表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

442/944

436 船の乗船率オーバー

◆◆◆


 マイルは今まで我慢していたのを一気に吐き出すかのようにオレに今までのことを話した。


「聞いてるの? お兄ちゃん」

「お、おい、すまねーが……お兄ちゃんというのは勘弁してくれよ」


 マイルが不敵な笑いをうかべた。


「えー、お兄ちゃんじゃ嫌なのぉ? それじゃぁねぇ、にいには?」


 オイオイなんだその赤ちゃん言葉は。


「それも駄目? それじゃぁ、にーちゃん、兄さま、兄やん、ブラザー、あんちゃん、兄者、兄上様、どう呼べばいいのよぉ?」

「どれもダメだー! ダメなもんはダメなんだー!!」

「えー、お兄ちゃんのケチ」


 結局呼び方はお兄ちゃんになってしまったようだ。


「わかったわかったー。お兄ちゃんでいいからよー、そのかわりその言い方は誰もいない時だけにしてくれー」

「えぇー、せっかくお兄ちゃんと言えるようになったのにぃー」


 そう言うとマイルはオレの腕に腕を組んできた。


「この状態で外に出たら兄弟というよりも恋人に見えてしまうのかなぁ」

「オイバカよせやめろってよー。リョウクウが見たらどう思うってんだよー」

「あらぁ、リョウクウちゃんならもう知ってるわよぉ」

「え? それってどういうことだよー」


 マイルは昨日思わずリョウクウと言い争いになった後、酒場でリョウクウと出くわし、そこでつい口を滑らせてしまったと言っていた。


「……。なるほど、ぜーんぶマイルが悪いってことじゃないのかー」

「ハ、ハハハ。そうなっちゃうかなぁ」


 マイルは困り眉毛で引きつった笑いを見せた。


「ていっ!」

「いたぁーいっ! お兄ちゃん何すんのよぉー」

「てめーがロクな事しねーからだろーが!」


 オレはマイルの頭に軽くチョップを決めた。


「プッ……ハハ、ハハハハ」

「何笑ってんのよぉ」

「いやな、確かによーく見るとマイルとオレって似てるのかもなーって」

「そうなんだ、他の人は気が付かなかったみたいだけどぉ」


 オレは帽子を取ってみた。

 普段は帽子と髪の毛で隠れているが、オレもよく見れば獣人と分かる耳だ。


「あ、ホントだぁ。あーしとそっくり」

「そうだなー、二人共、母さんに似たんだろうなー。マイル、母さんってどんな人だった?」

「そうねぇ。とてもキレイでいい人だったわよぉ」


 まあ黙っていればマイルは間違いなく美人の内側に入る。

 そのマイルが美人というくらいなのだから母さんは相当美人だったのだろう。


「さて、そろそろ外に出ないと、明日には出航できないぜー」

「そうねぇ。それじゃあ頑張ろうね、お兄ちゃん」

「外でお兄ちゃんとか言うんじゃねーぞ!」

「はぁーい、わかりました。お兄ちゃん」


 マイルはわざとオレを煽っているようだ。


 オレとマイルが二人で船長室から出ると、辺りには大量の人が増えていた。


「どうやらホームくんが兵士を大量に連れてきたみたいね」

「まいったなー、船の数もう一隻確保するしかなさそうだなー」

「ちょっとそれは厳しそうよぉ、今ある船用意するだけでもかなりいっぱいいっぱいだったんだからぁ」


 ホームとルームがフランベルジュ領から連れてきた兵士の数は千以上だった。

 これだけの人数を船に乗せるとなると、ミクニの武士団と合わせればもう乗船率は200%どころか300%になる勢いだ。


 しかも兵士だけに全員が鎧を身に付けているので、船が重みに耐えきれずに沈んだりする危険性もある。


「おいてめーら、ホームはどこにいるんだー?」

「申し訳ありませんが、ホーム様は今席を外しております」


 困ったもんだ。

 この人数になると流石に船に全員乗せるわけにもいかなくなる。


「マイル、食料や備品はまだ切り詰めればどうにかなるだろうけどよー、船の中の人の重さはどうにもならないんだよなー」

「そうよねぇ。これじゃあ全員乗せるわけにはいかないわぁ」


 オレ達が頭を悩ませているところに、血相を変えたホームが走ってきた。

 一体何があったのだろうか。


「これはこれは、ホーム様。どうされましたか? 血相を変えて」

「隊長! 街中にいる皆を集めてくれ、至急だ!」


 隊長に命令を出していたこのホームの焦りよう、どうやら何かがあったようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「面白い!」「続き読みたい!」など思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします! していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新が早くなるかもしれません! ぜひよろしくお願いします!

ゆーたん(たけのこ派)

別作品です、こちらもどうぞよろしくお願いします。

魔族の男がポンコツ女に振り回されるギャグです

魔王軍最強触手幹部 左遷先の不毛の地で困窮する食糧事情を解決、なし崩しに出来たハーレムで本土に逆襲大作戦!!

双子が姉妹の令嬢として再度生まれて人生を入れ替えてやり直す話です

運命のゆりかご・生き別れの双子令嬢は猫に導かれ互いの人生をやり直す

改心したワガママ令嬢が人生をやり直す話です。

ワガママ令嬢は挫けない 〜傾国の悪妃として処刑されましたが、今度こそ誰もに愛されるよう努力します〜

ロボアニメネタ始めました。

子供の頃見ていた合体巨大ロボアニメの超絶不人気外道悪役に転生してしまったエンジニアの俺が生き延びる為に!?

ダンジョン配信でミミックが悪人を退治する話です。

社会のゴミ箱DQNイーター 元ラストダンジョン裏ボスつよつよピザ好きミミックが移動先のダンジョンでよわよわヒーロー仮面配信者と世直し配信!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ