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539 お姉様のくれた指輪

◆◆◆


「……ン……、はっ、ああっ!」

「フフフ、おはよう」


 わたしは気持ち良すぎて知らないうちに寝てしまったらしい。

 処女の骨彫刻と皮で出来たベルベッドのベッドで目の覚めたわたしは、アビスお姉様に微笑んで挨拶してもらった。


「おっ、お姉様! すみませんっ、わたしだけ勝手に寝てしまって!」

「良いのよ、アナの寝顔、とっても可愛かったわ」


 あー恥ずかしい。

 お姉様に無防備な寝顔を見られてしまっていたなんて。


 落ち込むわたしを二人に分裂したお姉様の横で、ドヤ顔で見ているのはブーコだった。

 ブーコは二人のお姉様に手を伸ばしたようなスタイルでわたしを鼻で笑っている。


 気に入らない。

 マジでアイツは絶対に殺してやる。

 どんな残酷な殺し方が良いだろうか……。

 まあ人間相手に色々と試してから考えてみよう。


「よく寝てたわね」

「あ。あああぁあ、お姉様ぁ」


 お姉様は意地悪な微笑みでわたしを見ていた。

 ! それよりも早く地下に行かないとっ!


「お姉様っ! こんな事している場合じゃないですわ。早く陽の当たらない場所に行かないとっ」


 聞いたことがある。

 吸血鬼やアンデッド、魔族は陽の光に弱いのだ。

 朝になったというなら早く隠れないと!


「クスクスクス、何を言ってるのかしら?」

「えっ?」

「お馬鹿さぁん、アナってお馬鹿さんね」


 お姉様が私を笑っている。

 あら、そういえば分裂したお姉様は知らない間に一人に戻っていた。



「あのね、それは低位魔族やアンデッドの話よ。アナやブーコは最上位魔族になったのよ。そんな陽の光程度、少しお肌が傷む程度、人間の血や肉でも食べるなり飲むなりすれば問題無いわよ」


 なんということだ。

 恥ずかしい、お姉様はわたしを笑いながら指さしている。


「アナってバカよねー、お姉様がそんなヘマするわけないのに」


 ブーコがここぞとばかりに便乗して笑っていた。

 お前はいつか絶対に無様に殺してやる!


「アナ、それよりも早く朝食にしましょう」

「はい、お姉様……」


 朝食を取るといっても、この城からは食事を用意している気配は感じられない。

 一体どうするのだろう。


 お姉様は下僕を呼び、わたし達にドレスを着させてくれた。

 当然ながら昨日の衣装ではない。

 一度袖を通したような服は中古品、そんな物は人間の恨みの感情と共に黒い炎で焼き尽くした。

 所詮そんな消耗品なんていくらでも用意できる。


「今日の服も素敵よ、昨日とは違ったイメージだわ」

「はい、お姉様。ありがとうございます」


 わたしは自分がどれくらい綺麗なのか、自身でも確かめてみたくなった。

 それなので城にあったドレッサールームに入り、大きな鏡を見ようとしたが……。


「え? どうして!? わたしがいない!??」

「クスクスクス、お馬鹿さぁん。本当に本当にお馬鹿さぁん」

「え?? えええぇぇ?? どうなってるの?」

「お馬鹿さぁん、魔族が鏡に映るわけないじゃない」


 今鏡に映っているのはわたしの着ている服だけだ。

 どうやらこの服は魔族とは関係ないから鏡に映っているらしい。


「そうね、でも美しい自分の姿見たいわよね。それに……今後色々と動いてもらう上でも鏡に映らないと厄介だし」


 お姉様はそう言うと何もない場所から指輪を取り出した。


「これをはめてごらんなさい」

「はい、お姉様……」


 お姉様のくれた指輪。

 黒く怪しい輝きの宝石が装飾された指輪はわたしの指にピッタリはまった。


 その指輪をつけた直後、わたしは力が一気に抜けるのを感じた。


「え? これは!?」


 少しよろめいたわたしだったが、すぐ元に戻った。

 まだ少しフラフラした感じだったわたしが目の前の鏡を見ると、そこにはとても豪華な衣装を着たわたしの姿が映っていた。


「フフフ、これは魔力封じの指輪。この指輪を使えば人間と同じように鏡に映れるのよ。その代わり魔力は激減するから気をつけるのね」

「お姉様、そんな役に立たない物をなぜわたしに?」

「フフフ、必要になるのよ……今後、人間達を不幸にするために……」


 お姉様の考えていることに間違いはない。

 わたしは一切逆らわずお姉様に従うことにした。

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