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335 生きることは闘うこと

◆◆◆


 ボンバヘを睨みつけた邪神竜は口を大きく開いた。


「!!? ガ、ウガガ!?」

「「「グワッハッハッハハ! キサマから言葉を奪った。獣の声しか出せずに彷徨(さまよ)うがよい。余は今からキサマらの集落を潰す。キサマは同族を売った裏切り者として誤解されたまま生きて苦しみ続けろ!」」」

「ガ……ガアアア、グルル」

「ボンバヘ様!?」


 邪神竜は呪いでボンバヘから言葉を奪った。

 動物のような声しか出せなくなったボンバヘは、人と会話が出来なくなってしまったのだ。


「「「娘よ、お前は余の生贄となるのだ、そしてその男は一生孤独の中で苦しみ生き続けることになる! それが余の目を奪った愚か者の末路だ!」」」

「許さない! ボンバヘ様を苦しめるお前を……わたしは絶対に許さない!」

「「「グワッハッハッハ、生きのいい生贄だわ。さぞ喰らいがいがあるわ!」」」


 邪神竜は口を大きく開いた。


「ソル・ビアンコ!」

「「「グガアワアアアアッッ!! 何だその力は!? 光だと……!」」」


 フンワリは巫女だった。

 彼女は光なき場所に光を灯す事の出来るスキルの持ち主、光魔法の使い手だった。

 邪神竜の弱点は聖なる光、フンワリのスキルはダメージを与えるほどではなかったが、邪神竜を怯ませるには十分だった。


「「「許さん、キサマ! 生きたままバリバリと噛み砕いてくれるわ!」」」

「ウグウアアア!」

「「「ぬ!? 何だと」」」


 ボンバヘは人と会話が出来なくなっていた。

 だが、彼はその代わり、動物と言葉を交わすことをすぐに覚えた。

 ボンバヘは彼に付いてきていた銀色の狼と白の狼に一緒に戦って欲しいと願った。


 銀の狼と白の狼は主人であるボンバヘのために、邪神竜に牙を剥き爪で斬り裂いた。

 だが、二匹のその力はあまりにも弱く、邪神竜に一つのダメージも与えられなかった。


「「「獣ふぜいが! 余に逆らうとは!」」」


 邪神竜は大きく羽ばたき、その翼で二匹の狼を吹き飛ばした。


「キャウウーン」

「キャーン!!」

「ゴアアア!」


 狼たちは邪神竜になすすべもなく一蹴されてしまった。

 それでもボンバヘはあきらめず、弓を構え、邪神竜に立ち向かった。


「ボンバヘ様、わたしの力を……貴方に」


 フンワリがボンバヘの持つ弓矢に光の力を与えた。

 光を湛えた矢はボンバヘの弓から放たれ、邪神竜の胸を抉った。


「「「グハアア! 一度ならず二度までも。キサマ、許さんぞ!!」」」


 邪神竜が黒いエネルギーを集めた。

そのエネルギーはブラックホールとなり、その場にいた二人と二匹はブラックホールに吸い込まれてしまった。


そこに残ったのは、壊れた首飾りだけだった。


「「「フン、闇の深淵に消え去ったか。まあよい、あの愚か者共の一族を滅ぼしてやろう……いや、僅かだけ残し、余の恐ろしさとあの愚か者の情けなさを未来永劫語り継がせてやろう。死してなお蔑まれるがよいわ!!」」」


 そして邪神竜はフワフワ族の集落に現れ、ボンバヘが生贄を見捨てて逃げ出したと伝えると邪神の怒りだと言って集落をことごとく蹂躙した。



「グ……ガオオゴァ……」

「ボンバヘ様! わたし達、生きているのですね」

「ガオオグォ……」

「ボンバヘ様に貰った首飾りがありません、きっとあれが身代わりになって助かったのでしょう」


 彼らのそばには気を失った銀と白の狼がいた。


「お前達も……無事だったのですね」

「ググアアア……ウォオオオオンッ」


 ボンバヘは泣いていた。

 悔しかった、邪神に何もできず、愛する人物を守れなかった自身の弱さに彼は泣いていた。


「ボンバヘ様……きっと、フワフワ族はもう邪神に滅ぼされてしまいました。わたし達だけがその生き残りなのです」

「フン……グワァアッ!」


 フンワリはボンバヘを優しく抱きしめた。


「生きましょう、最後の生き残りのわたし達が生きることが、フワフワ族が生きることなのです」

「ワアアアーッ!!」


 そしてボンバヘとフンワリはどことも知れぬ場所で、二人だけでフワフワ族の血を絶やさないために村を作り生きたのだった。

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