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443 再会、父さん

 ボクがスキルで作った橋は、何十人もが横に歩けるくらいの大きなものになった。


「まさかこれほどの力を持っているとは……」


 ボクは改めて自分のスキルが凄いと感じた。


『創世神の力の一部』


 ソウイチロウさんはボクが古代の神殿で手に入れた聖杯の力が人を遥かに上回るものだと実感していた。

ボクの力はその創世神の力だと言っている。

 創世神の力だからこそ、何もない場所に土地を作ったりすることもできるらしい。


「ほう、この力は……これなら軍勢を全部向こう岸に送ることもできるじゃろうて」

「そうねェ。しかし改めてユカの力の凄さに感心したねェ」

「ユカ様、ありがとうございます。これで帝国騎士団全員が向こう岸に行くことができます!」


 ラガハース騎士団長は軍勢を引きつれ、全員で南方に向かい橋を進軍した。

 重装備の騎士団は、その総重量が凄いことになっている。

 だが、騎士団の馬車や兵士達はボクの作った橋を何の問題も無く移動することができた。


「凄い、これだけの軍勢が歩いても全く問題ない!」

「流石はユカ様です。これだけの奇跡を起こすとは」


 少し照れ臭い。

 でもこの力は本当に僕のスキルなんだ。


 ソウイチロウさんはこの力を使って、ボクの体で次々と強敵を倒し、困っている人達を助けてきたのか。

 ボクもソウイチロウさんに負けないよう、自分の力を使えるようにしないといけない。


『ユカ、どうだ。人に感謝される気分も悪くないだろう』

『ソウイチロウさん、そうですね』


 ボクは心の中でソウイチロウさんと話した。


『だがユカ、気をつけろよ。これだけの軍隊でも魔族の大軍を相手にするとなると、楽勝で勝てるとは思わないことだ。相手は魔将軍とも呼ばれる程のモンスター達だからな』


 魔将軍、魔族最強の敵の称号ともいえるもの。

 おそらくどのモンスターもレベルは70近くあるはず。


 ボク達が戦うのはそんな神話級のバケモノなのだ。


 でもボクの仲間もレベルは60以上の人や強い仲間達がいてくれる。

 大魔女エントラ様、アンさん、それにホームさんにルームさん、フロアさんにカイリさん、それとミクニの王様達だ。


 全員の力を合わせればきっとモンスターの大軍にも勝てるはず。

 ボク達は負けない! そう信じよう。


 ボク達は帝国騎士団が岸を渡り切った後、その後ろから彼らの後に続いた。


 そこでボクは思いがけない人と再会することになった。


「そこにいるのは……父さん、それに兄さん?」

「おお、その声は! ユカ、ユカなのか!!」

「父さん、久しぶりだね。元気にしてた?」

「元気とは言い切れないな、仲間達は補給も絶えた中で皆切り詰めて戦っていたからな」


 久々に見た父さんは、少し疲れたような様子だった。


「ユカ、ここは私に任せて」


 エリアさんがボクの前に踏み出した。


「お嬢さん、貴女は誰ですか?」

「聖なる力よ、この地に満ち、疲れ果てた者達に生きる力を与えよ……レザレクション!」


 エリアさんのレザレクションは、疲れた父さん達の傷を癒し、衰えた体力を蘇らせた。


「これは……信じられない! なんということだ、力が……みなぎってくるぞ!!」

「兵士長! 負傷した者が、動けるようになりました!」


 エリアさんのスキルは劇的な戦いの中で身体の一部を失ったものすら、完全に元通りにしていた。


「これは女神さまの力に違いない。このお方は女神さまの巫女、いや、女神様その人だ! 女神様、我らを助けて下さりありがとうございます」


 父さんがエリアさんに深く頭を下げた


「ウォール兵士長、今までの若干名での南方の警備、ご苦労だったな」

「その声は、ラガハース副団長。お久しぶりです!」

「いや、(それがし)は今、ゴーティ隊長に代わり帝国騎士団団長を務めている」


 どうやら父さんとラガハース様は知り合いだったらしい。

 そんな父さんを見ていたボクの肩を、いきなり叩いた人物がいた。


「ユカ、久々だな! 元気だったか」


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