426 ミクニ武士団出陣!
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「……なるほど、状況はよくわかった。拙者のミクニの武士団も喜んで力を貸しましょうぞ!」
「しかしまさかマデン以外にもそんな連中がいたとは驚きです。魔将軍、そんな連中が他にもいるのですね」
「敵は数千、いや数万にもなるかもしれない妖の軍団というわけね。ミクニの飛龍武士団の強さを見せてやろう! ミクニの武士団で命を惜しむ者はいない。ユカ殿、ホーム殿達にはお世話になった恩があります。今こそその恩を返す時、喜んで小生達の力をお貸しします!」
ミクニの三人の王は僕の話を聞き、すぐに力を貸してくれると即答してくれた。
「ですが、糧食や移動の手間などを考えると、すぐに大軍勢を送るわけにはいかないか……しばし時間を頂きたいですぞ」
「兄上、ユカ様の能力は瞬時に人や物を移動させるできるのですよ。お忘れでしたか?」
「ぬ、そう言えばそうだった。確かにユカ殿の能力があれば糧食や兵の補充も容易にできるということか。その移動できる床に制限などはあるのかが問題ではある」
「いいえ、特に僕が知る限りでは一度に数名、あるいは何かの物を送るにしてもその床の大きさの中なら問題は無かったかと思います」
実際この瞬時に移動できるワープ床でトラブルが起きたことはない。
「なるほど、わかりましたぞ。それでは有志を募り、ホーム殿の出てきた宝物殿の移動床から吾輩達も向かいましょう!」
「兄上、兄上と姉上の留守の間はミクニの守りは僕が引き受けます」
「わかった。リョウド、この国を頼んだぞ!」
「はい、兄上姉上のご武運をお祈りしております! 龍神イオリ様によろしくお伝えください」
「わかった。小生の口からイオリ様にきちんと伝えておこう」
そして数時間後、鎧甲冑に身を包んだミクニの武士団数千人が城の中の丸と呼ばれる広い中庭に集結した。
「皆の者! 吾輩達はこの国の恩人であるユカ殿達のために、これより戦地に向かう!! 吾輩達の敵はあのマデンと同じ魔の者、魔将軍とその軍勢だ。この戦い、決して楽な物ではない、命を落とすやもしれぬ熾烈な戦となろう!」
リョウカイ様が数千の武士団を相手に大きな声で語り掛けた。
「命を惜しむ者は今からでも、この場から立ち去るがいい。これは生きて帰れる保証の無い死出の旅となろう! この国に残り、吾輩達亡き後の国を作っていくのも戦いである。ここで立ち去った者を蔑むことの無きよう、民にはリョウドが伝える!」
だが、誰一人としてその場から立去ろうという者はいなかった。
「我らは誇り高きミクニの武士団! 命を惜しむ者はここには誰一人としておりませぬ!」
「我ら、生まれし時は違えど、死するときは同じ。そう心得ております! リョウカイ様、リョウクウ様、我ら武士団……共に戦いましょう!」
「かたじけない。皆の者、いざ出陣だ!!」
「「「オォオオオオオー!」」」
ミクニの武士団達は全員高く雄たけびを上げ、その場で自らを鼓舞した。
そして彼らは僕達の移動してきたワープ床に踏み込み、一人、また一人とリバテアの街を目指した。
「まさか、本当に海を遠く隔てた大陸に移動するとは……」
「流石はユカ殿の力、人知を超えた力ですね」
ミクニの武士団が全員、ワープ床を移動するまでに二時間近くを要した。
「わたしはこの場所に残り、足りないものがあった場合すぐにミクニ本土に伝達することでいいのでしょうか?」
「うむ、それも立派な役割。お前の伝達一つで負け戦が勝利になる場合もある。心して励んでくれ!」
「承知致しました!!」
こうして僕達はミクニの武士団数千人の協力を得ることができた。
次に向かうのは、僕が領主代行を務めるフランベルジュ領だ。
僕はリョウカイ様、リョウクウ様にお礼をし、その後ワープ床でフランベルジュ領のカンポ村に向かった。




