357 日が昇るまでに!
オンスさんはボク達の話を聞いて快く引き受けてくれた。
「わかりました、マイル様のためです。私達全員すぐにリバテアに向かいましょう……ですが、一週間はいただくかと」
「それでは間に合いませんわ、明日の朝には処刑執行されてしまうかもしれません」
「でもそれでは……私達はどうすれば」
ルームさんがボクを見た。
「ユカ様のスキルなら不可能ではありませんわ!」
「ルーム様、一体それは」
ルームさんはボクの部屋に商隊の人達を連れてきた。
商隊の人達は光るワープ床を見てビックリしている。
「コレは一体??」
「コレがユカ様のスキルですわ。この床に踏み込むと、一瞬で別の場所に付く事が出来るのですわ!」
「ま、まさかそんなことが……」
商隊のリーダー、オンスさんが光るワープ床に踏み込んだ。
すると、ワープ床が激しく光り、オンスさんは一瞬でリバテアのホテルのユカの部屋に移動した。
「こ……ここは本当にリバテア!?」
オンスさんが再びビックリしていた。
その後オンスさんは商隊の人達に伝えるため、再びワープ床に踏み込み冒険者ギルドの町に戻った。
「オンスさん!?」
「みんな、本当だ。この光る床に入ると一瞬でリバテアに行ける」
オンスさんの話を聞いた商隊の人達は全員がワープ床でリバテアに移動した。
「さて、これで商隊を連れて来ることはできたが、この後どうするんだ?」
フロアさんがボクに問いかけてきた。
「ユカ様。父上から聞きましたが、今こちらに帝国騎士団が向かっているとの話です。ですが、まだ今は帝国の近くでこの町に着くにはあと数日かかるようです」
「ふむ、それでは時間が足りぬのう。ワシがユカ坊を乗せてその者達を連れて来てやろうかのう」
「イオリ様? その背中に何百人乗せるつもりですか?」
アンさんが笑っていた。
「たわけ。いくらワシでもそんな曲芸みたいなことできんわい。乗せるのはユカ坊とホーム坊、それにルーム嬢、他に希望者がおればそれくらいじゃ」
「今回は俺も乗せてもらおう。この暗い中では場所とかは動物に聞いた方が良さそうだ」
フロアさんが名乗り出てきた。
「でもボク達だけで騎士団の人に会うのは良いですが、どうやって連れてくるんですか?」
「ユカ坊、そなたのすきるでまっぷちぇんじしてその場にわーぷ床を作れば良かろう」
なるほど、それなら確かに一度冒険者ギルドの町に移動させてからそこからリバテアに全員を連れてくることが可能だ。
この方法でやれば確実に明日の朝までに街を取り囲めるほどの人を集める事が出来る。
「決まりじゃな、ではワシに乗るがよい!」
アンさんは人に見えにくいホテルの中庭で巨大な紫のドラゴンの姿に変わった。
「ユカ様、それでは私達はどうすればよろしいですか?」
「オンスさん、それでは……」
「オンスさんは街にいるバレーナ村の元村長様を探してユカ様に聞いた話をお伝えくださいますでしょうか?」
ルームさんがボクの代わりにこの後オンスさんにやることを伝えてくれた。
「わかりました。私達にお任せ下さい」
商隊のリーダー、オンスさんがこの街での人集めを引き受けてくれた。
「では決まりじゃな、しっかり掴まっておれ!」
アンさんがボク達を背中に乗せて帝国の首都の方に飛んだ。
「ユカさん。鳥に聞いたところ、ここからしばらく行った先に人間の集まりが移動しているとのことです」
「フロアさん、ありがとうございます」
「ふむ、そちらに向かって飛べばいいのじゃな! ワシに任せよ!」
アンさんが帝国騎士団のいる方向に向かって高速で飛んだ。
夜明けまでにはまだしばらく時間があるが、少しでも急がないと!
「見えたぞい、あそこにおるのが帝国騎士団とやらじゃろう」
アンさんが帝国騎士団の上空を飛び、そのすぐ近くに着陸した。
「ド……ドラゴンだぁー!! 皆の者、戦闘準備!!」
帝国騎士団は突如のドラゴンの飛来に驚愕していた。