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528 どの娘が好きなの?

 顔を真っ赤にしてうつむいたルームさんを尻目に、話は続いていた。


「でもユカがこんなに成長して可愛い女の子を連れてくるなんて、母さん驚きだわっ」

「にーちゃんのうらぎりものー」


 なんと言えばいいんだろう。

 妹のルーフはジトーっとした目でボクを上目遣いに睨んでいる。

 ボク、何か悪いことしたのだろうか?


「ルーフ、どうしたんだよ。機嫌直してくれよ、ほら、オムレツあげるから」

「そんなのいらないっ!」


 玉子が好物のルーフがオムレツをいらないと言っている。

 これはかなり大問題だ。


 父さんはそれを見て笑っている。

 母さんもボクとルーフの二人を見てクスクスと笑っていた。


 しかしルームとルーフ、名前も似ているが、よく見ると結構二人とも似ている。

 まあ母さんとルームさんのお母さんが姉妹だったと聞くとそれも納得である。

 ルームさんをもう少し年齢を幼くしたらルーフみたいな感じになるのだろうか。


「しかしよく似ていますね。奥様と私の妻が姉妹だとは聞いていましたが、実際に会ったことほとんどありませんでしたからね」

「伯爵様、いえ……そりゃあ私どもは伯爵様においそれと会える立場じゃありませんでしたから。妹が嫁いだ先が伯爵様と聞いて私、とてもビックリしたくらいです」

「まあ、普通の人からするとそういう立ち位置になるのですかね。私がヴェッソーと知り合ったのは戦場でのことでした。彼女は当時魔法大隊の小隊長補佐をしていました」

「ゴーティ伯爵様、もしやあの魔族との大戦の時のことですか」

「そうです。ウォール殿はその時、あのヘクタール男爵の下で兵士長に就いていましたね」


 父さんとゴーティ伯爵は昔の話をしている。

 どうやら内容は同じ戦場で共に戦った時の話のようだ。

 大人の会話という程ではないが、戦場にいた者しか伝わらない話を二人でしている。


 話について行けないボク達は食事を続けることにした。

 ボクがフォークで肉を取ろうとした時、同じ肉にルームさんのフォークが刺さっていた。


「あっ」


 ボクはフォークを抜き、ルームさんに肉を譲ろうとした。


「ど、どうぞ」

「そ、そんな……ユカ様こそどうぞ」


 ボク達二人が譲り合っている間に、ルーフが肉をひょいと取ってしまった。


「もーらった」


 ボクとルームさんはそれを見て、二人で思わず笑ってしまった。


「ぷっ。ははは」

「フフフ、可愛いわね」


 それを見ていて何とも複雑な表情をしていたのはエリアさんと大魔女エントラ様だった。

 二人の表情を見た母さんは何やらニヤニヤ笑っている。


「そう、そういうことだったのねっ」

「母さん?」


 母さんはエリアさんに対し、何かを話し出した。


「エリアちゃん。ユカのこと、どう思うっ?」

「え。ユカ……は、私の良い仲間、頼れる人です」

「そう、そうなのね」


 そして母さんは何と恐れることも無く大魔女エントラ様にも話しかけた。


「エントラ様、うちのユカ、どう思いますか?」

「そ、そうねェ。とても魅力的で、そう……ずっと昔、バシラと一緒に旅してた時のこと思い出すねェ……」


 大魔女エントラ様が珍しく言葉に詰まっている。

 母さんはまだニヤニヤしている。


 そして何かを思いついたのか、母さんはボクの傍に来て、耳打ちをした。


「ユカ、みんな良い娘たちじゃない。アンタも隅に置けないねっ。ところで、ユカはどの娘が一番好きなの?」

「えぇっ! ええええーーーーっっ!!」


 ボクは思わず大声を出してしまった。


 いきなりのボクの大声に場の空気が静まり返ってしまう

 そして全員がボクを注目してしまった。


 母さんは相変わらずニヤニヤしている。

 父さんはそんな母さんを見て、ため息を漏らしていた。

 ゴーティ伯爵は無表情を決め込んでいるが、いかにも興味津々といった雰囲気を出している。


 ボクは母さんのせいで、今晒し者状態だ。

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