表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

466/944

460 ここでボクだけにできること

◆◇◆


 ボク達は偵察部隊の人を見送り、野営の設営をしていた。

 今いるだけで1500人オーバー、それにさらに海から来る応援が2000人以上はいるとい思われる。


 幸いこの場所は広く、数千人は軽くテントに入れそうな場所だ。

 ラガハース団長や冒険野郎Aチームのみんな、それに父さん達は全員で野営用のテントを設営している。

 みんな手慣れたもので、ものの二十分くらいで次々とテントが建てられている。


 ボクはそんなみんなのためにできることを考えた。


『ユカ、今ここにいる人達に必要なものは何だと思う?』

『ソウイチロウさん、今必要なのは食事じゃないですか?』


 ボクはテントを作っている人達のために食事を用意する必要があると思った。


『まあそれも必要なことだけどな、お前だけができることがあるだろう。お前のスキルでできるのは何だ?』

『ボクのスキル……地面を自在に入れ替える力……水の確保ですか!』

「半分正解だが、それじゃあスキルを使いこなせてるとは言えないよな」

『それでは何を……』


 ソウイチロウさんはボクのスキルで何ができると言っているのだろうか。


『すみません、ソウイチロウさん。ボクには思いつかないので教えてください』

『そうか、少し難しかったかな。いや、私が日本人だから思いつくことであっても、この世界の人達にはすぐには思いつかなかったかもしれないな』


 ソウイチロウさんには思いつくけど、ボクだけでなく、この世界の人にはあまり思いつかないこと、それは一体何なのだろうか?


『ソウイチロウさん、そろそろ教えてください』

『あ、ああ。もったいぶって悪かったな。ユカのスキルならここに温泉を作るのは簡単にできるだろう、疲れた人達の癒しになるように風呂を作ってやるのはユカにしかできないスキルだって言いたかったんだよ』


 なるほど、確かにそれはボクにはすぐには思いつかない。

 ソウイチロウさんはこの場所にボクのスキルで風呂を作れと言っている。

 確かに長い間移動してきた兵士達やずっとこの南方で戦っていた父さん達はかなり疲れているはずだ。

 エリアさんがレザレクションのスキルでみんなの体は癒してくれたが、精神的な疲労はまだ残っているかもしれない。


 この場所は大きく広い場所があるので、温泉を作るのは簡単にできることで、それでいてボクのスキルでしかできないことだ。

 ソウイチロウさんは流石長年の経験があると言える。

 ボクにはすぐに思いつかないことをすぐに指摘してきたのだから。


 ボクはテント設営場所から少し離れた誰もいない広い場所に一人で向かい、何もない広場に片手を広げて叫んだ。


「ボクの目の前の土地を大きな温泉にチェンジ‼」


 ボクの手から放たれた魔力は、目の前の土地を一瞬で温泉に変えてしまった。


「やった、これでみんなに温泉に入ってもらえる」


 ボクはテント設営を終わらせた兵士や騎士団、父さん達の所に戻った。


「ユカ、仕事をしないで一人でどこに行ってたんだ?」

「父さん、ボクはボクのできることをしてたんです、みんなでこっちに来てください」


 ボクは少し怒っていた父さん達をなだめながらテントの外れに付いてきてもらった。

 

「何だこれは!」

「信じられない、こんな場所にはこんな広い泉は無かったはず……」

「この泉……温かい、これは温泉だ!」


 父さん達は何もないはずの場所にいきなり出現した温泉に驚いていた。


「父さん、実はこれがボクのスキルなんだ」

「ユカ、お前のスキルって……温泉を掘る力だったのか⁇」


 父さんは何か勘違いしてしまっているようだ。

 まあ、今はそれを説明するよりは、温泉を楽しんでもらおう。


「正しくは違うんだけどね。みんな、どうぞ疲れた体を癒してください」


 ボクの作った温泉は疲れ切っていた兵士達にとって何よりの癒しになっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします! していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新が早くなるかもしれません! ぜひよろしくお願いします!

ゆーたん(たけのこ派)

別作品です、こちらもどうぞよろしくお願いします。

魔族の男がポンコツ女に振り回されるギャグです

魔王軍最強触手幹部 左遷先の不毛の地で困窮する食糧事情を解決、なし崩しに出来たハーレムで本土に逆襲大作戦!!

双子が姉妹の令嬢として再度生まれて人生を入れ替えてやり直す話です

運命のゆりかご・生き別れの双子令嬢は猫に導かれ互いの人生をやり直す

改心したワガママ令嬢が人生をやり直す話です。

ワガママ令嬢は挫けない 〜傾国の悪妃として処刑されましたが、今度こそ誰もに愛されるよう努力します〜

ロボアニメネタ始めました。

子供の頃見ていた合体巨大ロボアニメの超絶不人気外道悪役に転生してしまったエンジニアの俺が生き延びる為に!?

ダンジョン配信でミミックが悪人を退治する話です。

社会のゴミ箱DQNイーター 元ラストダンジョン裏ボスつよつよピザ好きミミックが移動先のダンジョンでよわよわヒーロー仮面配信者と世直し配信!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ