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440 黄金のコンドルと天空の遺跡

 倉庫に向かったウルツヤ様は、埃をかぶった部屋から古文書を持ってきた。


「エイータ様、お待たせした。これ我が一族伝わるもの」


 そう言ってウルツヤ様は古文書を広げた。

 しかし何が書いてあるのか、ボクにはまるで理解ができない。


「これは一体、何を書いてあるのですか?」

「ユカ、これは……私の昔の記憶を書き写したものです。私は創世神として、この世界を作りました。そして光の神である私と、闇の神であった者はその領域を分けることでこの世界の均衡を保ったのです」


 エリアさんによる難しい話が始まった。


「しかし、闇の神はその心に悪しき思いがありました。そしてついには光の領域である私の治める土地に魔の者を生み出して攻め込んできたのです」


 イマイチよくわからないが、つまりは光の神であるエリア、エイータと闇の神が世界をかけた戦争をしたということか。


「長い戦いの末、この世界は滅びかけました。神の力とはそれほど強力だったのです。ですが、闇の神はそれでも戦いをやめようとしませんでした」

「それで……どうなったのですか?」

「私は闇の神を封じるため、自らの力を半分に分け、その半身の力を使って闇の神を地の底に封じました。そして残った半身で生き残った人類達に生きる力を再び与えたのです」


 それがエリアの力が半分ということなのか、ということは……エリアのもう半分の体は今でも闇の神を封じているということなのか。


「そしてその力を得た一族は私を神として崇め、再びこの地は復興しました。しかし、あまりにも大きな力は厄災を招きました」

「それは……何かあったのですか」

「はい、過ぎたる力は富裕層と奴隷を生み出し、私を崇める者達の中にも闇の意志に侵されたものが増えてしまいました。そして、古代の人類はお互いがその力を使い、人類同士の戦争を始めてしまったのです」


 それが古代遺跡の文明なのだろう。

 その力があの魔神やボクの持つエクスキサーチ等の武器に使われたのか。


「長い戦いの末、古代の民は滅びました。一部の生き残った者は海を越えた東方を目指したとも言います。そして人間同士の戦争の中、私はそのあまりの力に敵対する勢力によって天空高い遺跡にその半身を封じられてしまったのです。残った体はわずかに残った私の信徒によって地上の遺跡に凍結保護されました」


 ボクの心にソウイチロウさんが話しかけてきた。


『なるほど、それで話が全てつながった。つまりはエリアことエイータは古代文明で作られた宇宙ステーションに封印されたってわけだな。それで残った依り代の体は私が探索した、忘れられた遺跡に保護されていたってわけだ』

『ソウイチロウさん、宇宙ステーションって何ですか?』

『話すと長くなる。ユカ、少し体の主導権を借りるぞ』

『はい、わかりました』


 ボクはソウイチロウさんに身体を渡した。


「エリア、話は分かったよ。それで聞きたいことがあるんだけど、今の時代、その天空の遺跡に行く方法はあるの?」

「ごめんなさい、私にはその方法は分かりません」

「救い主、我が一族に暗き天を駆ける黄金のコンドルの言い伝えある。黄金のコンドルどこまでも高く飛ぶ神の鳥」

「ウルツヤ様、その話をもっと詳しく教えてもらえますか!」

「我が一族に伝わる話、これだけ。その黄金のコンドルを駆った者、高き山の民」


『なるほど、ユカわかったぞ。どうやら古代文明の末裔は黄金のコンドルと呼ばれる宇宙船か飛行機を使い天空高くにある遺跡に行けたらしい、そしてその黄金のコンドルについて知っているのは高き山の民と呼ばれる人達ということだ』


 そう言うとソウイチロウさんはボクに再び体を返してくれた。


「そうなんですね、ではその高い山の民とはどこにいるのでしょうか?」

「高き山の民、外と隔てた場所にいる者達、我ら話しか聞いたことない」


 どうやら高き山の民や、エリアの半身のことは今どうこうできる話ではないらしい。

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