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499 四本体一本

 魔将軍パンデモニウム、いや、魔戦士パンデモニウムとホームさん、ルームさんの対決はミクニ国王ミクニ・リョウカイの立ち合いの元、銅鑼の合図とともに開始した。


「ウォオオオオーッ!」


 魔戦士パンデモニウムは、その巨体からは信じられない速さで突っ込んできた。

 それをホームさんは聖剣で受け止めた。


 普通の剣なら間違いなく粉々に砕かれていただろう。

 しかしホームさんの持つ聖剣、魂の救済者(ソウルセイバー)はその攻撃を細身に関わらず受け止めた。

 これは、聖剣の力だけでなくホームさんのレベルが有る故のことだ。


 人間ごとき、いくら強かろうと一撃で倒せると考えていたパンデモニウムだったが、この相手は想像をはるかに超える強さだった。


「フッ、面白い! オレの剣を受け止めるとはな!」

「このくらい、僕でも耐えられる!」

「フハハハハ、ぬかしよる。だが、オレの剣を正面から受け止めたのはお前が初めてだ!」

「今度は僕の番だ、行くぞっ!」


 ホームさんが聖剣を構え、魔戦士パンデモニウムに斬りかかった。

 しかし魔戦士パンデモニウムはその剣を剛剣と蛮刀をクロスさせて受け止めた。


「実力はそこそこだが、お前はまだ非力! 剣に振り回されている戦い方だな!」


 クロスさせた剣の挟み込みを狭くして力をどんどん加えることで魔戦士パンデモニウムはホームさんを弾き飛ばした。


「くっ!」


 先に地面に背中を滑らせてしまったのはホームさんの方だった。


「お兄様、今魔法を!」

「あ、ああ。ルーム、助かった」


 ルームさんがホームさんにバフの魔法をかけている。

 筋力強化、敏捷性強化、守備力強化、これらの魔法を一瞬で使いルームさんはホームさんに大幅な能力強化を行った。


「へェ。あの子、あれだけの魔法を瞬時に使えるようになったんだねェ」

「大魔女エントラ様、私の息子達は貴女が見てどう思われますか?」

「そうねェ。今やあの子達は、この世界でも最強クラスになってと言っても良いんじゃないかねェ」

「大魔女エントラ様、本当に……ありがとうございます」


 ゴーティ伯爵が大魔女エントラ様に深々と頭を下げてお礼をした。


「いいから、それよりもあの子達の戦いを見てやった方が良いと思うけどねェ」

「は、はい。その通りです。大魔女エントラ様」


 ボク達は全員で魔戦士パンデモニウムとホームさん、ルームさんとの戦いを固唾をのんで見守った。


 バフで能力を強化したホームさんは魔戦士パンデモニウムと一進一退の攻防を繰り広げている。

 この戦いには魔族もボク達も誰も手出しが出来ない。

 下手に手を出せば命が無いかもしれない状況で、手出しをする余裕は誰にも無いのだ。


 この戦いはほぼ互角だと言える。

 しかしホームさんは剣一本、それに対し魔戦士パンデモニウムは四本の剣を四本の腕に持っている。

 手数の多さで言えばパンデモニウムの圧勝だ。

 しかしホームさんは自ら攻撃をするよりも、魔戦士パンデモニウムの攻撃を受け止める形で戦っているので、体力を大きく消耗しているのはむしろ魔戦士パンデモニウムの方だと言える。


 先に肩で息をしだしたのは魔戦士パンデモニウムの方だった。

 あれだけの巨体で高速で動き回る。

 それで体力を消耗しないわけがない。


 それに対してホームさんはルームさんにアシストしてもらいながら攻撃してきた魔戦士パンデモニウムに対し確実に強烈なカウンター攻撃を仕掛けている。


 激しい金属と金属がぶつかる音が聞こえるが、刃こぼれや摩耗といったダメージが蓄積しているのは魔戦士パンデモニウムの剣の方だった。


「ク.クククク。これだけ戦闘を楽しませてもらえるとは、オレの血が滾る! こんな楽しい戦いをさせてくれたお前にお礼がしたい」

「お礼だと⁉」

「その通りだ。オレの最大必殺技でお前との闘いに決着をつけてやる!」


 魔戦士パンデモニウムは、四本の剛剣や蛮刀を掲げると大きく咆哮した。

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