508 多段式カウンター攻撃
邪凱装パンデモニウムに強烈な攻撃を叩き込めた。
ボクの予想は的中だ。
アイツへのこちらからの攻撃はあまり効果が無い。
だが、あいつ自身は自分自身の武器でダメージを受けたことが無かったのだろう。
あの驚異の再生能力が発動しない。
どうやらあの呪いの武器で攻撃されると回復や再生ができなくなるようだ。
あの攻撃を受けなくて良かった……。
「ユカ様、流石ですわ! あの怪物相手にこれだけのダメージを与えられるなんて」
「そうも言ってられないぞ、ルーム!」
「ガアアアアァアアッ!」
邪凱装パンデモニウムは自身がダメージを受けたことに気が付いていない。
傷を受けたことすらまるで何事も無かったかのように再び四つの武器を振りまわし始めた。
「ルーム! 頼みがあるっ。聞いてくれるか?」
「お兄様、一体何を?」
「バフをかけて欲しい。攻撃力の強化だ」
「承知致しましたわ、でもあまり増加は出来ませんけど」
「いや、違う。僕じゃない、アイツにかけてくれ」
ホームさんは邪凱装パンデモニウムを指さしている。
「え? お兄様、一体何を……?」
「頼む、時間があまり無いんだ。それとスロウの魔法も使ってくれ」
「……承知致しましたわ。お兄様を信じます」
ルームさんは邪凱装パンデモニウム目指し、攻撃力強化の魔法とスロウの魔法を同時に使った。
「へェ。面白いこと考えるねェ」
大魔女エントラ様はホームさんとルームさんのやり取りを見て感心している。
「ギュガギュググググゥフ!」
謎の笑い声を上げながら邪凱装パンデモニウムは何故か武器が鋭くなったことを喜んでいるようだ。
そして再び邪凱装パンデモニウムが四本の武器を振りまわしながら突進してきた。
「やった! 僕の想定通りだ」
「ホームさんっ!」
邪凱装パンデモニウムの多段攻撃。
しかしルームさんのスロウの魔法で攻撃力こそ上がっているものの、スピードは先程よりよほど低下している。
「見切った!」
ホームさんが多段攻撃を全て聖剣で受け流す。
受け流された攻撃は、全てが邪凱装パンデモニウムの全身に跳ね返されていた。
「ギャラガアァアア!」
多段攻撃が次々と邪凱装パンデモニウムの全身に刻まれていく。
1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回‼
ホームさんのアイデアで敵の攻撃力をアップした。
そのことが多段攻撃の攻撃力をさらに強化したと言える。
それが最大で12回の攻撃だったわけだ。
そしてそれに加え、ホームさんのカウンターの攻撃も加わっているので全部で16回攻撃を受けている計算になる。
さしもの邪凱装パンデモニウムも自身の強烈な攻撃を喰らい、再生もできずに少しずつ弱っている。
だがその邪凱装パンデモニウムは自身が再生不可能なダメージを受けていることに気が付いていない。
いや、あれは気が付いていないというよりは呪いの武具が動けない身体を使って操り人形にしているようなものだ。
つまり、本当に倒すべき敵は、邪凱装パンデモニウムではなく、アイツの持っている四本の武器というわけだ。
「みんな、力を貸してほしい。アイツを倒す方法がわかった」
「ユカ様!」
「一体どうすれば良いってのかねェ」
「ふむ、ユカ坊、言ってみるがよい」
ボク達がするべきことは四つの武器を同時に破壊すること。
そうすれば今度こそアイツを倒せる!
「みんな、アイツを倒すには手に持った武器を全部同時に破壊するんだ!」
「同時に破壊?」
「そう、アイツは呪いの武器に操られた人形みたいなものだから、その武器を破壊すれば倒せるはずなんだ」
「なるほどねェ。操り人形を呪いの武器が再生させ続けていたってわけなんだねェ」
「よかろう、一本はワシに任せるがよい」
ボク、ホームさんとルームさん、大魔女エントラ様、アンさん。
それぞれが同時に別の武器を狙って破壊することで話はまとまった。




