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360 旧バレーナ村の人達

 リバテアでのマイルさん救出作戦は三方向に分かれて実行された。


 ホームさんやルームさん、オンスさんを中心とした商隊は街の入り口側に移動。

 シュタインブルッフさんを中心とした帝国騎士団は、留置場のあるリバテアの中央部でタックス伯爵の家を包囲する準備。

 そしてボクやアンさんとフロアさん、それにカイリの手下の海賊達は港の向かい側の旧バレーナ村の地域に向かい移動した。


 旧バレーナ村のあった地域は、華やかな自由都市とは違った昔ながらの漁村といった場所だった。

 その中で少し大きめの家があったのでボク達はそのドアを叩いた。


 コンコンコン。


「失礼します、こんな時間にすみません」


 中からは白髪のお爺さんが出てきた。


「こんな時間に何か御用ですかな?」

「こんばんは」

「これはこれは、ユカ様ではありませんか。ワシらに何か御用ですか?」


 お爺さんはこんな非常識な時間に尋ねてきたボク達を優しく迎えてくれた。

 それだけボクがこの人達に恩を感じるようなことをしたといえるのかな。


「すみません、マイルさんを助けるために力を貸してください」

「マイルさんが? わかりました。しかしワシらは力も何もないただの一般人ですが……」

「それでいいのです。いや、むしろそれだから意味があるのです」


 フロアさんが旧村長さんに説明を始めた。


「新しく就任したタックス伯爵はポディション商会のヒロと組んでレストランの放火の濡れ衣をマイルに着せた上で処刑して証拠隠滅をしようとしている。皆さんにはこれを邪魔する形で立っていてもらいたい」

「何、あのポディション商会のヒロがまたやらかしてるのですか」


 どうやら旧村長さんはヒロに以前ひどい目にあわされたようだ。


「わかりました。ワシらはヒロに騙されて奴隷にされてもう人生が終わるところをユカ様達に助けてもらいました。今度はワシらがユカ様を助ける番です」

「ふむ、情けは人の為ならず……じゃな」


 旧村長さんはマイルさんのお願いを快く引き受けてくれた。


 そして村長さんは手に持っていた笛を大きく吹き鳴らした。


 プオオォォー。


 笛の音が聞こえた人達が次々と家の扉を開け、村長さんの家の前に集まってきた。


「なんだなんだ、一体何が?」

「村長さんの呼び出しなんて珍しい」

「おはようございます」


 村長さんの家の前にはかなりの人数が老人から子供まで男女関係なくみんな集まった。


「皆の衆、ここにおるユカ様がお困りのようじゃ。ワシらはこの方々と共にリバテアの新領主の屋敷に向かう」

「アンタらの身はおれたちが守ってやるぜ! ケツ持ちは安心しなっ」


 カイリさんの手下の海賊達が集まった人達のそばにやって来た。


「では、皆の者。マイル様を助けに行くぞ」

「「「オー!」」」


 旧バレーナ村の人達は全員がボク達と一緒に新統治者のタックス伯爵に抗議するために大勢で移動を開始した。


 警備をしていた自警団は港方面の旧バレーナ村貧民街の方角から大量の住人が押し寄せているとの報告を聞いてその鎮圧に向かった。


「貧民街の連中が大挙して押し寄せてきている、至急応援を頼む!」

「ダメだ、こちらはタックス様の命令で留置所付近から人員を動かせない、別の所に頼んでくれ!」

「こちらも駄目だ、何故か街の入り口付近に大量の武装した商隊が現れたらしい!」


 リバテアの自警団は三方向同時に出現した謎の集団に翻弄されていた。


「あまり傷つけるなよ、後でこちらの印象が悪くなる」

「わかってるって、殺さずに気絶させたり運河に落としてるだけだって」


 カイリさんの手下の海賊たちは誰もが一線級の強者で、リバテアの自警団はまるで相手になっていなかった。


 ボク達は自警団をものともせず、そのままマイルさん達の捕らわれている留置所の前に到着した。


「止まれ! 止まらんと逮捕するぞ!!」


 自警団が威嚇するも、人数は圧倒的にボク達の方が多く、海賊達のおかげで自警団は手も足も出なかった。

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