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498 命を賭ける価値

9月19日誤字修正。

 魔将軍パンデモニウムは静かに語りかけてきた。


「一つだけ頼みがある、聞いてくれるか」

「良いだろう。僕達に何を頼む?」


 魔将軍パンデモニウムは敗軍の将として部下の命を見逃してくれと頼むのだろうか?

 いや、誇り高い魔族の戦士である彼がそんな無様な真似をするわけがない。


「戦場を変えて欲しい。ここはオレの大事なものがある。ここは決して壊したくない」

「良いだろう。場所はどこにするのだ?」

「お前達の仲間が吹き飛ばしたコロシアムの跡地で頼めるか」

「わかった。そちらに移動しよう」

「感謝する……」


 魔将軍パンデモニウムが壊したくないといったのは、一体何なのだろうか?

 この部屋のコレクションなのか、それとも別の物なのだろうか。

 ホームさんはものが何かも聞かず、魔将軍パンデモニウムの頼みに応えた。

 ボク達と魔将軍パンデモニウムの部下達は、全員でコロシアムの跡地に移動し、戦いに備えた。


「オレは魔将軍の地位を捨てる! ここにいるのはただの魔族の戦士、パンデモニウムだ!」

「パンデモニウム、僕達の全ての力を賭けて……お前を倒す!」


 ホームさん、ルームさんと魔将軍パンデモニウムが睨み合っている。

 今から命を賭けた双方の譲れない死闘が始まるのだ。


「ン……何さねェ。アタ……(わらわ)が寝ている間に何があったというのかねェ?」

「大魔女エントラ様、何こんなとこで寝てたんですか!?」

「ハ.ハハハハ……魔力をついつい使い過ぎちゃってねェ。まあ、細かいことは気にしないようにしようねェ」


 この人はつかみどころが無くて何を考えているのかたまにわからなくなる。


「でも、今から始まる戦いは決して誰も手出しが出来ないねェ。これは……お互いのプライドをかけた最後の戦いだからねェ!」


 大魔女エントラ様が厳しい目つきになった。

 これは実際に命を賭けた死闘を経験した者でないと出せない表情だ。

 きっと大魔女エントラ様はだれもいない場所であの最強の魔将軍ゲートと戦ったのだろう。

 そして今ここにいるということは、あの魔将軍ゲートに勝ったと確信できる。


「あの二人の戦い、師匠としてしっかり見届けないとねェ」

「師匠、エントラ様が私の息子達の先生になってくれるとは、感謝しかありません」

「おや、ゴーティ坊や、久しぶりだねェ」

「お久しぶりです。大魔女エントラ様」


 ゴーティ伯爵は大魔女エントラの修行を受けた。

 その息子と娘のホームさん、ルームさんも今や大魔女エントラ様の弟子だ。


 ホームさんとルームさんの二人は父親と先生である大魔女エントラ様の前で世界最強とも言える魔将軍と二人だけで戦おうとしている。

 ここはボク達が手出しをしていい場面ではない。

 魔族の戦士パンデモニウムと人間の騎士ホーム・レジデンス並びにルーム・レジデンスとの真剣勝負だ。


 コロシアム跡地には緊迫した空気が張り詰められている。


 パンデモニウムは蛮刀を振り上げ、雄たけびを上げた。

 その雄たけびは周囲で戦いの行く末を見ている彼の部下達を大きく盛り立てた。


 だがホームさん達も負けてはいない。

 あれだけの迫力にもかかわらず、ホームさんは聖剣魂の救済者(ソウルセイバー)を地面に突き立て、精神を集中していた。

 もう彼は見習い騎士なんかではない。人類を代表する最強の騎士だ。


 ボク達はホームさん、ルームさんの後ろからその戦いを見守った。


 コロシアム跡地からは空が見える。

 そしてその空には沈む夕日が見えていた。


 夕日を背に、ホームさんの鎧が茜色に輝いている。

 今、ここに人類と魔族のプライドをかけた勝負が開始されようとしている!


 ここには試合開始のゴングがあるわけではない。

 だが後方からミクニの武士達により巨大な銅鑼が運び込まれた。


「この勝負、吾輩が見届けよう! さあ、銅鑼を鳴らせ!」


 その場の空気を一気に変えたのはミクニ国王、ミクニ・リョウカイ様だった。


 グワァーン‼


 戦い開始の銅鑼が鳴らされ、辺りにとてつもなく巨大な音が響いた。

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