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425 ミクニの三兄妹

◆◆◆


「ホーム様、ルーム様、ようこそお越しくださいました。歓迎致します」


 僕とルームを迎えてくれたのは、ミクニの国王である『ミクニ・リョウド』様だった。


「生憎ですが兄上は今武士団の訓練に出ており、姉上は丁度飛龍で城下を見回っている頃です。もうしばらくすれば戻ってくるでしょう。それまで一緒に昼食は如何かと」

「お心遣いありがとうございます。しかし僕達は今急ぎの用で参りましたので、ご遠慮させていただきます」

「……何か、重要な話があるようですね。人払いをしましょうか?」

「いいえ、むしろここにいてもらう方が良いです。一人でも多くの人に手伝っていただきたいですので」


 リョウド様は僕のこの話し方で状況を察したようだ。


「他ならぬこの国の恩人ユカ様のお仲間の話です。できることは何でも致しましょう」

「リョウド様、ありがとうございます。実は……」


 僕は南方から押し寄せる魔族の大軍団の話をした。

 その数は千とも、万ともいえる大軍だと伝えると、リョウド様は少し目を閉じて考え事をしていた。


「わかりました。僕の一存では決めかねますので、この話の続きは兄上と姉上の帰りを待ってからでもよろしいでしょうか」

「はい、話をお聞きいただきありがとうございます」

「折角お客人が来たのに食事のもてなしすらできないのは武士の名折れです。兄上と姉上が戻られるまで、しばし食事をお楽しみください」

「はい。お心遣いありがとうございます」

「お心遣い、感謝致しますわ」


 僕とルームはリョウド様のお誘いで昼食を一緒にいただくことになった。

 食事の内容は白いご飯と揚げ物、それに斬った魚と透明なスープだった。


「ユカ様達のおかげで僕達の食事も大きく変わりました。今では町中で揚げ物を食べる事ができます。実は……僕もたまにお忍びで外に出ているんです」

「リョウド様! 今の話、後でしっかりとお聞かせいただきます」

「あ……やってしまった」

「フフ、クスクスクス……」


 リョウド様は気さくな良い王様なのだろう。

 国と民衆の距離が遠かったり壁があるような国では、このような話はまずありえない。

 実際僕も父上のおかげで領民とは良い関係で接することができている。


「食事が終わりましたら天守閣に参りましょう。ホーム様達にお見せしたいものがございます」

「はい、わかりました」


 食事を終えた僕とルームは、リョウド様に連れられて天守閣に来た。

 ここは魔将軍マデンを倒すためにミクニの三兄妹が力を合わせて光の矢を放った場所だ。


「ここから今の国が始まったのです。父上の犠牲の上にこの国は成り立ちました。僕はそれを忘れないため、時々この場所に来てここから国全土を見ているのです」


 リョウド様と僕達が城下を見ていると、遠くからドラゴンの鳴き声が聞こえてきた。


「この鳴き声はっ」

「姉上です。姉上が戻ってきました」


 僕が上空を見ると、そこにはドラゴンに乗った鎧を着た女性がいた。


「リョウクウ様!」

「その声は……ホーム殿か! 久しいな!」



「ホーム殿、ルーム殿よく来てくれた。心より歓迎する」

「リョウクウ様、お久しぶりです」

「うむ、息災で何よりだ。ところで……イオリ様と……カイリ様は一緒ではないのか」


 リョウクウ様が少し顔を赤らめていた。


「イオリ様やカイリ様は今別の場所におります」

「そうか……わかった」


 それから少し経って、天守閣をしたから登ってきたのはリョウカイ様だった。


「兵に聞いたぞ。ホーム殿がこちらにおられると聞いて馳せ参じた次第だ」


 ここにミクニの国王の兄弟が三人揃ったので、僕は彼等に要件を伝えることにした。


「実は……皆様にお願いがありましてこちらに参りました。お話を聞いていただけますでしょうか」


 僕はミクニの三兄妹に今の状況を説明した。

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