表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/944

43 レジデンス兄妹、熱烈に歓迎される

「マイルさん、昨日の事何も覚えてないんですか?」

「アハハハハー、残念だけどなーんも覚えてないんよ」

「まったく、大変だったのですわよ!」

「だからゴメンってばー」


 マイルさんは猫耳をピョコピョコさせながらケラケラ笑っていた。どうやらこの世界では獣人は普通に存在するし、さほどヒエラルキーの低い物ではないようだ。フードの下の猫耳が分かった途端、マイルさんは薄闇色のフードを外し、尻尾を揺らしていた。


「マイルさん、遺跡で見た時とはまるで別人みたいですね、あの時は凄く威圧感があったのに」

「??? ユカ? あーし、遺跡なんて行った事ないよ。いくらそこの宝物が凄くてもリスク考えたら賞金稼ぎやってる方が割は良いからね!」


 ??? 私は何か違和感を感じた、遺跡にいた薄闇色のフードの人物と今の薄闇色のフードのマイルさんは別物だという事だ。確かにマイルさんは植物使いではあっても、コイン一つで遺跡を崩壊させたようなスキルの持ち主とは違う。あれは何か別の奴だったのだろうか?


「そうだ、昨日のお詫びね」


 そういうとマイルさんは高い木の幹に手を触れた。


「少し実をもらうよっ」


マイルさんが少し木の幹に力を入れると、高い木の枝からよく熟れた木の果実が四つ落ちてきた。


 ポトポトポテッ


「はい、これは丸かじりで食うんだよ」

「美味しそう……」

「うう、そんなの、少しはしたないですわ……」

「……ルーム、その実ちょっと貸してくれる?」

「わかったわ、お兄様」


 ホームは手慣れた手つきで木の実をむいて何個かにカットした


「はい、これでいいかな」

「お兄様、ありがとうですわ」


 そのやり取りを見ていたマイルさんが物憂げそうな表情を見せた。


「お兄ちゃん……か、羨ましいなー」

「マイルさん?」


「あーしにもしお兄ちゃんがいたら、どんなだったんだろうなー……。あーしの事、甘やかせたりバカな兄弟げんかとかしてたんだろうかな」


 マイルさんのふざけた態度は寂しさの裏返しなのかもしれない、まあ本心は本人しかわからないだろうから決めつけるわけにはいかないのだが、私は彼女の言動をパーティーのリーダーとして見守る事に決めた。


「みんな、食べたら出発するよ!」

「うん……」

「ユカ様、わかりました」

「かしこまりましたですわ!」

「わーったよ!」


 私はキャンプ道具をしまうと辺り一面の地面を元の高さの土地に戻した。


「辺り一面の土地を元の形にチェンジ!」

「……いつ見ても凄いスキルですね」

「今でもやはり信じられませんわ……」


 伯爵の待つ城まで今日中にたどり着ければいいのだが、私はホームに後どれくらいで城につくか聞いてみた。


「ホーム、後どれくらいで伯爵様のお城につくの?」

「ユカ様、もうすぐ父上のいるお城が見えてきますよ」


 私は目的地の城が本来街道を三日程通る場所と聞いていたので、最短ショートカットの出来た自分自身のスキルの便利さを改めて痛感した。


「ユカ様、領民達の家が見えてきました!」


 ホームの指さした辺りには小ぎれいな家がいくつも並んでいる。領民達の家がそれだけ小ぎれいに保てるという事はそこそこ生活水準が高いと言えるだろう。ゴーティ伯爵が名君と言われるのも納得できた。


「皆さま、ご苦労様です」


「おーい!みんなー、伯爵様のご子息様達のご到着だぞー!!」


 領民達は本心からレジデンス兄妹を出迎えてくれている。父親が善政を()いているので領民達の顔が本当に嬉しそうに二人と私達を歓迎してくれていた。


「皆さま、収穫祭の準備はどうなっていますか?」

「ホーム様、もちろん収穫祭は行います! 今年は難しいと思っていたのですが、伯爵様が自ら収穫祭の為に貯えを出してくれると言ってくれたので、その恩に報いる為にも盛大にやらせていただきます!」


「ユカ様、これが父上の方針なんです。万が一の飢饉に備えて備蓄は常に貯えておく。しかしその年に無事過ごせたらそれを出して皆で実りを共有する。それが『ボルケーノ様』の教えだと父上が以前言っていました」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします! していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新が早くなるかもしれません! ぜひよろしくお願いします!

ゆーたん(たけのこ派)

別作品です、こちらもどうぞよろしくお願いします。

魔族の男がポンコツ女に振り回されるギャグです

魔王軍最強触手幹部 左遷先の不毛の地で困窮する食糧事情を解決、なし崩しに出来たハーレムで本土に逆襲大作戦!!

双子が姉妹の令嬢として再度生まれて人生を入れ替えてやり直す話です

運命のゆりかご・生き別れの双子令嬢は猫に導かれ互いの人生をやり直す

改心したワガママ令嬢が人生をやり直す話です。

ワガママ令嬢は挫けない 〜傾国の悪妃として処刑されましたが、今度こそ誰もに愛されるよう努力します〜

ロボアニメネタ始めました。

子供の頃見ていた合体巨大ロボアニメの超絶不人気外道悪役に転生してしまったエンジニアの俺が生き延びる為に!?

ダンジョン配信でミミックが悪人を退治する話です。

社会のゴミ箱DQNイーター 元ラストダンジョン裏ボスつよつよピザ好きミミックが移動先のダンジョンでよわよわヒーロー仮面配信者と世直し配信!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ