506 再生速度を上回れ!
総力戦。
邪凱装パンデモニウムに対抗するメンバーは、ボク、ホームさん、ルームさん、大魔女エントラ様、アンさん。
メインで戦うのはこれだけだ。
巻き添えにならないようにこの城に入った騎士団や武士団を退避させる役割も必要だ。
それを引き受けてくれたのは、フロアさん、サラサさん、カイリさん、マイルさん、それにゴーティ伯爵やミクニ・リョウカイ様、ラガハース騎士団長に父さんやハンイバルさん達だった。
「どうやら私達のレベルでは足手まといにしかならないようだ。それでは私達はここにいる騎士達の退避を誘導しよう。……ホームとルーム、お前達は本当に強くなったな。大魔女エントラ様、誠に感謝致します」
「ゴーティ坊や、この子達なら安心していいからねェ。もう強さで言えばアンタを遥かに上回ってるからねェ」
「ハハハ、どうやらそのようですね、それでは私達は犠牲者を出させないために早急に退避します」
「ユカ、うわさは聞いていたが、お前……本当に強くなったんだな。今のお前ならあの怪物も倒せるだろう」
父さんがボクのことを褒めてくれている。
「父さん……」
「大丈夫だ、ここにいるみんなは安全に撤退させてみせる」
父さん達、ゴーティ伯爵やカイリさん達は、邪凱装パンデモニウムと戦うボク達を残し、コロシアム跡地から撤退した。
今ここに残っているのはボクを含め数人しかいない。
エリアさんは撤退せず、ボク達のために魔法を使ってくれている。
この魔法のおかげでボク達は疲労せず長時間を戦うことができている。
そのエリアさんを魔法で守ってくれているのは大魔女エントラ様だ。
しかし、そうなると大魔女エントラ様はエリアさんを守ることに力を使うため、戦力としては使えない。
実質戦えるのはボク、ホームさん、ルームさん、アンさんの四人だけとなる。
さてどうやって戦えばいいのだろう。
あの自己再生を上回るダメージを与えるためには手数だけではダメだ。
しかしボクの攻撃、ホームさんの攻撃では、あの攻撃をしのぐだけで精いっぱいだ。
そしてルームさんの魔法もダメージこそは与えられるものの、速攻で自己回復される。
それはアンさんがドラゴンの姿をしていたとしても同じようだ。
あの自己再生能力を潰す方法。
ダメだ。
どうやっても思いつかない。
マップチェンジで倒す方法は今までにソウイチロウさんがボクのこの身体で様々なボスを倒したので、その経験から何かを使えればとも考えた。
だが底無し沼に落としてもまた這い上がってくる。
弱点の核があるわけでないのでそれを斬る方法も使えない。
属性弱点があるわけでもないので地面をその属性にして戦うのも無駄だ。
やはり思いつかない。
ソウイチロウさんなら、こういった強敵を倒せる方法を知っているかもしれない。
『ソウイチロウさん、お願いです。ボクにはどうしてもアイツの再生能力を上回る倒し方が思いつきません』
『ユカ、かなり苦戦しているようだな。いいぞ、私が知恵を貸してやる』
『……すみません、やはりいいです。ボクも今まで戦ったんだ。それならどうにか方法を考えられるはず』
『そうか、それならヒントをやろう』
『ヒント……ですか?』
『そうだ、マイナスとプラスの賭け合わせを考えてみろ。ダメージがプラス、受けるダメージがマイナス。相手がマイナスならそれをマイナスにすれば……どうなる?』
マイナスとプラス……つまり相手の攻撃を使うのか!
『ソウイチロウさん、わかりました! ありがとうございます!』
ボクはソウイチロウさんのヒントのおかげであの怪物を倒す方法を思いついた。
この方法なら、あの再生速度を上回ることができる。
やってやる。
邪凱装パンデモニウムを倒す方法。
ボクはみんなにそれを伝えようとした。
「みんな、ボクにいい考えがある!」




