう、あたしの力はどんなモンスターでも使役できた。


 魔獣使いは自分のレベルよりも5か10くらい上のモンスターでも魔力が上回っていれば使役できる。

 つまり今のあたしはアビスお姉様の力を頂いた60近いレベルなので70クラスのSSモンスターですら使役できる。

 これはいうならばドラゴンですら操る事ができるということ。


 あたしは髪の鞭をアナお姉様に絡みつけてみた。


「あら、トゥルゥー。コレは何の冗談かしら?」

「え……。えっと、お姉様に遊んで欲しくて……」

「フフフ、いけない子ね」

「ああん、そこ触らないでぇ」


 ダメだった。

 アナお姉様がいくらあたしよりもレベルが上だとしても操れるかと思ったが、アナお姉様はダークリッチ……つまり魔力量が圧倒的にあたしよりも上だったので操ることは出来なかった。

 多分あのブーコにも効かないだろう。


 残念。


「トゥルゥー、貴女もう一人でも村を滅ぼせるわね」

「ええお姉様。お下僕(ともだち)を使えば簡単ですわ」

「フフフ、いい子ね。アビスお姉様も喜んでいるわよ」

「嬉しい……もっと、もっと褒めてぇ」

「ええ、良いわよ。でも、次の村を滅ぼしてからね」


 アナお姉様はそう言うと空中に浮きあがり出かける準備をした。


「お姉様、今度はどこの村を?」

「そうね、東の村に行ってみるわ。あの程度の場所、午前中で終わるから」

「はい、ではあたしは北東の村に行ってみます。大丈夫ですわ、もう一人で出来ますから」

「そう、それじゃあ終わったら二人で美味しい絶望を味わいましょう」


 アナお姉様は一度舞い降りてあたしにキスをすると、そのまま姿を消した。


「さて、あたしも北東の村に行こうかしら」

「あら、トゥルゥーじゃない、どこ行くのよ?」

「あ、ブーコお姉様……あたしは北東の村に行きます」


 ブーコはアタシの話を聞くと鼻を鳴らした。


「フン、まああの程度の小さい村なら半人前のアンタでも問題無いわね。アタシはその辺りをうろついてる騎士団の残党狩りに行ってくるわ」

「それは頼もしいですわ、是非とも頑張ってくださいな」


 本音アンタの話なんてどうでもいい。


 出かける前に少し不快な気分になったが、この憂さ晴らしは人間(クズ)どもを残忍に殺すことで解消しよう。

 あたしは指笛を吹き、ロック鳥を呼び出した。


「さあ、北東の村まで送って頂戴」

「ギャオオオオオンッ!」


 ロック鳥はあたしを乗せ、北東の村にあっという間にたどり着いた。


「何だアレは!?」

「あら、ゴミクズの皆様、御機嫌よう。早速ですが……お下僕(ともだち)のエサになってもらえますか?」


 あたしは髪の鞭を伸ばし、人間(クズ)を絡め取った。


 ズベシュッ!


 あたしの髪の鞭に絡め取られた人間(ゴミ)がバラバラに切り刻まれる。


「キャアアアアーッ!」

「あら、ずいぶんと脆いのね……手応えないわ」


 人間達(ゴミクズ)が武器を持ってあたしに挑もうとしている。

 でもどれも雑魚、エサに過ぎないのに……。

 わきまえないクズ達はお下僕(ともだち)のエサになってもらうかしら。


 あたしは長くどこまでも髪を伸ばし、その辺りにいた馬や犬などを次々と絡め取った。

 すると全員が一瞬で黒く染まり、可愛い姿になってくれた。


「フフフ、可愛いあたしのお下僕(ともだち)……エサの時間よ、その人間達を皆殺しにして食べちゃいなさい! ギャハハハハッ!」


 最高ッに楽しい!

 でも楽しい時間はすぐに終わってしまった。


 あたしのお下僕(ともだち)がこの村の人間を全滅させるのには20分もかからなかった。


「ご苦労様……アンタ達、もう用済みね」


 あたしは髪の鞭を伸ばし、お下僕(ともだち)を全て絡め取り吸収した。


「ごちそうさま。お下僕(ともだち)のみんな、あたしの中で養分になって生きて頂戴ね」


 美味かった。

 人間の絶望、それをいっぱいに蓄えたお下僕(ともだち)をあたしは全部食べて満足した。


「さて、お姉様の様子を見に行こうかしら」


 あたしはアナお姉様のいる東の村に向かうことにした。

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