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453 魔将軍達の計画

◆◆◆


 魔将軍アビスと魔将軍パンデモニウムを止めたのは、もう一人の魔将軍ゲートだった。


「俺のいない間にお前達は何をしている。無駄に兵を減らしてどうするつもりだ!」


 魔将軍ゲートの檄で魔将軍アビスと魔将軍パンデモニウムの動きが止まった。


「パンデモニウム、今すぐにアビスから手を離せ!」

「了解した……」


 魔将軍パンデモニウムは魔将軍ゲートの命令で手に掴んでいた魔将軍アビスのピンク色の肉塊を手放した。


「アンタねぇ……マジで死ぬかと思ったわよ」


 魔将軍アビスはピンクの肉塊を中心にちぎれとんだ首や体を再生させようとしている。

 だが、魔将軍ゲートはそんな彼女のピンクの肉塊をおもむろに掴み、痛罵した。


「お前も……深く反省しろ」

「わ……悪かったわよ」


 魔将軍ゲートは手で強くピンクの肉塊を握った。


「痛い痛い痛い、わかった、わかったって、アタシちゃんが悪かったから……反省してますってばー‼」

「本当か、それでは双方矛を収めよ」

「ゲート殿、そうはいかぬ。アビスは(それがし)の部下、そして庇護した人間までもを無慈悲に殺戮を楽しんでいた。ここで矛を収めては亡くなっていった者達に示しがつかぬ」

「そうか……だが、今お前がアビスを殺したとて何になる。人間どもを喜ばせるだけだぞ」

「むう……」


 魔将軍ゲートは再生しようとしていた魔将軍アビスの首に話しかけた。


「アビス、お前はアンデッドを作るスキルを持っていたな?」

「持ってるけど、それをどうしろってのよ」

「それでお前の殺したパンデモニウムの部下達を全て復活させろ」

「えぇッ⁇」


 魔将軍ゲートは魔将軍アビスの殺した者達全てを生き返らせろと命令した。


「全て……って、全員?」

「そう、全部だ」


 魔将軍アビスは元の姿に戻りつつある体で困った表情をしている。


「アレって魔力相当使うからやりたくないんだけどな」

「お前のやったことくらい、自分で責任を取れ」

「はいはい、やればいいんでしょ。やれば」


 魔将軍アビスは周囲に集まった黒い魔力を体に取り込み、一気に辺りに解き放った。


「さあ、生き返りなさい……生き返ってアタシちゃんの僕にっ」


 ボガッ!


 魔将軍ゲートが無言で魔将軍アビスの顔にパンチを入れた。


「なにすろろよ!」

「だれがお前の部下にしろと言った? 俺は死者を生き返らせろと言っただけだ」

「わかったわよ、アンデッドメイキング」


 魔将軍アビスから解き放たれた黒い魔力は辺りに散らばっている全ての死体に入った。

 そして死体達はゆっくりと動き、立ち上がった。

 これが魔将軍アビスの特技、アンデッドメイキングである。


「ぬう、これは……(それがし)の部下達が生き返ったのか」

「正しく言うと生き返ったのではなく、アンデッドとして復活したのだがな。生前の強さと記憶は持っている。アンデッドである以外はほぼ今まで通りと同じ接し方ができるであろう」

「そうか、ゲート殿……感謝する」

「お前のためだけではない、これから始まる大決戦を前に一体でも多くの戦力が必要だからだ。人間だった者達も魔力で強化されたアンデッドになっているであろう」

「かたじけない。この恩は必ず返す」


 魔将軍パンデモニウムは魔将軍ゲートに深く頭を下げた。


「まあ、アタシちゃんも嫌な人間の臭いがしないアンデッドなら安心してここにいれるからね。キャハハハハ」

「貴様はしばらく反省していろ」

「わかったわよ!」


 衝突していた二人の魔将軍は、魔将軍ゲートを中心に再び結束するのだった。


「魔将軍パンデモニウム、お前に任せていた魔界のモンスター達を集める計画はどうなっている」

(それがし)の部下達にも手伝わせていたが、大方はそろってきたところだ。現時点で大型魔族、小型魔族すべて合わせて二万弱といったところだろう」

「そうか、まだ半分くらいか」

「後一週間あればもう半分は集めれるはず、しばし待ってもらいたい」


 魔族と人間の大決戦はもう間近に迫っている。

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