505 ボク達の総力戦!
9月19日修正
邪凱装パンデモニウムは傷を与える度に瞬時に再生する。
これを倒すためには再生を上回るダメージを与えるか、さもなくば地面の属性等で敵に常にダメージを与え続けるようにするかといった方法が考えられるだろう。
ボクはホームさんやルームさんに加勢するために邪凱装パンデモニウム目指し走った。
邪凱装パンデモニウムは、ボクに反応するように剣で攻撃を仕掛けてきた。
だがその剣は不気味な動きをしている。
まるで武器が飴細工のように自在な形に伸び縮みや、変形をしているのだ。
しかしそれでも鋭い武器であることは間違いない。
もし触れてしまえば、そこから致命傷を受ける可能性だってあるのだ。
ボクはマップチェンジで何個も段差を作りながら階段を移動するように上下して邪凱装パンデモニウムに向かった。
宙を斬った武器はボクの作った地面や階段を、バターを斬るように切り裂いている。
こんな武器に当たれば間違いなく致命傷だ。
それでもボクはコロシアム跡地の中央部分にいる邪凱装パンデモニウムとホームさんやルームさんの元に辿り着いた。
「ホームさん、ルームさん」
「ユカ様!」
「二人共、アイツは強い。二人だけで勝てるような相手じゃないよ」
「ユカ様……そうですわね。ご協力感謝致しますわ」
ホームさんはさっきの身体に空けられた傷をルームさんに回復してもらっている。
この状況で攻撃を喰らえば二人共、いやボクを含めて三人ともオシマイだ。
そうさせないためにもボクが戦わなくては。
ボクは遺跡の剣を構え、邪凱装パンデモニウムの足元に滑り込んだ。
「これだけ真下なら攻撃できまい!」
「ギャギョエガゲゲエエェェェ!」
声にならない奇声を発しながら邪凱装パンデモニウムはボクに目掛けて武器を振るった。
「今だっ! ボクの足元を聖なる魔法陣にチェンジ!」
ボクは数万のモンスターを倒した時と同じ聖なる魔法陣をマップチェンジで作った。
これでダメージを与えられるなら、あの瞬時の再生能力を上回る攻撃もできるはず。
だが、予想は大きく外れた。
「ギャガガゲゲゲェェェエ!」
邪凱装パンデモニウムは苦しんでいるようではあるが、致命傷どころか外側の装備に傷一つ入っていない。
あの再生能力は聖属性が弱点ではなかったのだ。
「くそっ!」
このままここにいてはボクはあの四本の武器で斬り刻まれてしまう!
だがそんなことを考えた瞬間、四つの武器はボク目指し鋭い切っ先を走らせた。
やられるっ! 僕がそう思った時……。
「ディメンジョンゲート!」
「うわッ!」
ボクの身体は黒い穴に吸い込まれ、すぐ傍の別の場所にはじき出された。
「危機一髪ってとこだねェ」
「エントラ様!」
ボクの危機を助けてくれたのは大魔女エントラ様だった。
「ワシもおるぞ。さっきよく寝たせいか身体がスッキリしておるわい。少しは動かさんと身体がなまってしまうでのう」
「アンさん!」
後ろから聞こえた声は少女の姿に戻っていたアンさんだった。
「こっちにはオレ達もいるぜー」
「あーしもアシストくらいならできるからぁ、ユカ達でアイツぶっとばしちゃって! みんなの避難なら任せてっ」
カイリさんとマイルさんの声も聞こえる。
「ガオオオウッ!」
「グルルルルッ!」
「俺はここにいるみんなを避難させる。後は頼むぞ」
「我、フロアと……皆、逃がす」
双子のシートとシーツにフロアさんとサラサさんもここにいる人達を逃がす手伝いをしてくれるらしい。
さあ、ここからボク達の反撃開始だ!
敵は邪凱装パンデモニウムただ一人。
今、ボク達の総力戦が始まった!




