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454 副団長就任

◆◆◆


 僕達は漁村で父上たちと合流した。

 軍勢は数えるだけで五千を超している。


 その内訳は、僕達のフランベルジュ領からと冒険者ギルドの勇士達が千五百。

 それにミクニの武士団とカイリさんの仲間達が千五百

 さらに父上の集めたレジデンス領の兵士達と義勇軍が三千だ。


 これだけの大人数になると、船の調達や物資の調達が難しくなる。

 なので僕達はこの漁村で補給をしたわけだ。


 ここには昔から漁をしている人達が多い。

 それゆえに船の数は他の街に比べ、かなりの数が確保できる。

 難点を言うとするなら、元々漁船が多いので多くても二百人くらいまでしか乗れないくらいだ。


 僕達は分担して船に乗ることになった。

 カイリさんの船にもこの漁村から加わる人が増えたので、一つの船に最大七百人くらいが載っている状態だ。


 陸路が使えればこんな風に苦労はしないのだが、どうやら噂では南方への自然の大橋はモンスター達によって壊されてしまったらしい。

 幸いこの漁港から南方までは、一週間かからないくらいの位置だ。

 それなので本格武装の船でなくても大型の漁船程度なら問題なく南方に向かえるというわけだ。


「船のことなら心配するなよー、大船に乗ったつもりで安心しなー」

「カイリ、今は冗談を言っている場合じゃないでしょっ」

「わりいわりい、ついついなー」


 カイリさんとマイルさんはまるで本当の兄妹みたいだ。

 妹のいる僕だからなんとなくそう感じるのだろうか。


「お兄様、ぼーっとしている時間はありませんわ」

「あ、ああそうだったね。わかったよルーム」


 ダメだダメだ、こんな状態で戦闘なんてできない。早く気持ちを切り替えないと。


「二人共、準備は出来ましたか?」

「はい、父上。僕達はもう出れます」

「そうですか、ホーム。ルーム。この戦いは激しいものになります。生半可な気持ちでは……死にますよ!」


 父上は普段見せないような厳しい顔をしている。

 僕達が今から向かうのは本当の戦場だ。

 ユカ様達は空から現地に向かっている。


 この中の何人が死ぬかはわからない。

 だが全くの無傷で勝てるとしたらそれは間違いなく奇跡だ。

 死んだ人の分まで戦う、下手すれば僕達がその死んだ人達の中に入る可能性もあるのだろう。


「承知……しています」

「それでいいのです。すぐに「わかりました」と返答するようなら私は貴方を殴っているところでした。成長しましたね」


 父上は僕が成長したと言ってくれた。

 そういうものは自分ではなかなか気が付けない。

 他者に言ってもらって初めて認識できるのだろう。


「安心しました。ホーム、今の貴方ならこれを渡すことができます」


 父上は僕に何かを手渡してくれた。


「父上、これは?」

「我が家に古くから伝わるお守りです」


 僕は手元の物をじっと見つめた。

 銀色の小さなペンダント。

 それは翼のような形をしたもので、手に持つとひんやりとした感触があった。


「父上、ありがとうございます」

「いいえ、それはもう貴方のものです。それと……ホーム、今のうちに言っておくことがあります」


 父上の顔が一層険しくなった。


「ここから先は戦場になります。そんな中では親子の情が足枷になるかもしれません。これからは、私のことはゴーティ伯爵と呼びなさい」

「承知しました! ゴーティ伯爵!」

「では行きますよ、ホーム副団長!」

「副団長?」

「戦場の略式ではありますが、私は貴方をここにいる軍勢の副団長として任命します」


 騎士見習いだった僕がいきなりの副団長だ。

 それで本当にみんなが納得してくれるのだろうか。


「「「副団長!」」」


 僕は、自分が考えているよりも、多くの人達が僕のことを認めてくれていることを実感した。

 ゴーティ伯爵と僕達は、全員が船に乗りこみ、激戦の待つ南方へ向かい出航した。

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