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4 もうダメだぁ絶望だぁ!

 私の手に入れたスキルは床貼りだった。

 これでは冒険に出るどころではない。

 手に職をつける上でもなかなか難しいはずれスキルだった。


「なんじゃごりゃーーーーー!!!! こんなスキル使えるかぁーっ!!」


 私は昔見た刑事ドラマのジージャン刑事の殉職シーンくらいに、絶叫してしまった!


 ツクールは苦笑いしながらこちらを見ていた。


「おや、おかしいなー。キミの経験と知識ならこのスキル使いこなせるはずなんだけどな。どうしてそんなに悲痛な表情をしているんだい?」


 他人事のようにあっけらかんとした言い方で私の傷口に塩を塗り込んできたツクール(こいつ)はいつか絶対、疾風のようにぶんなぐる!と心に決めた。

 私の閻魔帳にあの社長(クソ)以外に一人が追加された瞬間だ。


『コノウラミハラサデオクベキカ』


 しかし、生きていく上でこのスキルと一生付き合うことになる。

 15歳の誕生日で運命が決まってしまったので、私は今後の人生設計を考えなくてはいけなくなってしまった。


「そろそろいいかな? 次の天啓待ちの人がまだまだいるんだよ、この空間から君をもとの場所に返すよ」


 ツクールは相変わらずあっけらかんとした態度で急かしてきた。


「ま、待ってくれまだ聞きたいことが!」

「ダーメ、時間切れ。それじゃーねー」


 そして私は元の教会の礼拝堂に返された。

 長い時間がたったような気がしたが、実際には灯したばかりのろうそくの灯がまだ消えない程度の時間しか経っていなかった。


「ユカ・カーサよ、貴方に神の天啓が授けられました。スキルに恥じぬ人生を送ることをお祈りします」

「汝ユカよ、神から与えられたスキルは何でしたか?嘘偽りなく告げるのです」


 私は不本意ながら神父様にスキルの事を伝えた。


「『床貼り・1メートル四方の範囲を作れる・一度のmp10』。以上です」

「承りました。ユカよ、神の与えたスキルを世のため人のために使い今後の人生を豊かで実りあるものとして過ごしてください。それではあなたに神の加護のあらんことを!」


 神父様は言いなれているであろうセリフを名前だけ入れ替えたようなテンプレート対応で私に告げた。


 こんなの採用不可のお祈りビジネスメール以下だろ!

 しかし私はそれを顔に出さずに、にっこりと笑顔を浮かべてから教会を後にした。

 帰りの足取りは非常に重いものだった。


 使用mp10、コレはレベル1の常人の一日のmp上限そのものだ。

 レベルアップできない仕事でこれは一日一回しか使えないのと同じだ。




「ただいま……」


 母さんがにっこり笑っていた。


「おかえりなさいっ、カーサ。あなたはどんなスキルだったのっ?」


「床貼り……」


 私はボソッとつぶやいた


「……そう、お疲れ様。もう休む?」

 

 母さんのやさしさが胸に痛い、私は今後の事をどうするか考えるだけで頭が痛かった。


「とにかく明日村はずれのタイルさんに会ってみなさい。母さん連絡しておくからねっ」

「え?あのみんなに仕事してないって言われてるタイルさん?」


 母さんが少し首をかしげながら微笑んでいた。


「まあなるようになるわよっ、大丈夫よっ」


 タイルさんとは村はずれに住むおじさんで、いつも仕事をせず釣りをしてたり何か食べてたり遊んでる人だ。

 村の子供たちはみんなが無職のタイルとバカにしている。

 そんな人が床貼りに何か関係あるのか?

 私は今後の在り方が不安になってしまった。


 ただですらはずれスキルの床貼りなのに、それで無職のおじさんに会って話をしたところでなにが変わるのだろうか。

 部屋に戻った私はベッドに寝っ転がりながら、もう仕事も何もせずにこのまま家でゴロゴロしてうんこ製造機にでもなりたいと思ってしまった。


 どすっ!なんだか布団の上に覆いかぶさってくるものがあった。


「にーちゃん元気出しなよ!」

「ルーフか、頼むからゆっくり寝かせてくれ」


 ドカッ! ルーフは布団に強烈な体重を込めた蹴りをぶつけてきた。


「にーちゃんのバカ!いくじなし!」


 そういうとルーフはべそをかきながら私の部屋を出て行った。


 部屋を出ていくルーフの後姿を見ながら私は自分の情けなさを反省した。


「仕方ないな、まあブラック企業で死ぬまでこき使われるよりはマシか」


 私は今日ゆっくり寝て明日から本気出すと決めた。


 そして知らないうちに深い眠りについていた。

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