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486 三万五千対一

 私は魔将軍アビスの作り出したアンデッドの群れの中に飛び込んだ。

 アンデッドの習性は、動くもの、生きている者をつけ狙う。

 そう考えるとあの全員寝てしまった中で唯一生きているエリアか私が狙われるのは当然だと言える。


 しかしエリアには戦う力が無い。

 確かにアンデッドなら全て浄化することは可能だろうが、そうしてしまうと今度はあの寝てしまった人達の衰弱を食い止める事ができなくなってしまう。


 そう考えると一番最善の策は、私がオトリとなってあのモンスターや魔族のアンデッドの群れに飛び込んでいくことになる。


 今の私のレベルは70近く、これは魔将軍にすら匹敵するものだ。

 だがこれはあくまでも普通に戦った場合の強さだ。


 私には神から与えられたスキル、マップチェンジと、創世神の力の一部とも言える聖杯の力がある。

 この力を使えば大量のモンスターを一網打尽にすることは容易に可能だ。


「来い、低能モンスター!」


「「「GYAAAAAA!」」」


 言葉は通じていないようだが、モンスターの群れは私が挑発していることくらいは理解できるようだ。

 大量のゴブリンやコボルト、オークにオーガーが私に襲いかかってきた。

 だがこんな連中、マップチェンジスキルを使っても使わなくても勝てる。


「でやぁー!」


 私は遺跡の剣(エクスキサーチ)を振りかざした。

 レベル70の剣圧はアンデッドを一瞬で粉みじんに砕いた。

 それはなんとあのオーガーのアンデッドですら一瞬で吹き飛んだくらいだ。


 私はまるで強さのインフレが1万上限だったスマホゲームの敵が数万から数十万、数百万、下手すれば億のダメージがデフォになったような感覚だった。


 オーガーは私が最初に苦戦したモンスターだ。

 アイツを倒すのに始めてマップチェンジスキルを考えて使ったのはいまだに覚えている。


 あの時とは私のレベルも経験も段違いだ。

 今いる敵が数万を超えているとしても、何も恐怖すら感じない。


「さあ、逆転だ。ここから悪は通さない!」


 私は大量のアンデッドを斬り払いながらその中心に向かった。

 大量のアンデッドモンスターの返り血を浴びながら中心部に辿り着いた私は、手を大きく広げ、叫んだ。


「この辺り一面を全てマグマにチェンジ!」


 私は自分の足元以外の全てを灼熱の溶岩にマップチェンジした。

 周囲四キロ程が一瞬で灼熱の海に変わる。


――GYAAAOOOOWww!!――


 アンデッドの群れが瞬く間に溶岩に飲み込まれていく。

 私の周囲にいたモンスター達の大半は溶岩の中で溶けてしまい、再生すらせず消滅した。


「な、何なのよアンタ……アタシちゃんの、アンデッドを全滅させたの⁉」


 魔将軍アビスは私のスキルに驚愕していた。


「ふん、まあいいわ。それならアンタの作ったその溶岩を利用させてもらうから!」


 魔将軍アビスは魔力を放ち、溶岩の中から火の属性モンスターを次々と生み出した。


「さあ、火の魔物達に焼き尽くされてしまいなさい!」


 魔将軍アビス、次は火炎属性のモンスターで私を倒そうというのか。


「辺り一面を全て湖にチェンジ!」


 だが私のマップチェンジスキルはそんな程度ものともしない。


 ――ドゴゴォオオオオン‼――


 火属性のモンスター達は突然の足元のエネルギー源を失い、巨大な水蒸気爆発を巻き起こした。


「何なのよ何なのよ。アタシちゃんをここまで不快にさせるなんて! 絶対に、絶対に許さない!」


 魔将軍アビスは次に空を飛ぶモンスターを次々と呼び出し、上空から私を襲わせた。


「地面が無ければアンタのスキルも使いようが無いでしょ! 今度こそ死になさい!」


 魔将軍アビス。

 この程度の攻撃で私を倒せると思ってるのか。


 その攻撃も既に想定済みだ。

 私のマップチェンジスキルは使い方次第で神にも等しい力を発揮する。

 今その力を見せてやる!

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